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| フェラーリF80の真の凄みは「パワー」よりも「パワーを活かしきる足回りと空力」にある |
フェラーリの「スペチアーレ」とは「過去」ではなく「未来」を示す存在である
フェラーリの新たな頂点、新型「F80」の納車が開始されている状況ではありますが、このF80はル・マン3連覇を成し遂げた「499P」譲りの1200cv(約1184馬力)という異次元のパワートレインを持っています。
ただしF80の真価はそのパワートレインのみにあるわけではなく、この暴力的ともいえる出力を「公道とサーキットで自在に操る」ために開発された究極のシャシー、ブレーキ、そして空力性能にあるわけですね。
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「子供の頃の自分との約束を果たした」。台湾第一号となるフェラーリF80が現地のスター、ジミー・リンに納車。その「夢が叶う」様子が公開
| 台湾のスターにしてレーシングドライバー、ジミー・リンにF80が納車される | 記事の要約:この記事でわかる3つのポイント 幼少期の約束: 23歳でフェラーリ348を購入して以来、数々のモデルを所有 ...
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フェラーリ F80:走りを変える4つの革新
- 世界初、3Dプリント製サスペンション: F1由来の技術でアルミニウム合金を積層。芸術品のように複雑で、従来より4kg以上の軽量化を実現
- 「空飛ぶ」アクティブ・サスペンション: プロサングエの技術をベースに「F80専用に」ゼロから再設計。路面状況に1000分の1秒単位で反応し、車体を常にフラットに保つ
- 異次元の制動力: モータースポーツ直系のCCM-R Plusブレーキを採用。時速100kmからわずか28mで完全停止
- 1トン超のダウンフォース: 時速250km走行時に1,050kgの路面押し付け力を発生。F1マシンのような安定感
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【レビュー解禁】メディアによるフェラーリF80試乗レポート続々。「もっとも完成された」次世代ハイパーカーの真髄とは?【動画】
| フェラーリが「スペシャルモデル」の試乗イベントを行うことは稀である | クリス・ハリスはマクラーレンW1をベンチマークとしているようだ さて、フェラーリがメディア向けにF80の試乗イベントを大々的 ...
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なぜF80は1200馬力でも「怖くない」のか?

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上述の通りF80は1,200馬力もの出力を発生させますが、そこで多くのスーパーカーファンが抱くであろう疑問が「これほどのハイパワーをどうやって制御しているのか」。
現代のスーパーカーやハイパーカーにおいて「パワー」はもはや最優先課題ではなく、そのプライオリティは「楽しさ」へと移りつつあります。
もちろんフェラーリも例外ではなく(ここ最近のフェラーリは開発コンセプトに”ファン・トゥ・ドライブ”を掲げている)、そもそも「いくら馬力があっても、それを楽しめないのでは意味がなく」、その馬力を手懐けるための答えがF80の「アンダーレイヤー(基盤技術)」にあるわけですね。
フェラーリのエンジニアリング責任者、アルフレッド・シフォ氏はF80の開発に際して「極限のパフォーマンスと最高のアーキテクチャの両立」を掲げており、「速い」だけでなく、ドライバーが意のままに操れる一体感こそが、F80を「ハイパーカー」以上に、「フェラーリのスペチアーレ」たらしめている所以である、とも語っています。
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フェラーリ F80とマクラーレン W1はどちらが優れる?スペック比較、そしてボクが思うこと。もはや重要なのは「数字」ではない
| 一昔前とは異なり、スペックが天井打ちになってしまった今、数字は優劣の判断材料とはならない | 重要なのはそのブランドの思想を反映しているか、そして時代を変革できるかどうかである さて、奇しくも同時 ...
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世界初。3Dプリントがサスペンションを「アート」に変えた
F80のサスペンションアーム(ダブルウィッシュボーン)は、もはや従来の鋳造品ではなく・・・。
- アディティブ・マニュファクチャリング: 金属粉末をレーザーで溶かし、層を重ねて形作る「3Dプリント」技術を採用
- 最適化された形状: 必要な場所にのみ素材を配置することで、強度を高めつつ劇的な軽量化に成功
- 機能の統合: アッパーアームがダンパーを動かすロッカーアームの役割も兼ねるという極めて複雑な構造を実現
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フェラーリF80は「近代のフェラーリの考え方を反映した技術上の頂点」。フェラーリはF430以降大きくそのあり方をシフトし、ロードカーにおいては常にこういった革新を行ってきた
Image:Ferrari | フェラーリは常に変化し続けており、ボクらはその考え方を理解し総合的にラインアップを捉える必要がある | 現時点でF80はフェラーリのロードカーの一つの到達点である さて ...
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モータースポーツ直系:CCM-R Plus ブレーキシステム
圧倒的な加速にはそれ以上の減速力が必要で、F80にはフェラーリのレース経験を凝縮した最新のカーボンセラミックブレーキが搭載されていること、これによって制動距離がお大幅に短縮されたこともすでに明かされていますね。
フェラーリ F80 ブレーキ&空力スペック
| 項目 | スペック・詳細 |
| フロントディスク径 | 408mm(新コーティング採用) |
| リアディスク径 | 390mm |
| 100km/h → 0km/h 制動距離 | 28m |
| 200km/h → 0km/h 制動距離 | 98m |
| 最大ダウンフォース | 1,050kg(250km/h時) |
| アクティブウィング可動域 | 上昇200mm / 角度調整 最大11° |
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【驚異の減速力】フェラーリF80が時速200kmからわずか98mで停止。100km/hからでもSF90ストラダーレ比で「1.5m短縮」
Image:Ferrari | 約1,200馬力のハイブリッドスーパーカーに搭載された“止まる力” | このブレーキ性能は、F1マシンのようなサーキット由来のテクノロジーによって実現される フェラーリ ...
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特許取得の冷却システム:
さらにはラ・フェラーリと比較してエアフローを20%向上させた「中空フロントシャシーレール」を採用し、空力性能を犠牲にすることなく、冷気を直接ブレーキへ送り込んでいます。
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【絶対性能の証明】フェラーリの進化は「フィオラノ」のラップタイムにて示される。F80はラフェラーリの「半分の排気量とシリンダー数で」5秒近く速く走るまでに
| はじめに:フェラーリが「フィオラノ」を重視する理由とは | 自社「専用」サーキットを持つ自動車メーカーは比較的珍しい フェラーリが新型車を発表する際、必ず言及するのがフィオラノ・サーキットでのラッ ...
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空力とメカニズムの調和:アクティブ・エアロ
F80のリアウィングは、単に上下するだけではなく・・・。
- インテリジェント制御: 加速、速度、ステアリング角に反応し、ウィングがリアルタイムで最適化
- 二つのモード: 「低ドラッグ設定」では空気抵抗を減らし最高速を追求、「高ダウンフォース設定」ではブレーキングやコーナリング時の安定性を最大化
- フロント・アクティブ・ガーニー: 車体前方でも気流を制御し、前後バランスを完璧に保つ

