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| ジェネシスの野心が炸裂、GV60 マグマ |
ヒョンデ傘下にて高級車ブランドとして急成長を遂げたジェネシス。
今回、次の10年間の戦略として「Luxury High Performance(ラグジュアリー・ハイパフォーマンス)」を掲げ、その市販モデル第一弾として最高出力650馬力を誇る市販モデル「GV60マグマ」を発表することに。
これは単に速いクルマであるだけではなく、「韓国の革新」と「世界の野心」が融合し、ラグジュアリーとは何か、ハイパフォーマンスとは何かを再定義する「自動車業界への強烈な主張」であると受け取ることが可能です。
GV60マグマ:ジェネシス初の高性能市販モデルが示す「新時代の高級」
ジェネシスはフランスのポール・リカール・サーキットにて「マグマ・ワールドプレミア」を開催し、ここでは「マグマ」ブランドの将来的な計画が公表され、同時にブランド初の高性能量産モデルとなる「GV60マグマ」、そして将来的にGT3クラスへと参戦を目論む「GTコンセプト」の発表を実施。
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ヒョンデの高級ブランド「ジェネシス」よりマグマ GT コンセプト」発表。ついにスーパーカービジネスへと参入、GTレースへの挑戦も
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なお、この「マグマ」とはジェネシスにおける「ハイパフォーマンス」サブブランドで、ポルシェの「GT」、メルセデス・ベンツ「AMG」、BMW「M」、レクサス「F」のような存在であり、イメージカラーは「オレンジ」、そして」これは韓国の活火山、そして文字通り「マグマ」を表している、と説明されています。
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1. ラグジュアリー・ハイパフォーマンスの定義
ジェネシスが提唱する「ラグジュアリー・ハイパフォーマンス」は、従来の馬力やスピード中心の性能アプローチとは一線を画しており、ルク・ドンカーヴォルケ氏(ヒョンデ・モーター・グループ最高クリエイティブ責任者)は、「マグマは、エレガンスとバランスを保ちながら、ジェネシスDNAにアドレナリンを注入する」と説明。
つまりは「単に速さだけを追求したわけではない」ということを意味していて、ジェネシスならではの「エレガンス」を重視しているということになりますね(つまるところ、一部の限られた高いスキルを持つドライバーにしか引き出せないハイパフォーマンスではなく、テクノロジーの助けを得て、誰にでも簡単に引き出せるパフォーマンスを目指しているのだと思われる)。
- 融合: 洗練されたエレガンスと高い体験価値によって定義される「真のラグジュアリー」と、シームレスで努力を感じさせない(Effortless)性能を融合
- 哲学: 「Athletic Elegance(アスレチック・エレガンス)」というデザイン哲学を高性能領域に持ち込み、過度のエネルギーや激しさに頼るのではなく、バランスの取れたパワーと緻密に調整されたドライビング・ダイナミクスを優先
2. 驚異的なスペックと技術(具体的な数値)
GV60マグマは、ヒョンデ・モーター・グループ内でも最高水準の性能を発揮するモデルの一つに位置づけられており、メカニズム的には「アイオニック 5 N」の発展版とも言える存在です。
| 項目 | スペック | 補足 |
| システム最高出力 | 448 kW (609馬力) | 通常時(フロント・リアモーター合計) |
| システム最大トルク | 740 Nm | 通常時 |
| ブーストモード最高出力 | 478 kW (650馬力) | 約15秒間持続 |
| ブーストモード最大トルク | 790 Nm | 約15秒間持続 |
| 最高速度 | 264 km/h | |
| 0-200 km/h加速 | 10.9秒 | ローンチコントロール使用時 |
| 車高 | 標準GV60より20 mm 低下 | 低くワイドなプロポーションを強調 |
3. マグマ専用の高性能テクノロジー
