
| 日米欧の自動車メーカーは中国だけではなく「世界市場も」失うことに |
この記事のポイント(3行まとめ)
- 驚異の30%成長: 2025年の総輸出台数は832万台に達し、新エネルギー車(NEV)は前年比70%増と爆発的に成長
- 輸出先トップはメキシコ: 長らく1位だったロシアを抑えメキシコが首位に。UAE(アラブ首長国連邦)も急浮上
- 「安さ」が加速: 平均輸出価格は1.6万ドル(約240万円)まで低下し、テスラのシェア低下と中国独自ブランドの台頭が鮮明に
世界中の自動車市場は「中国に征服」されつつある
世界の道路を走るクルマがいま劇的に変わりつつあり、中国乗用車協会(CPCA)の最新データによると、2025年における中国からの自動車輸出台数は832万台という驚異的な記録を打ち立てたことが明らかに。
特筆すべきは、新エネルギー車(NEV)の勢いで、なんと前年比70%増となる343万台が世界へ羽ばたいたとされています。
しかしその裏側では「輸出先の勢力図」が大きく塗り替えられたことも見逃せず、その裏にあるのは「かつてない価格競争」だとされますが、ここでその裏事情を探ってみましょう。
2025年 自動車輸出国ランキング
2025年の輸出実績では、メキシコがトップに躍り出ており、北米市場への足がかりとしての重要性が高まっていることが伺えます。
総合輸出台数:国別トップ10
| 順位 | 国名 | 輸出台数 (台) | 備考 |
| 1 | メキシコ | 625,187 | ロシアを抜き首位奪還 |
| 2 | ロシア | 582,738 | 依然として巨大市場だが伸び悩み |
| 3 | UAE | 571,937 | 12月に急増、中東の拠点に |
| 4 | イギリス | 335,551 | 欧州拠点として好調 |
| 5 | ブラジル | 322,076 | 前年比ではやや減少 |
| 6 | サウジアラビア | 302,189 | |
| 7 | ベルギー | 300,103 | NEV輸出のハブ機能 |
| 8 | オーストラリア | 297,382 | |
| 9 | フィリピン | 256,681 | |
| 10 | カザフスタン | 211,545 |
NEV(新エネルギー車)輸出ランキング
ただしNEVに限定すると(ガソリン車を除くと)ランキングは一変し・・・。
- 1位:ベルギー(284,921台)
- 2位:イギリス(231,181台)
- 3位:メキシコ(221,027台)
欧州諸国が中国製EV・PHEVの主要な受け皿となっていることがわかります(つまり様々な車種によって様々な国を攻略しており、中国車の輸出は一過性のものではなく、地域ごとの明確な戦略によって支えられている)。
性能・価格・市場の変化
2025年の輸出傾向には過去数年とは異なる大きな特徴が見られ・・・。
1. 「テスラ離れ」による平均価格の下落
中国からの輸出1台あたりの平均価格は2023年の1.9万ドルから1.6万ドル(約240万円)へと下落。これは中国で製造・輸出されていたテスラのシェアが低下し、より安価なBYDや奇瑞(Chery)などの独自ブランドがシェアを伸ばしたため
2. 関税の壁と季節変動
2025年前半、米国による関税引き上げの影響で輸出が一時停滞したものの5月以降に急回復。12月には「中古車輸出」の駆け込み需要も重なり、1年を通じて過去最高を更新する
競合比較と市場での位置付け
さらに中国メーカーは今、「製品を売る」ステージから「現地に根付く」ステージへと移行しており、「輸出」だけではなく「現地生産」を進める自動車メーカーも。
この流れが加速するならば、日米欧の自動車メーカーは中国だけではなくその他の国や地域、はては母国においても苦戦を強いられるかもしれません。
- BYDの独走: PHEVとBEVの両輪で世界展開を加速。特に12月は単月で13万台超を輸出
- CKD(ノックダウン生産)の増加: 長城汽車や上海汽車(SAIC)などは完成車を送るだけでなく、現地で組み立てる比率を高め、貿易摩擦を回避する戦略をとっている
新しい知識:なぜベルギーとUAEが強いのか?
ここで補足しておかねばならないのは、ランキング上位にあるベルギーやUAEは単なる消費地ではない、ということ。
ベルギーは「欧州の玄関口」として、ここからドイツやフランスへと車両が運ばれ、一方、UAEは「中東・アフリカのハブ」として機能しています。
12月にUAEへの輸出が急増したのは、近隣諸国やアフリカ市場への再輸出拠点としての機能が評価されているからだとも報じられ、その意味ではこれらへの輸出がますます増加することになるのかもしれません。※ドバイにはけっこう中国車が多かった
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結論
2025年のデータは、中国車が「安かろう悪かろう」を完全に脱却し、世界のインフラとして定着し始めたことを示しており、関税などの政治的障壁はあるものの、メキシコや中東を足がかりにした拡大路線は今後も続くものと考えてよく、日本の自動車メーカーにとっても、これらの地域での戦いはこれまで以上に厳しいものになることが予想されます。
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参照:CarNewsChina, CPCA















