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「いま買うべき」フェラーリは「12チリンドリ」一択?12チリンドリはおそらく最後の自然吸気V12 GT、そして最高の「投資」であると考えられる5つの理由

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| フェラーリ 12チリンドリ:V12エンジンの「スワンソング」 |

「V12自然吸気」はいまでも希少種である

現在、自動車業界の話題はハイブリッド車(HV)と電気自動車(EV)一色となっていますが、その中でこの流れに真っ向から立ち向かうスポーツカーがフェラーリの12チリンドリ、そしてそのオープンモデルである12チリンドリ・スパイダー。

これらのグランツーリスモ(GT)は、812スーパーファストおよび812 GTSの後継として登場し、フェラーリ最後の自然吸気V12エンジンに対する献身とコミットメントを体現するクルマとして知られています(プロサングエは”ライフスタイル系”であり、ここでは触れない)。

V12モデルのほとんどは「ハイブリッド」「ターボ」化

現在でもV12エンジンを提供する自動車メーカーはいくつか存在し、(パガーニのように少量生産ではないという意味の)メジャーメーカーだとランボルギーニ、アストンマーティン、ロールス・ロイス、そしてメルセデス・ベンツ。

しかしそれらが積むV12エンジンはいずれも電動化あるいはターボ化されており、いまのところ「メジャーメーカーで自然吸気V12エンジン単体」で車輪を駆動させるのはフェラーリのみかもしれません。

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ただ、1947年から続く歴史を持つフェラーリとしても、V12エンジンを自然吸気、あるいは単体で存続させることは困難だと思われ、実際に2026年以降、EVとHVが販売の大部分を占める計画が(以前に)示されています。

これにより、長きにわたり愛されてきた自然吸気V12エンジンがターボあるいはハイブリッド化される、あるいは「そうでなくとも」イコーナのような特別なシリーズにしか搭載されなくなる可能性が高く、つまり「もうV12自然吸気エンジンのみで走る、通常ラインアップ」が消滅する可能性すら指摘されているわけですね。

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そしてこういった現状を鑑みるに、12チリンドリと12チリンドリ・スパイダーは、この伝説的なエンジンが永久に引退する前の最後の「晴れ舞台」となる可能性が囁かれていて、そしてこのV12エンジンこそが、12チリンドリを「今日購入できるフェラーリの中で最も価値が上がる可能性を秘めた投資」たらしめる理由だと捉えられています。※実際にフェラーリがそうアナウンスしたわけではないので事実は不明。フェラーリはなんとしても自然吸気V12エンジンを単体で存続させる可能性を追求しているはずなので、未来は技術の発展、あるいは規制の変更によって変わるかもしれない

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なぜ12チリンドリは「最高の投資」となるのか

1. 究極の自然吸気V12エンジン

12チリンドリの心臓部には、自然吸気6.5リッターV12エンジン(F140エンジン・ファミリーの進化版)が搭載されていますが、このエンジンは、ターボチャージャーやハイブリッドアシストなしで、生々しくリニアなパワーを供給するというフェラーリの内燃機関哲学の頂点を表す存在です。

歴史的なV12フェラーリ(デイトナやテスタロッサなど)が価値を急騰させたように、この「純粋さ」が熱狂的な愛好家の需要を刺激する可能性が非常に高く、希少性が価格上昇の原動力となる可能性は否定できない、とも考えています。

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  • スペック: 830馬力、最大トルクは7,250rpmで678Nmに達する
  • レブリミット: 9,500 rpmという(大排気量エンジンとしては)高いレブリミットを誇る
  • 希少性: Euro 6E規制が厳格化する中、ハイブリッド化なしでこれに対応したV12はこれが最後になる可能性が極めて高く、今後再び純粋なV12が登場することは法規制の観点から難しい(地域や台数を限定しての発売は可能かもしれないが、フェラーリは上場企業であり、コンプライアンスの関係上、規制をないがしろにはできない)

2. 限定的な生産台数と選別された顧客

フェラーリのハイエンドモデルには、アロケーションベース(割り当て制)の販売形態が採用されます。

ブランドの威信と価値を維持するために意図的に生産量を制限するこの戦略は、価格上昇に不可欠な要素でもあり、特にスパイダーモデルは、格納式ハードトップの魅力とV12の咆哮をオープンエアで楽しめるという点においてクーペよりも高いプレミアム価格が付く傾向にあります(そのぶん購入のハードルも高い)。

