| 中国市場の規模は魅力的だが、競争があまりに厳しすぎる |
中国の自動車市場に異変が生じている、とのレポート。
Autonews Europeによると、現在「大手」と言われる現地自動車メーカーのシェアが急降下しているとのことで、たとえばロータスとボルボの親会社、吉利汽車(Geely)の市場シェアはここ4ヶ月で20%も下落した、と報じています。
この原因としては、中国政府の「EV補助終了」があるとされ、地域によって異なるものの、たとえば北京ではこれまでEVとPHEVに対して出していた助成金を50%カット(日本のエコカー現在やEV購入補助のようなもの)。
これによって一気に販売が65%ほど減ってしまったメーカーもあるようですね。
自動車メーカーも結局は政府の「コマ」のひとつ。どこかが生き残ればそれでいい
なお、中国はその環境に対する姿勢を世界に示すため、EVの販売を推進し、メーカーに対してはEV製造開発に対する補助、ユーザーに対してはEV購入に対する補助を行ってきましたが、これが今後変わってくる、ということに。
そこで困るのは自動車メーカー。
中国政府の方針を汲んで「EV強化」に動いたものの、それがコロっと方向が変わり、今までの投資が「無駄になりかねない」という現状もあるわけですね。
たとえば中国政府は、一定台数の生産を行う自動車メーカーには「一定割合のEV生産」を義務付けていると言われ、そのためにトヨタも現地自動車メーカーからEVの「OEMを受ける」など対応に苦慮。
しかし今回は政府がEV普及のための補助を辞める方向に動き、それによってEVが売れなくなってきている、ということになります。
なお、大手メーカーは上述のように「EV強化」に動いていますが、いかに補助が出たとしてもEVは非常に高価であり、中国農村部の人々にとっては「手が出ない」もの。
そこで出てくるのが、その「ニッチ」を埋めるメーカーで、いわゆる低所得者層に向けた安価なガソリン車の提供。
さらにEV購入時の補助が減っていることで、普通の人々にとっても「EVが手の届かない」クルマになってしまうことに。
これによって弱小自動車メーカーが販売台数を伸ばしているという現状もあるようですが、今回の中国の背方針変更を受けて(EV推進が変わるわけではないが、補助が減ってゆく)大手メーカーのシェアが弱小に食われる、といった状況が発生しているようです。
プジョーは大量解雇、工場閉鎖も
そして別メディア(ロイター)が報じるのが「プジョー・シトロエン(と合弁にて展開している東風汽車)の不振」。
ピーク時の販売(2014年の731,000台)から現在は1/3程度まで販売が減少してしまい、年内には4,000人の解雇、そして4つある工場のうち2つを閉鎖する、と発表しています。
(販売不振の)詳細な理由については公表されていないものの、簡単に言うと「人気がなくなった」ということになり、ぼくとしては「中国現地メーカーにシェアを食われたんだろうな」。
まだまだ中国現地メーカーが少なく、その品質が低かった頃、プジョー・シトロエンは中国自動車市場の「ボトム」を担う役割を持っていたものの、今や中国の自動車メーカーがプジョー・シトロエンのポジションに置き換わってしまい、その存在価値がなくなったのでは、と考えています。