さらにGV60マグマは「パワートレーンが提供する直接的なパフォーマンス」のほか、没入感の高いドライビング体験を実現するために専用のデジタルインターフェースと機能を搭載しており、以下のような特徴も。
- VGS (Virtual Gear Shift System): モーター出力と回生ブレーキを調整し、高性能内燃機関車のシフトチェンジの感覚を再現。高回転エンジンのサウンドも再生し、感情を揺さぶる体験を提供
- HPBC (High-Performance Battery Control): レースやドラッグ走行時にバッテリー温度を最適化し、ピーク性能を維持することに貢献
- ドリフトモード: パワー配分とe-LSD(電子制御リミテッド・スリップ・デフ)を組み合わせ、後輪駆動に焦点を当てた運転をサポート
- Magma Mode: インストルメントクラスターが3サークルレイアウトに変わり、モーター・バッテリー温度、Gフォースなどの重要な運転データを表示
4. デザイン:静かなる支配(Unspoken Dominance)
デザインは過度に派手ではなく、「秘めたる力」の存在感を強調したものだと説明されており、その概要は以下の通り。
- プロポーション: 全高を20mm下げ、ワイドフェンダー、専用21インチ鍛造ホイール(275mmタイヤ)により、低くワイドなスタンスを実現
- 空力: 機能的なリアウィング型スポイラーがダウンフォースを発生。新設計のリアバンパーとディフューザー構造により、空力性能を強化
- 内装: プレミアムなスエード調素材「Chamude」をシートや内装に採用。マグマ独自のオレンジとグレーのステッチ、キルティング、シートベルトがスポーティな高級感を演出
マグマ GT コンセプト:ブランドの未来を象徴する「ハローカー」
今回のワールドプレミアでは、市販モデルのGV60マグマに加え、ブランドの性能遺産の方向性を定義する「マグマ GT コンセプト」も公開されています。
GTレースへの挑戦と戦略
このGTコンセプトは、単なるショーモデルではなく、ジェネシスが今後数年で高性能の伝統を確立するためのロードマップ(道標)としての役割を担っており、その意味では「グランツーリスモ向け」にデザインされた「X グランレーサー ヴィジョングランツーリスモ コンセプト」「X グラン ベルリネッタ ヴィジョン グランツーリスモ コンセプト」とは立ち位置が異なる存在です。
- 目標: コンセプトを「ハローカー(ブランドの顔)」として開発し、GTレーシングクラスへの参戦を目指すという長期的な目標が示される
- 独立ブランドとしての成功: ジェネシスは、プレミアムカーブランド史上最速でグローバル販売100万台を達成。CEOのホセ・ムニョス氏は「マグマは、次の10年がさらに重要になるという我々の宣言だ」と述べ、このコンセプトがブランドの新たな成長の柱となることを示している
結論:高性能EV時代における「真のラグジュアリー」の解答
GV60マグマとマグマ GTコンセプトはジェネシスが「ラグジュアリー・ハイパフォーマンス」という新たな領域に本格参入したことを示しており、単なるラグジュアリーブランドでもなく、ハイパフォーマンスブランドでもなく、それらの融合という「次世代のラグジュアリーブランドのあり方を見ることができるのかもしれませんね。
そして電子制御が充実した現代において、ジェネシスがVGSやドリフトモードといった「運転の楽しさ」を追求する機能を搭載したことは、単なるスピード競争ではなく、より没入的でエモーショナルなドライビング体験を提供しようとする彼らの強い意志の表れでもあると考えられ、この意味でもジェネシスが「単なるハイパーマンすブランド」を目指すわけではないということがわかります。
- 新しい価値: 大量の馬力だけでなく、ドライバーとの調和、洗練されたデザイン、そして緻密なコントロール性能を重視することで、高性能EV時代における「真の高級感」とは何かという問いに明確な解答を出している
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ジェネシス、「次章へと突入」。650馬力の「GV60マグマ」で切り拓く「ラグジュアリー・ハイパフォーマンス」の新時代とは
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