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なお、フェラーリは296スペチアーレ、アマルフィ、849テスタロッサなど直近のモデルにおいてアクティブエアロの制御を「細分化」しており、この数年で(市販車での)エアロダイナミクス分野においては格段の進歩を遂げているようにも思います。
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フェラーリは当初F80を「より攻撃的にすべく」シングルシーターとして企画していたようだ。実現すれば”座席あたり”もっとも高額なロードカーになっていたかも
Image:Ferrari | もしかすると、それくらい”振り切った”ほうが499Pゆずりのパワートレーンを搭載するエクスキューズになっていたのかも | さたにはシングルシーターのほうが後世の価値が高 ...
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ハイパーカー市場でのポジション:競合比較
F80は、マクラーレンW1やメルセデスAMG ONEといったライバルと比較されがちですが・・・。
- マクラーレンW1との比較: 軽量化と純粋な空力を追求するマクラーレンに対し、フェラーリは「AWD」「アクティブ・サスペンションによる姿勢制御」において、より複雑かつ洗練されたアプローチを取っている
- AMG ONEとの比較: F1エンジンをそのまま載せたAMGに対し、F80は「ル・マン勝者のV6ハイブリッド」という耐久レースの信頼性、そして3Dプリント等の最新製造技術を融合させている

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フェラーリのハイブリッド技術の進化|F1「KERS」からラ・フェラーリ、SF90、F80にいたるまでまでの系譜とは
| フェラーリはハイブリッドシステムによって「より速く、より効率的に」走れるようになっている | F1での「KERS」から始まったフェラーリのハイブリッド化 フェラーリのハイブリッド技術は、2009年 ...
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結論:すべてのシステムが「一つの生命体」として動く
フェラーリF80の凄さは、個々のパーツの高性能さだけではなく、サスペンションが路面を捉え、空力が車体を押し付け、ブレーキが確実に止める。これらすべてのシステムがコンピュータによって完璧に調和されている点。
意外かもしれませんが、フェラーリは昔から電子制御には非常に高いプライオリティを設定し車両制御技術を深化させており、このF80は「エンジニアリングと電子制御」のバランスという点においても非常に優れており、「ソフトウエア定義車両」ならぬ「コンセプト定義車両」として設計・製造されたクルマなのかもしれません。
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フェラーリのステアリングホイールと“マネッティーノ”の進化とは?:F1から学んだ究極のHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)
| ステアリングホイールは進化しない?フェラーリが変えた“操る感覚” | フェラーリの市販車の進化は常に「レーシングカー」とともにある クルマの四隅に取り付けられるホイール(車輪)と同じく、ステアリン ...
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1200cvという猛獣を手なずけ、ドライバーに「走る歓び」を確信させる。フェラーリが「新しいテクノロジーの幕開け」と表現するとおり、F80はまさに自動車工学が到達した現在の最高到達点というべき存在であり、フェラーリの「未来」を体現する一台であると思います。

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フェラーリF80はなぜV12ではなくV6を採用?「現在のレーシングシーン(F1、WEC)で頂点に立つのは、V6ターボとハイブリッドの組み合わせだから」
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フェラーリF80は288GTO、F40、F50、エンツォフェラーリ、ラフェラーリと並び「ビッグシックス」として認知されるのか?そもそもフェラーリの”スペチアーレ”の意義とは
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