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  • 独占性: 12チリンドリは「選ばれた少数のためのクルマ」であり、フェラーリは過去のV12モデル所有歴を持つ顧客を個人的に選定し販売している(よってV8 / V6しか購入履歴がないぼくには購入の権利がそもそも存在しない)
  • 待機リスト: 既に待機リストは2027年まで伸びており、ライバル車のような大量生産は行わない

3. 50〜60年代GTへのオマージュデザイン

12チリンドリのスタイリングは(主観的かもしれませんが)1950年代から60年代のグランドツアラー、特にデイトナへの敬意を払いつつ、未来的な要素も取り入れた素晴らしいもので、フェラーリの過去と未来とをつなぐ存在、そしてターニングポイントとなる存在として記憶される可能性が高いであろうことが想定されます。※フェラーリのデザイナー、フラビオ・マンゾーニ氏はノーズについて、365GTB/4デイトナへのオマージュではなく、機能に形態が従った結果であるとコメントしている

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  • デザイン要素: 「ブラックバンド」ノーズ、長いボンネット、そしてラップアラウンド型のキャノピーは、クラシックフェラーリの痕跡を現代に蘇らせつつも未来へと向かうフェラーリの新しい姿を示唆している
  • スパイダー: 格納式ハードトップは14秒で展開・格納可能であり、剛性を損なうことなく、乗員にV12の音響を直接届ける

そのデザインは「賛否両論を生むことでさえ」市場での話題性を高める要因となり、記憶に留めることで将来のコレクター価値を押し上げる一因となりますが、12チリンドリは現時点でもその「資格が十二分にある」存在でもありますね(おそらくはBMWのジャンボキドニーも同様であろう)。

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4. 自動的に確保される「コレクターの血統」

自然吸気V12の「スワンソング」として、12チリンドリは自動的にコレクターズアイテムとしての系譜(あるいは資質)を確保していると考えてよく、むしろ「コレクターズアイテムにならない理由はない」とも考えられる要素を持っていて、こういった側面を見るに、フェラーリはもともと「12チリンドリを、コレクターへの贈り物」として企画したのかもしれません(フェラーリの法則に外れるような要素が含まれておらず、フェラーリの歴史にぴったり収まる存在である。そもそも12チリンドリ=12気筒という命名そのものがこのクルマの立ち位置と主張を明確にしている)。

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  • V12GTモデルの昇華: 812ファミリーの後継としてGTの基準を新たな高みへ引き上げつつ、1940年代から続くV12の血統を尊重。812ファミリーに比較し「過去へのオマージュ」的要素が強く、しかしその一方でF80にもつながる”未来を示唆する”要素も持っている
  • 投資価値: 限定モデルであるSP3 デイトナのような希少モデルと似た排他性を持っており、「ブルーチップ(優良株)」的投資となる運命をすでに持っている

5.フェラーリ12チリンドリのパフォーマンス:純粋なRWDモンスター

そして12チリンドリのパフォーマンスは「V12フェラーリの名に恥じないもの」。

RWDでありながら、電子制御ディファレンシャルやサイドスリップコントロール8.0といった最新の制御技術により、830馬力のパワーを完全に制御下に置いていますが、最も重要なのは「ハイブリッドでも4WDでもない」ということで、純粋に自然吸気V12エンジンを楽しむための存在として設計されたクルマであることかもしれません。

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項目スペック
エンジン6.5L V12 (自然吸気)
最高出力830 hp
最大トルク678Nm@ 7,250 rpm
トランスミッション8速 DCT (SF90比30%高速シフト)
駆動方式RWD(後輪駆動)
0-100km/h 2.9秒
0-200km/h7.9秒
最高速度340 km/h超
乾燥重量1,559 kg※軽量オプション装着時

結論:最高の投資としての12チリンドリ

市場に投入されたばかりであるため、12チリンドリの長期的な価値はまだ確定しておらず、しかし、過去のV12搭載フェラーリのトレンドを考慮すると、この12チリンドリが同じ道をたどることは非常に安全な仮定(あるいは既定路線)なのかもしれません。

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12チリンドリはフェラーリがEVとハイブリッドに未来を委ねる前の「最後の純粋なV12 GT」を象徴しており、厳格な顧客選定プロセスに後押しされた希少性もその価値を担保する要因に。

そして上に挙げた要素を考慮するに、現代フェラーリ最高の投資対象となる可能性を秘めている、と考えてもよいのではないかと思います(ただ、真打ちはこのハードコアモデル、あるいは後期型とそのハードコアモデルであろう)。

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参照:CARBUZZ, Ferrari

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