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【中国で急増中】走行0km中古車とは?表に出ない“数字の裏側”に潜む問題、そして市場崩壊と連鎖倒産の危険性

ファーウェイ

| 現在の中国では供給過剰、そして値引き、さらには自社登録による販売台数水増し、現金獲得のための中古車市場への横流しなど「なんでもあり」の状態である |

あまりに多くの課題が山積し「どこから手を付けていいのかわからない」状態に

現在中国の自動車業界で注目を集めているのが「0km中古車」という現象。

これは、登録だけされてほぼ走行していない車両が“中古車”として販売されるというもので、販売台数や在庫の帳尻合わせとして利用されている実態が明らかになりつつあります。

0km中古車とは?

  • 新車として登録済みだが未使用(またはほぼ未走行)
  • 販売店や関連会社を経由して登録だけ済ませ、後に中古車として安く再販売
  • 目的:販売台数の水増し、補助金獲得、在庫圧縮など

この手法により、見かけ上の販売成績は良くなりますが、実際にユーザーへと渡る「納車済み車両」とは大きく乖離が生じることになり、このまま0km走行中古車が増えてゆくと、中古市場に車両が溢れ、やがては中古車市場の暴落そして崩壊が起こるのではと懸念されているわけですね。

業界の構造的課題と背景

現在問題となっているのは以下の通りで、つまり「在庫が増えていて新車が売れなくなり、しかし新車を登録しているように見せかけないと自社の評価や株価が下がってしまう」ために新車を自社にて登録して販売台数を水増しし、しかしそれらをずっと保有しておくわけにもゆかないので「現金化」するために中古車市場へと流すということに。

そして新車が売れないので新しく工場にてクルマを作ることもできず、しかしNEV(EV、PHEV、水素自動車)を作らなければ政府からの補助金を得ることもできず、過剰在庫になったり”0km中古車”となることを覚悟の上で車両を生産しなくてはならないという現状が存在しています。

  • 中国全体の乗用車在庫:2025年4月時点で約350万台
  • 一部メーカーは工場稼働率50%未満
  • 過剰生産、NEV(新エネルギー車)分野の激しい価格競争と補助金依存
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マクサス
中国政府は自国EVメーカーに対し2308億ドルもの補助金を出していたとの報告。その額は年々増加し、それでも数社を残して新興EVメーカーは倒産すると見られている

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消費者が抱えるリスク

そして以下は消費者が抱える問題について。

0km中古車は「新古車」なので、初回登録から保証期間がどんどん時間の経過とともに短くなっていて、「安く買える」ことに間違いはないものの、当然ながら「売るときも安く(どんどん0km中古車が出てくるので市場が崩壊している可能性がある)」、結果的に損してしまう可能性も。

  • 保証期間は登録時からカウント開始 → 実際には短くなっている
  • 未清算ローン付き車両、所有権の曖昧さなどトラブルの可能性あり
  • 車両価格は新車の最大30%以上の割引があるが、見えないコストも
中国車
中国車の“見えないコスト”:買うときは安くても売るときは激安?「買ってから売るまで」を考慮すれば「中国車は賢い選択であるとは言い切れない」

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市場全体への悪影響も

加えて投資家にとっても正確な情報が伝わらず、となると「ある日突然、その自動車会社が倒産してしまったり」ということも考えられ、自動車メーカーも新車を売りにくくなってしまいます。

  • 実際の需要を見誤る“水増し”販売台数
  • 投資判断の誤りや競争の歪みを招く
  • 例:BYD秦Lは中古車価格が正規価格より30~40%安に暴落中
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政府と業界の動き

長城汽車の魏建軍会長らは、「短期的な数字合わせではなく、イノベーション・品質・信頼回復を優先すべき」としてこの状況に警鐘を鳴らしていますが、実際のところ、この「0km中古車」は構造的問題への“応急処置”に過ぎず、長期的にはブランド信頼の低下と価格競争の悪循環を招く可能性があり、業界では以下の動きが報告されています。

  • 2025年5月27日、中国商務省がBYDや東風汽車などと会合
  • 中古車市場の透明性確保と、不正販売報告の取締強化を議論
  • 米国SECの“チャネル・スタッフィング”規制を参考に制度整備の動きも

反面、ブランド力の高い自動車メーカーは値引きや自社登録に頼らずにクルマを販売することができるものと思われますが、いま現在好調なシャオミとて、いつライバルが台頭し「生産が過剰」となるかもしれず、そうなると「値引き販売→それでも売れなければ自社登録→中古市場に大量に横流し→中古相場崩壊→新車がさらに売れなくなる」という負の連鎖に陥ることも考えられ、早急に市場の「健全化」が要求されるところ。

ただ、いかにに規制を行ったとしても、現在100社以上あるとされる新興EVメーカーが倒産すれば「いやがおうでも」市場に安価な車両がなだれ込み、それによって「まだ倒産していない」EVメーカーもあおりを食らい、連鎖倒産という流れを避けることはできないのかもしれません。

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参照:CarNewsChina

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