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最近ニュルブルクリンク界隈が騒々しいな・・・直近で大きな入れ替わりがあった「TOP10」はこんなクルマによって占められる

最近ニュルブルクリンク界隈が騒々しいな・・・直近で入れ替わりがあった「TOP10」はこんなクルマによって占められる

Image:Mercedes-Benz

| 世界で最も過酷なサーキット「グリーンヘル(ニュルブルクリンク北コース)」 |

直近ではアメ車の躍進が著しく、トップ10に3台もランクイン

ドイツの森を縫うように走る全長約21.8kmのニュルブルクリンク北コース(Nordschleife)は、その危険さから「グリーンヘル(緑の地獄)」とも呼ばれます。

そしてここは急な勾配や低速・中速・高速様々なカーブ、長い直線にて構成され、出力のみではなくそのハンドリングにブレーキ性能、さらには冷却性能含む耐久性までもが試されることから、スーパーカーや高性能車の実力を測るひとつの基準として認知されており、世界中の自動車メーカーがこの地に開発拠点を構えていることでも知られます。

日本の自動車メーカーにおいても「ニュルで鍛えた」という謳い文句を使用すれば”マニアも納得”という風潮すら見られ、もはやニュルブルクリンクはサーキットという範疇を超えて「一つの象徴」としても機能しているのかもしれません。

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Image:Mercedes-Benz

ここでは主にメルセデス・ベンツ(AMG)、ポルシェそしてランボルギーニが上位争いを繰り広げてきましたが(一方でフェラーリやアストンマーティン、ブガッティ、マクラーレンは公式にはアタックを行わない)、近年ではアメリカ勢の躍進も著しく、現在ではTOP10のうち3割を米国車が占めています。

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ニュルブルクリンク最速ラップタイムTOP10(量産車)

そこで今回、ニュルブルクリンクのランキング「TOP10」を見てみたく、しかしこれほど短期間でランキングが入れ替わったことは今までになかったのでは、とも認識しています。

1位:メルセデスAMG One

タイム:6分29秒09

  • ハイブリッド:1.6L ターボV6+4モーター
  • 総出力:1,063ps

F1由来のパワートレインを公道車に移植した究極のハイパーカー。

史上初の6分30秒切りを達成していますが、その破格の性能や価格を考慮すると「納得」でもありますね。

ただ、北米や中東、オーストラリアなど多くの国や地域では「合法に登録できず」、これを市販車と呼んでいいのかといった議論もあるもよう。

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2位:ポルシェ911 GT2 RS マンタイ・レーシング

タイム:6分40秒33

  • エンジン:3.8L ツインターボ水平対向6気筒
  • 最高出力:700ps

ポルシェの子会社、マンタイ・レーシングが提供する「地域限定オプション」を装着した特別仕様車(ニュルブルクリンクにてタイムを記録するためだけに開発されたオプションだと考えていい)。

レーシングカー由来の空力・足回り・ブレーキを備え、後輪駆動ながら怪物級のタイムを記録していますが、やはり「世界中どこの地域でも購入・登録できる」わけではないことから、市販車にカテゴライズすることには異論が唱えられています。

ポルシェ911GT2RS MR
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3位:メルセデスAMG GT ブラックシリーズ

タイム:6分43秒60

  • エンジン:4.0L ツインターボV8
  • 最高出力:720ps

事実上のGT3マシン公道仕様で、可変エアロやサーキット向けサスペンションを備え、しかしこちらは限定ながらも「世界中、どこでも合法に登録できる」ため、市販車という括りでは真の王者と言えるかもしれません(実際、ニュルのランキング1位に輝いたこともある)。

さらには、これまで「RR」「MR」「ミドシップ4WD」のみが君臨していた王座を(短期間ながらも)「FR」として獲得したことについても称賛を送るべきだと考えています。※FRとしては今でも「もっとも速くニュルを走る」クルマである

メルセデスAMG GTブラックシリーズ
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4位:ランボルギーニ・アヴェンタドール SVJ

タイム:6分44秒97

  • エンジン:6.5L V12 NA
  • 最高出力:770ps

2018年、開発ドライバーのマルコ・マペッリが当時の世界最速を更新。

ランボルギーニは「ニュルブルクリンク上位」常連であり、過去に何度もトップの座を奪い取っています。※このアヴェンタドールSVJもかつては1位であった

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5位:シャオミ SU7 ウルトラ

タイム:6分46秒87

  • 駆動:トライモーターEV
  • 総出力:1,527ps
  • 0-100km/h:1.9秒

中国の家電メーカーシャオミがEVで世界を驚かせた1台。ただし、軽量化と空力強化を施した“実質プロトタイプ”仕様であり、これについても市販車とは呼べないかもしれませんが、シャオミは「同じ仕様」を市販すると公言しています。

