廃止も囁かれたBMW Z4に救世主？米市場にMTを投入したところ下降傾向にあった販売が13％も伸び、MT比率が65％に達する

｜　やはりスポーツカーには「MT」が必須である　｜

なお、兄弟車であるGRスープラのMT比率も65％に上昇

さて、この数年の自動車業界において、「電気自動車に対する興味の減退」とあわせて明確になったのが「マニュアル・トランスミッション選好」という傾向。

これは新車の販売状況、そしてネオクラシックモデルのオークション落札結果において顕著ですが（フェラーリだと、MTのほうがオートマチック・トランスミッションに比較して大幅に高値をつけている）、今回非常に「意外な」結果が示されています。

BMW Z4の6速マニュアルがアメリカ市場で大成功、全体の65％を占める

そこで今回明確になったのが「2024年、アメリカ市場でBMW Z4の6速マニュアル・トランスミッション車の販売が65％を占めた」ということ。

このZ4のMT版は欧州だとすでに数年前に発売されていたものの、アメリカ向けとしては2023年にはじめて登場しており、ある意味ではこのタイムラグが飢餓感の創出につながったのかもしれません。

BMWによると、2024年にアメリカで販売されたZ4のうち、なんと65％が6速マニュアル車で、2024年におけるZ4の総販売台数は2,129台であったものの、そのうち1,400台近くが「Handschalter」（手動シフト）オプションを選んだわけですね。

アメリカ市場全体としてはオートマチック・トランスミッションが強く好まれるものの、（ポルシェ911GT3のような）トスポーツカーに関しては、ほか市場よりもマニュアル・トランスミッションを好む傾向が以前から報じられていて、今回もそういった性質が明確になったのだということを示しています。

そしてもうひとつ注目すべき数値は「Z4の販売が13.1％増加した」こと。

もともとの販売台数が1,883と少ないレベルにはあったものの、それまで「どんどん販売が減り、絶滅の危機にあった」Z4の販売がプラスに転じたことは明らかに「MT効果」であり、MT投入による積み上げがなされたのだと考えることが可能です。

BMWはマニュアル・トランスミッションの存続を表明しているが

なお、BMWはちょっと前だと「MTは無意味」と断じ、MTを廃止する意向を示していたものの、ポルシェ911GT3の「MT人気」に触発されたのかMTの継続を公式にコメントしています。

ただしその状況であってもMTにお金をかける意思は強くはなく、たとえば最新モデルであっても「1980年代くらいから進化していない」シフトノブを採用していて、これはひどく現代のBMWの内装にミスマッチではあるものの、BMWが「MTにはビタイチ新しい投資をしたくない」という主張なのかもしれません（あくまでも既存のパーツやコンポーネントをそのまま使用できる範囲においてでしかMTを存続させない）。

ただ、今回のZ4のほかにも、M2では「50％がMTを選んでいる」という統計もあり、BMWが「もっとMTにお金をかけるようになればいいなあ」というのがぼくの偽らざる心境でもあります。※一方、M3とM4だとMT比率はそれぞれ20％と15％にとどまり、それでも4ドアのM3のほうがMT比率が高いという事実は興味深い

参考までにですが、GRスープラのMT比率も（2024年の米国市場にて）65％に達しており、これは2023の43％に比較すると大きな伸びではあるものの、GRスープラの場合は「販売台数を上乗せできず」2024年では（2023年比で）その販売を失い、フェアレディZに逆転されてしまっています。

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