Image:Astonmartin
| ヴァリアントにはヴァルキリーのようなハイパーカー、そしてF1マシンの開発にて培った技術が詰め込まれている |
アストンマーティンはある意味で「もっともモータースポーツに近い自動車メーカー」へと急速に成長しつつある
さて、アストンマーティンが「フェルナンド・アロンソの個人的な依頼から誕生した」という38台のみのスペシャルモデル、ヴァリアント(Valiant)を正式発表。
その特徴を簡単にまとめてみると以下の通りです。
- 特注サービスであるQ by Aston Martinを通じて開発された、超高級でサーキット走行に特化した公道走行可能なエクストリームなクルマ
- 745馬力を発生する5.2リッター・ツインターボV12エンジンを搭載し、特注の6速マニュアルトランスミッションとの組み合わせ
- 特注のシャーシには、サーキット走行能力を強化するためのマルチマティック製ASVダンパーと再調整された電子デバイスが採用
- 空力特性を備えたオールカーボンファイバー製ボディワークにより重量が軽減され、ダウンフォースが増大
- 簡素化された軽量インテリアがドライバーとのつながりと集中力を高める
- 最先端の素材と技術を使用し、伝説のル・マン・レーサー「マンチャー(Muncher)」を再現
- 主要部品にマグネシウム、チタン、高度な3Dプリントを使用することで、さらなる軽量化を実現
- 最初の納車は2024年第4四半期に開始
- 限定台数である38台はすべて販売済み
アストンマーティン ヴァリアントはこんなクルマ
そこでこのヴァリアントの詳細を掘り下げてみると、上述のとおりアストンマーティンのパーソナリゼーション部門「Q」によって開発・製造されるもので、その目的は「純粋なドライバーズカーを再現すること」。
そしてことの発端は(アストンマーティンF1チームのドライバーである)フェルナンド・アロンソからの、「軽量でより過激な、レーシングカーにインスパイアされたヴァラーの特別仕様車が欲しい」という要望であったといいます。
アストンマーティンによれば、このヴァリアントはヴァルキリー、ヴァンテージ、(これから発売される予定の)ヴァルハラといったサーキット走行を視野に入れたロードゴーイングスポーツの系譜を受け継ぐいでおり、そのデザインは自社の象徴的なクルマにインスピレーションを受け、そしてクラス最高のパワー、ドライビング ダイナミクス、最先端のテクノロジーを提供するというアストンマーティンの目指す未来を示すクルマ。
そしてこのヴァリアントの発起人であるフェルナンド・アロンソは以下のように語っています。
ヴァラーはアストンマーティンの創立110周年を盛大に祝う特別モデルであり、これがレースカーにインスパイアされた、より過激なバージョンを制作するきっかけとなりました。ヴァリアントは、究極の運転体験を得たいという私の情熱から生まれたクルマであり、サーキット走行を重視しながらも、オンロードでもスリリングなドライブをお届けします。Q byアストンマーティンの開発チームとの間で、デザインと技術仕様の両方を高い次元で実現するために緊密に協力し、傑作を作り上げられたと信じています。
そしてアストンマーティンによれば、ヴァリアントは「V12エンジンの荒々しいパフォーマンスを特徴とする、過ぎ去った時代を彷彿とさせる荒々しいスタイルと猛烈なパフォーマンスを、最先端の現代エンジニアリング、軽量素材、デザインと組み合わせ、パフォーマンスとエンゲージメントの限界を押し広げ、究極のアストンマーティンとして再創造したクルマ」。
新型ヴァリアントについて、アストンマーティンのグローバル最高ブランド兼コマーシャル責任者、マルコ・マティアッチ氏は次のように語っています。
ヴァリアントは現代の傑作です。レーシングレジェンドにインスピレーションを受け、最新のF1マシンにインスパイアされたテクノロジー、エキゾチックな素材、徹底的な軽量化を駆使して考案された、アストンマーティン最高傑作です。ドライバーを真にユニークで、強烈でエモーショナルなドライビング体験に導くことに重点を置いています。パフォーマンス、サーキット重視のダイナミクス、ハイパーカーの強烈さを究極的に融合したヴァリアントは、真のドライバーのために希少で並外れたクルマを製造するというアストンマーティンの確固たる決意を体現しています。