いずれにせよ、「中国車」「EV」としては驚くべき快挙であり、多くの自動車メーカーがその認識を新たにせずはいられない存在だと思います。

シャオミが「SU7 ウルトラ」を発表、ニュルを7分以下で走り「最速の4ドアになった」。その価格1750万円、1548馬力、0-100km/h加速1.98秒、最高速350km/hというハイパーカーの領域に
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6位:シボレー・コルベット ZR1X

タイム:6分49秒27

  • ハイブリッド:5.5L ツインターボV8+モーター
  • 総出力:1,250ps
  • 0-100km/h:1.9秒(推定)

コルベットZR1のパワーアップ版で、前輪をモーター駆動するeAWDシステムを搭載し、圧倒的加速を実現。

「限定ではない」市販車としては最速であり、かつその出力の高さ、それに対する価格の安さが大きな話題に。

【ついに価格公開】シボレー・コルベットZR1X、ベース仕様で3,000万円超え。しかし「この価格でハイパーカー並みの性能を手にできる」のであれば安いもの
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これもやはり「常識を超えた」新しい世代のスーパーカー(あるいはハイパーカー)だと言えるでしょう。

なお、ZR1ともども、「もっと速く走れる」という専門家の意見もあり、再アタックに期待がかかります。

7位:ポルシェ911 GT3 RS(ヴァイザッハパッケージ)

タイム:6分49秒32

  • エンジン:4.0L 水平対向6気筒NA
  • 最高出力:520ps
  • 0-100km/h:3.0秒

「1,000馬力級」がひしめく中、「わずか」520psながらも空力性能の高さと軽量化で驚異のタイムを叩き出したピュア・サーキットマシン。

これこそ「ポルシェの真髄」といえるスポーツカーだと考えています。

予想通りにポルシェ911GT3 RSがニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにアタックを行い、20.8kmの「長いほう」のコースを6分49秒328というタイムにて走行したと発表(もちろんヴァイザッハパッケージ装着)。
ポルシェ911 GT3 RSがニュルを走り6分49秒328を記録!「NA最速」なるも「ニュル」最速ならず。これは絶対MRキット装着でリベンジだな

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8位:シボレー・コルベット ZR1

タイム:6分50秒57

  • エンジン:5.5L ツインターボV8
  • 最高出力:1,064ps
  • 0-100km/h:2.3秒

1,000馬力超のモンスターV8を搭載する「ノンハイブリッド」コルベット。

それまで「アメ車最速」であったマスタングGTDのタイムを「わずか数カ月後に」書き換えていますが、注目すべきはステアリングホイールを握ったのがレーシングドライバーではなく、コルベットの開発主任エンジニアであったということで、以下に経験豊富といえど、レーシングドライバーでなくともこのタイムを出せる、というところに大きな価値があるように思います。

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9位:ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ LP640-4

タイム:6分52秒01

  • エンジン:5.2L V10
  • 最高出力:640ps
  • 0-100km/h:2.9秒

2016年、ランボルギーニが当時の世界最速を樹立したスーパーカーもいまでは「9位」。

鍛造カーボンパネルやALAと呼ばれるアクティブエアロを採用し(ただ、これ以降ランボルギーニは同システムを投入していない)、軽量化とダウンフォースを両立した画期的な一台です。

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10位:フォード・マスタングGTD

タイム:6分52秒07

  • エンジン:5.2L スーパーチャージャーV8
  • 最高出力:815ps
  • 最大トルク:900Nm
  • 0-100km/h:2.3秒(推定)

「アメ車最速」「アメ車ではじめてニュル7分切りを達成した」マスタングGTD。

フォード・パフォーマンスが「史上最速のマスタング」を目指して開発し、フォードGTDと同じくカナダのマルチマチック社によって製造がなされます。

アクティブDRS、フロントフラップ、特製アンダーボディなど徹底した空力対策を採用し、上述の快挙を成し遂げるも、その数ヶ月には「コルベットZR1Xだけではなく、ZR1にも記録を破られてしまった」悲運のクルマ。

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まとめ

なお、はじめて「ニュルで7分を切った」のはポルシェ918スパイダー(2013年9月)ですが、これは「マジか」「いやフェイクだろう」と大騒ぎになったほどの衝撃的なタイムであり、「市販車では到達不可能」と思われていた数字。

しかしいまやそのタイムも「トップ10に入らない」ところに時代の進化を感じます(それまでニュルのタイムは大きく縮まらなかったが、その後、そしてこの5年ほどで一気に数字が短縮された)。

そしてニュルブルクリンク北コースは、単なる記録争いの場ではなく、メーカーの技術力を証明する「ほかでは代替がきかない」ステージとしてのポジションをますます強めており、よって今後も新たな挑戦者が現れ、このランキングは塗り替えられてゆくこととなりそうですね。

そしてかつてのR35 GT-Rのように、この上位へと日本車が登場することを願わんばかりです。

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