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ポルシェの「2025年」はどんな年だったのか?最強911の降臨、EVへの歴史的転換、そして世界を圧倒した勝利の数々など今年を振り返ってみる

ポルシェの「2025年」はどんな年だったのか?最強911の降臨、EVへの歴史的転換、そして世界を圧倒した勝利の数々など今年を振り返ってみる

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| 数々の「マイルストーン」を打ち立てる一方、中国では記録的な販売現象も報じられる |

【この記事の要約:30秒でわかる2025年のポルシェ】

  • 新型ラッシュ: ハイブリッド化した「911ターボS」や史上最強の「カイエンEV」が登場
  • レースを支配: デイトナ連覇、フォーミュラE二冠、IMSA全タイトル防衛という圧倒的強さ
  • 75周年の節目: ツッフェンハウゼン工場での生産開始から75年、伝統と革新の融合
  • 新時代へ: 10年務めたオリバー・ブルーメCEOからマイケル・ライターズ新体制へ

2025年、ポルシェは単なる「スポーツカーメーカー」の枠を超え、新たな次元へと足を踏み入れることとなっていますが、気になるのは「電動化という荒波の中で、ブランドの魂である”走り”をどう守り、どう進化させたのか」。

「最新のポルシェこそが最良のポルシェである」というのはポルシェがずっと提唱してきた格言ではありますが、ここで2025年という激動の12ヶ月を「製品ラインナップ、モータースポーツ、そして企業戦略」の3つの視点から振り返り、2026年以降のポルシェが目指す「夢の形」を想像してみたいと思います。

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2025年の主要マイルストーン

2025年はまさにポルシェにとって「革新の連続」。

1月の新型911カレラSの投入を皮切りに、ポルシェはデジタル体験とドライビングダイナミクスの両面でライバルを突き放すべく快進撃を続けてきたことがわかります。

月別の主なトピックス

  • 1月〜4月:伝統とデジタルの融合
    • 911カレラSのデビュー
    • デイトナ24時間にて20回目の優勝を記録
    • ツッフェンハウゼン工場での生産開始75周年を祝福
    • PCM(ポルシェ・コミュニケーション・マネジメント)が刷新。Dolby Atmos対応など、車内が極上のリスニングルームへ進化する
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ポルシェ
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  • 5月〜8月:デザインと効率の追求
    • ポルシェ963RSPの納車
    • ル・マン24時間レースでの健闘
    • グッドウッド フェスティバル オブ スピードにてカイエンEV(プロトタイプ)のダイナミックデビュー
    • ベネチアでの建築インスタレーション発表など、アート領域への進出
    • ライプツィヒ工場が「Automotive Lean Production Award 2025」を受賞し、世界最高峰の生産効率を証明
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  • 9月〜12月:パワーの頂点へ
    • T-Hybrid技術を搭載した新型911ターボSが登場
    • IAAモビリティへの出展
    • 伝説的デザイナー、グラント・ラーソンの引退と、F.A.ポルシェ生誕90周年記念モデルの発表
    • ライプツィヒ工場が「リーン生産アワード」受賞
    • マカンEV「GTS」を発表
    • 2025年IMSAチャンピオンシップの王座獲得
    • カイエンEVの発表
    • 911GT3向けの「マンタイキット」発表
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36年の軌跡: ポルシェの夢を形作り続けたデザイナー、グラント・ラーソンが引退へ。ボクスター、カレラGTのデザインを手掛ける
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性能・デザイン・スペック:2025年を象徴する2台

そして今年のハイライトは何と言っても「ハイブリッド化された911」と「完全電動化されたカイエン」。

これらは異なる方向におけるポルシェの「頂点」とも言える存在であり、「これからのポルシェ」を示唆する象徴であるとも考えられます。

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新型カイエンEVは「史上もっとも重い」ポルシェ。それでもポルシェが「重量は気にする必要がない」と語る制御技術とは
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主要スペック比較

項目911 ターボS (T-Hybrid)カイエン Electric
パワートレイン革新的T-Hybridシステムフル電動(BEV)
位置付け歴代最強の市販911ポルシェ史上最強の市販車
特徴圧倒的なレスポンスとパワーオン・オフ問わない万能性と快適性
テクノロジー電動ターボチャージャー次世代バッテリーシステム
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ポルシェはなぜターボチャージャーを持たないクルマ(EV)にターボグレードを用意し、ターボを持つガソリン車の一部を「ターボ」と呼ばないのか
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モータースポーツでの圧倒的プレゼンス

「レースはポルシェのDNA」であることを、2025年のリザルトが改めて証明したことも見逃せず、ル・マン24時間の優勝こそ見逃したものの、主要分野における強さが光ります。

  • デイトナ24時間: ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが2年連続の総合優勝
  • ル・マン24時間: 総合2位(トップとわずか14秒差)に加え、LMGT3クラスで見事優勝
  • フォーミュラE: チームおよびマニュファクチャラーズ部門のダブルタイトル獲得
  • IMSA: ドライバー、チーム、マニュファクチャラーの全タイトルを完全防衛

これらの勝利は単なるトロフィー以上の意味を持ち、レースで培われたハイブリッド技術やソフトウェアの最適化は、そのままぼくらが乗る市販車へとフィードバックされることになり、より「ポルシェの”走り”を磨き上げる」こととなるわけですね。

さすがはポルシェ。同じ日に3つのモータースポーツカテゴリを制覇(おそらく史上初)、これはちょっと他の自動車メーカーでは真似できないな
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2026年、ポルシェはさらなる高みへ

2025年は、ポルシェにとって「準備と証明」の年であるとも考えてよく、オリバー・ブルーメCEOが築き上げた強固な基盤を受け継ぎ、2026年からはマイケル・ライターズ新会長のもと、新たな章が始まります。

製品の電動化、モータースポーツでの栄光、そして75年続くクラフトマンシップ。

これらが一体となり、ポルシェは未来のモビリティ社会においても「憧れの象徴」であり続けることは間違いなさそうですね。

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参照:Porsche

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