
| もともとロールス・ロイスの客層は「非常に若い」ことでも知られているが |
ロールス・ロイス=高齢富裕層? それ、もう古いかも
ロールス・ロイスのオーナーと聞くと、多くの人が想像するのは「運転手付きでゴルフに通う70代紳士」かもしれません(とくに日本では)。
実際のところ、ロールス・ロイスいうと過去のファントムやシルバースパーなど”伝統と威厳”のあるモデルが多く、よって「ロールス・ロイスのオーナー=高齢者」というイメージが長年揺るぎないものであったわけですね。
そして最新の報道によれば、新型EV「スペクター」の登場によって、その固定観念は完全に崩れつつあることが判明しています。
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スペクター購入者の平均年齢はわずか35歳
ロールス・ロイス・ノースアメリカ社長のジョン・コルベス氏によれば、スペクター購入者の平均年齢はなんと35歳。
さらに驚くべきことに、購入者のうち40%が初めてロールス・ロイスを手にする顧客なのだそう。
参考までに現在のロールス・ロイスの顧客平均年齢は42歳だそうですが(業界全体の中でも特に若い顧客層を持っている)、スペクターは「さらに若い客層を持つ」ということになり、アメリカ全体の新車購入者の平均年齢が52歳で、EVに絞っても41歳が平均年齢であるという統計があるため、ロールス・ロイスはそれらをいずれも下回っていることがわかります。
Image:Rolls-Royce
若年層が求めるのは「最新テクノロジーと個性」
若い購入者に人気の理由について、ジョン・コルベス氏は以下のようにコメント。
「若い顧客にとってテクノロジーは非常に重要な要素。スペクターが好まれているのは、新しい技術、新しい素材、新しいデザインが融合しているからです」
これはロールス・ロイスの「読みが当たった」のだとも考えられ、というのもロールス・ロイスは意図的にその「EV第一弾」を、(多くの自動車メーカーがそうするように)ファミリー層向けのSUVや、従来のロールス・ロイスの顧客に向けたセダンではなく、あえて「2ドアクーペ」という”若年層向け”のボディスタイルに設定したから。
加えて「テクノロジー」をアピールすることで、さらに「新しいもの好き」な人々への訴求を狙ったわけですね。
Image:Rolls-Royce
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その結果としてスペクターは大きなヒットを収め、多くのプレミアムカーメーカーがEVの販売に苦戦するのとは対象的に、ロールス・ロイスは「予定通り」電動化計画を進めるともコメントしており、「電動化への速度を緩め、ハイブリッドを拡充する」としたベントレーを尻目に「EV第二弾を発売する」。
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このあたりの戦略、そしてそれを見事当てるのは「さすが」としかいいようがありませんが、ロールス・ロイスはこのほかにも「ブラックバッジ」シリーズなどの試みを成功させていて、”ブランドの若返り”に成功した稀有なブランドとなっています(ほとんどすべてのブランドが顧客層の若返りを狙うが、これを成し遂げる例は非常に少ない)。
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Image:Rolls-Royce
そう考えると、「自らが築き上げたイメージを、自ら破壊しながら未来を作る」のがロールス・ロイスであるとも考えられ、確かに、近年ロールス・ロイスが発表しているビスポーク(特注)モデルでは奇抜なカラーやユニークな素材が目立ち、以前の保守的な印象とは大きく異なっていて、10〜20年前なら「品がない」と言われていたようなスタイルであっても、今では若年富裕層にとって魅力の象徴なとなっていることがわかります。
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購入者の多くは「テック系」「アーティスト」「アスリート」
そしてロールス・ロイスの広報責任者ジェリー・スパーン氏によれば、最近の顧客層には以下のような傾向があるとのこと。
- テック業界出身(スタートアップ売却やIPOで成功)
- 音楽業界、特にラッパー
- アスリート
こうした「若くして成功した」人たちが、初めてのラグジュアリーカーとしてロールス・ロイスを選んでいるようですね。
Image:Rolls-Royce
今後も「スペクター・ベルベットオーキッド」のようなモデルが増える?
さらにロールス・ロイスによれば、2025年5月に発表されたVelvet Orchid(ベルベット・オーキッド)スペクターなど、花柄や鮮やかなカラーを取り入れたビスポークモデルが今後も続々登場する見込みだといい、ニューリッチの「目立ちたい」「自分だけの1台が欲しい」というニーズに対し、ロールス・ロイスが完璧に応えていることもわかります。※「花柄」のロールス・ロイスなど、以前では想像すらできなかった
そして今後、ロールス・ロイスは「さらにこれまでの伝統を破壊しつつ」新しい未来を自らの手で作り上げてゆくこととなりそうですね。
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参照:The Drive