| 「在宅ワークをやめて出社しなければ解雇」は一定の従業員を解雇するには非常に良い手段だとも考えられる |
ただし世間にはまったく違う意味に取られてしまったようだ
さて、テスラCEOであるイーロン・マスク氏が「テスラの従業員は在宅勤務をやめて週40時間はオフィスに出社するよう」求めたという社内メール(火曜日)が公になった数日後、今度はイーロン・マスクCEOが社内(のおそらく上層部)にあてたメール(木曜日)にて「今後の経済の見通しについて、かなり悪い予感がする」「従業員の10%を解雇したい」「新規採用を世界中で停止するよう」言及していることが判明し、テスラの株価が大きく下落することに。
「在宅ワーク禁止」も雇用削減の一環?
上述の通りイーロン・マスクCEOは「リモートワークをやめて出社するよう」従業員へとEメールを送っており、その中では「さもなくば職を失うだろう」とも言及していますが、これは事実上「出社するか、退職するか」を迫った選択肢だとも考えられます。
ただ、後のメールの「10%を解雇したい」という部分を見ると、「在宅禁止(職場復帰)」メールは起動退職者を募るためのメールだとも考えられ、手間を掛けずに人員削減を行うための手段だったと考えることができそうです(人員削減については、様々な手順や、従業員に対する説明などが必要で、けっこう手間がかかるが、従業員のほうから”辞める”と言ってきた場合はかなり手間や負担が省略される)。
(テスラの指示した)在宅ワーク禁止については「時代遅れ」「不条理」等様々な意見が出ましたが、もしこれがローコストな人員削減を狙ったものだとしたらこういった批判は的外れということになり、そして労せずして人員削減を達成したであろうテスラを見習おうとばかりに、これを批判した企業の中にも真似をするところが出てくるのかもしれません。
イーロン・マスクCEOは「不況はポジティブ」だと考える
なお、イーロン・マスクCEOは「(現在のような)不況はポジティブな要素」だと発言したことがあり、その真意としては、おそらくテスラが他の自動車メーカーに比較すると「体力がある」ということなのだと思われます。
現在はインフレによる原材料高騰、サプライチェーンの問題による資材不足に加え半導体(マイクロチップ)不足、さらにはコロナウイルスのパンデミックなど様々な問題が一度に押し寄せていて、しかしテスラのクルマは内製率が高いこと(ガソリン車に比較するとパーツ点数も少ない)、ソフトウエアを自社開発していることでマイクロチプ問題には他のどこよりも素早く適切に対処できたこと、さらにもともとオンラインによる直販体制を取っていたのでコロナウイルスに起因するロックダウンの影響を受けにくかったといった事情もあって、つまりテスラはほかメーカーほどダメージを受けておらず、相対的に販売の機会が上昇したということにもなりそうです。
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ただしイーロン・マスクCEOの発言は誤解されやすい内容も多く(そもそもイーロン・マスクCEOは理解してもらおうとは考えていないのだと思われる)、よって今回の「出社せよ、さもなくば解雇」についても、実際は「(自主退職によって)収益が改善する」「問題を起こさずに不要な従業員をカットする」といったポジティブ材料であった可能性が高く、しかし市場ではネガティブ材料として判断されてしまったということになりますね。
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参照:Reuters