このヴァリアントはすでに述べた通り「V12エンジンとマニュアル・トランスミッション」という、フェラーリにもランボルギーニにもない組み合わせを持ちますが、その他の特徴としてはカーボンセラミックブレーキ、3Dプリンターによって製造されたリアのサブフレーム(-3kg)、マグネシウム製トルクチューブ(-8.6kg)、21インチサイズのマグネシウムホイール(-14kg)、モータースポーツ仕様のリチウムイオンバッテリー(-11.5kg)など、
ただしヴァリアントのキャラクターに最も大きな変化をもたらしたのが、マルチマティック製のアダプティブ スプール バルブ (ASV) ダンパーの装着だといい、このダンパーは、6ミリ秒未満で各ダンパーを3種類の個別のダンパーカーブの1つへと調整できるとされ、これによって事実上、その特性を「ほぼ無限」に調整できるとのこと。
こにれよって、今までモータースポーツの最高峰にしか提供されていなかった操作制御帯域幅を手に入れることになりますが、このシステムは現在「最もダイナミックで高級な車両にのみ装着されており、アフターマーケットでは入手できない」ことについても言及されています。
ヴァリアントでは、サーキットでの能力を大幅に向上させることに重点を移しましたが、同時に、路上でも楽しめるだけの使いやすさも維持しています。あらゆる主要エリアでダイヤルを動かして、パフォーマンスを向上させ、よりエキサイティングな体験を提供しました。V12のパワー伝達を向上させて745PSを実現し、マルチマティックASVダンパーでシャーシ セットアップを完璧にし、ボディを再設計してダウンフォースを増大させ、軽量素材とプロセスを採用して質量を減らしました。何よりも、ドライバーをアクションの中心に据え、コントロール ウェイトを磨き上げて満足度を最大化しました。マニュアルトランスミッションのシフト アクションを完璧にし、ハンドリングの限界を高めても、アクセスしやすく、満足感が得られるようにしました。これらすべてが組み合わさって、ヴァリアントのオーナーが他のクルマでは得られない素晴らしい体験を生み出しています。
アストンマーティン 車両パフォーマンス担当ディレクター サイモン・ニュートン
さらにはヴァリアントのボディワークもまた注目すべき点を多数備え、「安定性を高めてダウンフォースを生み出し、スピードを低下させる抗力を最小限に抑える」べく設計がなされていますが、フロントだと多層エンドプレーン、サイドでは(ヴァルキリーのような)波打つ形状を持つスプリッターにボルテックスジェネレータも(これらによって乱気流、抗力、揚力を低減する)。
リアは一層特徴的で、シャープなカム テールと大胆にな固定式ウイング、そしてクアッドエキゾーストパイプを強調するかのようなディフューザーがダイナミックな外観を完成させているようですね。
アストンマーティン・ヴァリアントのインテリアは「機能美を重視」
そしてアストンマーティン・ヴァリアントのインテリアを見てみると、レースで培われた機能性と、アストンマーティンが得意とする完璧なデザインと素材選択の巧みさが融合されたという印象であり、たとえばステアリングホイールだと「直径がより細いリムとスイッチのないスポーク」を備え、ドライバーの注意力を削ぐことがないように配慮されています。
シートもやはり同様で、必要最低限のパッド、そしてその戦略的な配置が「軽量性と機能の追求」を表現しているかのようですね。
さらにはマニュアル・トランスミッションの「機械的な性質」を強調するためにリンケージが露出しており、そのタッチにおいても”重量と感触を完璧なバランス”とすることに重点が置かれたのだそう。
このヴァリアントはグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(7月11日~14日)にて、有名なヒルクライムコースでのダイナミックなデモンストレーションとともに一般公開されるそうですが、なんとデモ走行を行うのは「ヴァリアントの最初の顧客」であるフェルナンド・アロンソだとされ、当日は大いに盛り上がることになりそうです。
アストンマーティン・ヴァリアントを紹介する動画はこちら
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