| フェラーリ 12チリンドリは見れば見るほど良く考えられ、デザインされたクルマである |
ピニンファリーナ時代ではけして生まれなかったスーパーカーだと考えていいのかも
さて、オートカヴァリーノさんに展示中(11日まで)のフェラーリ12チリンドリを見てきたのでその詳細を紹介したいと思います。
12チリンドリについては、先日開催されたフェラーリ・レーシング・デイズでもチェックしてきたものの、その際は室内に入ることができず、しかし今回は内装についても見せていただくことができ、外装とあわせてディティールを見てみましょう。
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フェラーリ 12チリンドリはクラシカルでもあり未来的でもある
この12チリンドリはフェラーリにとっての「V12フラッグシップ」ではあるものの、パフォーマンス面においてはその出力やサーキットのラップタイムともに(1,000馬力のSF90ストラダーレなど)V12エンジン搭載モデルを凌駕するクルマも存在し、よってフェラーリは(先代の812スーパーファスト世代とは異なって)V12エンジンモデルについて、これまでとはその立ち位置を変更することにしたといい、そこで誕生したのが12チリンドリ。
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よってフェラーリはこの12チリンドリにおいて今までにはない手法を取り入れていますが、そのひとつがこの「ブレード」で、まるで高級腕時計のケースに用いられるようなブラシ仕上げ風のフィニッシュを持っています。※この”ブレード”はフェラーリ・ヴィジョン・グランツーリスモにて取り入れられた手法だと認識している。ただしそちらはクリアパーツではあったが
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そしてこのブレードはサイドにも続き、このパーツもまた機械式腕時計のケースの「面取り」を連想させます。
さらにこれまでのフェラーリはこういった装飾性の強いパーツを用いることはなく、その意味でも12チリンドリがこれまでのフェラーリとはまったく異なる存在であることがわかりますね。
そしてフロントフェンダーは「球」のように盛り上がり・・・。
リアフェンダーは鍛え上げられた三角筋を連想させます。
そして前後フェンダーをつなぐのは二本のプレスラインで構成される「ブリッジ」。
なお、現在のフェラーリのチーフデザイナー、フラビオ・マンゾーニ氏は前後フェンダーを一本のラインにて接続する傾向がありますが(296GTB / 296GTS、499Pにて顕著である)、この12チリンドリではさらにその発展型デザインが与えられているということになりそうですね。
なお、フロントからサイドのブレード、そこからのブリッジに続き、リアエンドではまた「ブレード」が用いられていますが(これらは一直線上にある)、これはリアの「デルタウイング」とテールランプとを融合させる役割を持ち・・・。
テールランプが光るとこう。
そしてデルタウイングはこう。
リアウインドウとリアハッチ、そしてテールランプを統合するのがこの「デルタウイング」。
ちなみにリアハッチは(ボディ剛性確保のためか)比較的小さく・・・。
しかし容量はけっこう大きく、ちょっとした旅行であれば2人分のラゲッジをらくらく収納できると思います。
こうやってダッシュボードを俯瞰してみると、「デュアルコクピット」コンセプトを採用しているということがよくわかります。
なお、この「デュアルコクピット」はプロサングエにてより明確に再現された構成であり、「助手席に座る人にもドライバーと同じ体験を」という考え方を取り入れたもの。
そのコンセプト展開初期は「パッセンジャーディスプレイ」にはじまり、そして現在ではダッシュボード形状においてもドライバーズシート側とパッセンジャーシート側との共通性が見られます(もしかするとミドシップスポーツではこれまで通りにドライバーオリエンテッドなデザインが用いられ、ここでGT系とスポーツ系との内装における差別化が図られるのかもしれない)。
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ちなみにルーフにも「デルタウイング」と同じ(台形状の)ラインを持つデザインが採用され、全般的に非常に高い芸術性を持つことがわかりますが、そこはフェラーリだけあって機能や性能と無関係なデザインを採用するはずはなく、たとえば「リアフェンダー端の黒いパーツ」は単なる(黒い面積を増加させるためだけの)装飾ではなく、アクティブエアロとしても機能する「意味のある別体パーツ」です。
そのほかデザインと機能とが強く結びつくというディティールでは、リアディフューザー的な役割を果たすものと思われるテールパイプも同様です。
ちなみにリアディフューザーも「ダブル」構造を採用し、これもまたうまくデザインと構造・機能」とが融合された例でもありますね。
フェラーリ 12チリンドリを見てきた際の動画はこちら
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