IIHS(米国道路安全保険協会)が発表したところによると、近年の自動車に装備される「レーンデパーチャーワーニングシステム(車線逸脱警報)」は年間で85000件の事故を未然に防いでいる可能性がある、とのこと。
これは警察の公表する資料を専門家が分析したもので、衝突の可能性11%、怪我の可能性21%が車線逸脱警報によって回避されている、としています。
※アメリカの一部地域では法的にウインカーを出す必要がなく、ウインカーを出さずに車線変更するのが常であり、そういった場合に毎回これが作動するのかどうか、そして北米仕様の作動ロジックは不明
加えて同統計ではブラインドスポットモニター(=BSM、後ろから来る車を知らせてくれるもの)は同じく事故を14%、怪我を23%防いでくれる、としています。
たしかにこういったデバイスは非常に便利で、スバルの発表によるとアイサイト搭載車はじつに60%も事故率を低減させているといいますし、安全デバイスについてはさらなる進歩や、標準装備化が望まれるところですね。
カメラやレーダーを複合して状況判断に活用することで「人間の目では見えない」事故の予兆を予見することもできそうです、目に見える範囲でも「ぼんやりして」それをドライバーが見落とす可能性があることを考えると、やはりこういった装備は重要だと思います(日本における死亡事故原因は”不注意”が多い)。
ただ、こういったデバイスの普及によって人々がそれに「依存」してしまい、本来ドライバーが払うべき注意を知らず知らずのうちに怠ってしまう可能性があるのはちょっとした懸念で、とくにそういった安全装備が充実した車から「そうでない」車に乗り換えた場合は要注意(ぼくも身に覚えがあり、他人事ではない)。
むしろこの場合は事故率が「上昇する」可能性もあり、人は便利な環境に「すぐ慣れる」ことを考えると、単に「注意すれば解決」という問題でもなさそうです。
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パナソニックが「居眠り防止」機能を発表。
これは居眠りしそうな状態を検知するばかりではなく、その状態にある人を「目覚めさせておく」ことも可能としており、なかなかに画期的なシステムと言えそうです(車だけではなくオフィスにも導入すると生産性が向上するかもしれない)。
現在でも頭の動きなど(コックリコックリしている)を検知して居眠りを防止するデバイスを内蔵する車はありますが(レクサス、メルセデス・ベンツ、ボルボなど)、パナソニックの場合は「目と表情」をモニターするとのことで、更には赤外線カメラで体温までも監視。
これらによって「居眠りしている」となる前に「居眠りしそう」な状態を察知する、としています。
日本の場合、死亡が絡む交通事故発生の原因として「注意不足」が非常に高い比率を占め、この中には「居眠り」もあると思われるものの、居眠り運転を防止できる装備があれば事故発生低減への大きなきっかけにもなりそうですね。
ほかにも重大事故の原因となる「飲酒(最近はかなり減った)」についても、(センサーに息を吹きかけるなどして)飲酒状態にないことを確認しないとエンジンがかからないデバイスなどが発表されていて、各社とも安全運転については様々な取り組みをしている模様。
あわせて車自体の事故率も大きく下がってきており、それによる保険料の引き下げも発表されていますが、自動運転の普及もあわせ、いつの日か「事故ゼロ」の日が来るのだろうか、と考えたりします。