Image:Radford
| ラドフォードは内部での訴訟合戦に加え「外部からも」訴えられる |
なんとか再生の道を模索してほしいとは考えているが
さて、先日報じられた「ジェンソン・バトンが設立に関わったコーチビルダー、ラドフォードが詐欺のカドで訴えられている」という衝撃的なニュース。
これに関しては続報がいくつか出ており、そのほとんど(というか全て)が「お金を支払ったのに納車されない」という苦情です。
このラドフォードは2009年のF1ワールドチャンピオンであるジェンソン・バトン、デザイナーのマーク・スタッブス、弁護士のロジャー・ベイル、テレビ司会者でカービルダーのアン・アンステッドらが立ち上げた会社で、ロータスとの契約やJPSの商標使用権の獲得などを全面に押し出し華々しくデビュー。
第一号として「タイプ62-2」を発表しパイクスピークに参戦、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでの走行など「誰もが明るい未来を感じる」プロモーションを大々的に行っていたわけですね。
-
ジェンソン・バトンが設立に関わったコーチビルダー、「ラドフォード」が破産を申請、さらに身内で訴訟合戦に。ロータスとの提携や数々の受賞の後の転落
Image:Radford Motors | 現時点では破産や訴訟の行方は見えておらず、しかしラドフォード・モータースは経営者が交代し存続する可能性が大 | 非常に素晴らしいクルマを作っているだけに、 ...
続きを見る
ただしその後ラドフォードでは「内輪もめ」が生じる
しかしながらその後、ラドフォードは顧客から申込金を受け取ったにもかかわらず「納車を行わない」として問題となり、共同設立者の一人が別の経営者を「資金の不正流用」を行ったとして告発するなど”内輪もめ”が発生し、さらに今回は内部だけではなく顧客からも訴訟を起こされてしまった、ということに。
報道によると、フロリダ州の外科医は、タイプ62-2(公道走行版)のために30万ドル(現在の為替レートだと約4600万円)の保証金を支払ったものの未だ納車されていないといい、北米のランボルギーニディーラー、ランボルギーニ・パームビーチが同じくこの外科医のために注文を代行したタイプ62-2パイクスピーク(競技用車、75万ドル=約1億1500万円を入金済み)もやはり納車されないままなのだそう。
訴状によると、ラドフォードは車両の納車日を繰り返し遅らせ、最終的には「返金スケジュール」を提案したとされていますが、訴訟が提起された時点で、どちらのクルマも納品されておらず、さらに悪いことに返金もされていないとされています。
そしてまた別の顧客は「2022年5月にタイプ62-2のために10万1000ドルの預金をラドフォードに支払い、(共同設立者の)アン・アンステッドとジェンソン・バトンと面会した際に、最初の納品が2022年末から2023年にかけて始まると告げられ、しかし「進展がなかったため」2023年10月に返金を希望するもやはり返金されず(ラドフォードは返金を了承したが、その後この顧客の電話やメールに対して返答していない)。
今後どうなるラドフォード?
現時点でラドフォード(破産手続き申請中)は訴訟に応じる姿勢を見せず、しかし10月24日には会社への「完全なコミットメント」を維持し、10月29日には運営資金のための「資金調達の承認を得た」と発表ずみ。
つまり破産手続きを進める一方で顧客への納車の意思を示しているわけですが(この意思を示すことで”詐欺”を免れる可能性がある)、アン・アンステッドからのコメントは以下の通り。
「この会社をリードする者として、私たちはプレミアムカー ブランドを構築することに伴うユニークな課題を理解しており、私たちの使命に完全に一致する価値観とビジョンを持つパートナーを持つことの重要性を認識しています。多くの起業家の冒険と同様に、私たちの旅は機会と課題の両方を提示しています。私たちはコミュニティからの継続的な支援に感謝しており、ブランドの名門を前進させることに全力を尽くします。」
現時点ではこのラドフォードがどうなるのかは想像がつきませんが、クルマ自体が「非常に優れている」ことに疑いの余地はなく、よってどこかの支持者を見つけ新しく出直してほしいと思う一方、ここまで「訴訟まみれ」になってしまっては、その再生は(経営陣と名称を変えない限り)難しいのかもしれません。
合わせて読みたい、ラドフォード関連投稿
-
近年ボクがもっともカッコいいと思うスーパーカー、ラドフォード・タイプ62−2に「トラックエディション」登場。価格1.4億円、限定台数は12台
| その仕様はパイクスピークを驚異的なタイムで駆け上がったレーシングバージョンのタイプ62−2とほぼ同じ | そう考えるとこの価格もけして高いものとは言えないかもしれない さて、近年発表されたクルマの ...
続きを見る
-
たぶんこれよりカッコいいコーチビルド車両はないだろう。ラドフォード・タイプ62−2生産第一号が顧客へ納車、すでに名車としての風格を漂わせる
| ラドフォード・タイプ62−2はあらゆる意味において衝撃的なクルマである | ここまで美しいクルマを作ることができるコーチビルダーはほかに存在しないだろう さて、ジェンソン・バトン率いるコーチビルダ ...
続きを見る
-
ジェンソン・バトン率いるラドフォードが「タイプ62−2」でパイクスピークに参戦!710馬力に重量907kg、華麗なJPSカラーで世界一過酷なレースに挑む
| ラドフォード タイプ62−2はボクが「もっとも美しい」と考えるクルマの一台でもある | そしてタイプ62−2はレーシングカーへとコンバートされても美しい さて、今年のパイクスピークにはアルピーヌが ...
続きを見る
参照:People, Radford