| なんだかんだでテスラは何をやっても「テスラだから」で許される環境ができてきたような気がする |
一方、ちょっとしたことでも許されず、大きな批判を浴びる自動車メーカーも
さて、テスラはつい数日前に値上げを行ったばかりですが、今回「この1週間で2回めの」値上げを敢行。
なお、前回の値上げは(ロシアのウクライナ侵攻によって高騰した)ニッケルを使用したバッテリーを積むモデル3ロングレンジのみにとどまっていたものの、今回の値上げは幅広いモデルレンジにおいて4~10%の値上げが実行されており、たとえばもっとも安価なテスラであるモデル3のベーシックモデルだと4万4990ドルから4万6990ドルへと(4.4%の)上昇となっています。
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テスラの価格は上がり続ける
テスラ・モデル3は当初「3万ドル」という価格を掲げて予約が開始されたものの、現在はその1.5倍程度の価格に値上がりしてしまい、今年だけでもモデル3ロングレンジは5万990ドルから現在の5万4490ドルへと上昇し、モデル3パフォーマンスは5万8990ドルから6万1990ドルへ。
モデルYロングレンジの価格は5万9999ドルから6万2990ドルへ、モデルYパフォーマンスの価格は6万4990ドルから67,990ドルへあがっており、これらはそれぞれ5%と4.6%の上昇となっています。
一方、モデルSデュアルモーターは9万4990ドルから9万9990ドルへ、トライモーター仕様は12万9990ドルから13万5990ドルへ(それぞれ5.2%と4.6%の上昇)、そしてモデルXデュアルモーターの価格は10万4990ドルから11万4990ドルと9.5%の上昇を見せ、モデルXトライモーターだと以前の12万6490ドルから13万8990ドルへ(9.8%の価格上昇)。
ちなみにアメリカだけではなく中国でも価格改定がなされているといい、モデル3パフォーマンスの希望小売価格は、ここ最近で5%上昇して1万8000元となっています(ただ、これは日本円に換算すると335万円になるので、中国現地でのテスラの価格はかなり安い)。
イーロン・マスクCEOによると、これら値上げは「原材料の高騰と、物流費のインフレ」によるものだと言及されていますが、この様子だと、一時期ウワサされた「270万円のエントリーテスラ」につき、この価格はもう実現不可能なのかもしれません。
参考までにですが、テスラ最大の競合であるリビアンにつき、材料費の高騰を理由に車両価格の値上げを試みたものの、この動きが厳しく批判され、株価が急落し訴訟を起こされるまでに発展。
ただ、テスラの場合は値上げによってここまで批判されることはなく、これもまた「テスラならでは」なのかもしれません。
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そしてちょっと気になるのはGMCハマーEVやフォードF-150ライトニングで、これらは受注を開始してから納車までまだしばらく時間があり、その間に「もともとの価格で販売できなくなる」のは火を見るよりも明らか。
もちろん契約書には「社会情勢に応じて値上げを行う」という項目が盛り込まれているはずではありますが、その値上げ幅はかなり大きく、なにかと物議をかもすことは間違いなさそうですね(大手メーカーだけあって、テスラのようなフリーダムな値上げは許されないのかもしれない。テスラのやり方に納得できない人々がこれらに流れているはずなので、テスラと同じように値上げすると怒ると思う)。
テスラは様々な批判を回避するためにアップデートを用意
今年に入ってからテスラのリコールが相次ぎ、かつその原因となる内容が「危険」だと非難されていますが、完全自動運転ベータプログラムの次期アップデートにてその流れを断ち切ろうとしているもよう。
新しいアップデート「10.11」では、テスラは最近寄せられた例の「ファントムブレーキ」に関する苦情に対処するほか、様々な問題を改善するものだと言われます。
このアップデートは現在、テスラの従業員のみに配布されているそうですが、早ければ今週末には一般公開される可能性がある、とのこと。
なお、ファントムブレーキ対策としては、テスラが「Vulnerable Road Users(VRU)」と呼ぶ事象を探すプログラムも含まれ、テスラは「VRUの検出精度を44.9%向上させ、歩行者や自転車の偽陽性(特にタールの継ぎ目、スキッドマーク、雨だれ周辺)を劇的に減少させた」と述べ、これらのアップデートによてVRU由来による減速(つまりファントムブレーキ)発生率を減少させたと述べています(さらに、テスラ車に近い位置にいるバイク、車椅子、スクーター、歩行者の予測速度誤差を約63.6%削減することに成功したらしい)。
要はこのアップデートによって飛躍的にテスラの安全性が向上すると考えて良さそうですが、問題が指摘されてからここまで早い時間で対処できたのは「すべてのソフトウェアを自社で開発しているテスラならでは」であり、ソフト開発を外注している自動車メーカーや、規模が大きく、多くの人の承認を得なければならない(そして完璧を期待する)既存自動車メーカーにとってはできない動きなのかもしれませんね。
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参照:CNBC, etc.