| ヴァルキリーはもともと「究極」だ |
アストンマーティンはハイパーカー「ヴァルキリー」を発売予定ですが、その「AMR版」も発売されることは既報の通り。
AMRとは「アストンマーティン・レーシング」を指し、よってAMRブランドからリリースされる車はその名の通り実にスパルタンな仕様となっています。
ただ、今回アストンマーティンとヴァルキリーを共同開発しているレッドブルのエイドリアン・ニューウェイ氏によると「ヴァルキリーはもともと限界まで性能を向上させているため、(AMRバージョンであっても)これ以上スパルタンにできる余地がない」とのこと。
AMRバージョンといえども改良する余地はない
たしかにヴァルキリーはその形状からして完全に乗用車の域を超えており、まるで宇宙から来た乗り物のよう。
すべてが「パフォーマンスのため」に開発されており、そのほかは「二の次」とされているためにエイドリアン・ニューウェイ氏の言うことも頷けますが、ヴァルキリーAMRについて、改良できる余地があるとすれば「公道走行可能な装備を取り外すくらい」なのかもしれません(ヴァルキリーAMRがサーキット専用モデルであるとすれば)。
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現状、ヴァルキリーおよびヴァリキリーAMRは「開発中」であるため、そのスペックやパフォーマンスは明確ではなく、しかし現在のところ明かされているのは「6.5リッターV12自然吸気エンジンにエレクトリックモーター一つを組み合わせ、1100馬力を発生」「ダウンフォースは1800キロ」ということくらい。
当初の予定では「1000馬力、ダウンフォース1000キロ」だったので、実際に発売されるモデルはかなり予定から性能が向上しているということになりそうですね。
ちなみに、ダウンフォース1800キロがどのくらいかと言うと、ニュルブルクリンクにおいて市販車最速を記録したランボルギーニ・アヴェンタドールSVJでリアのダウンフォースが300キロ、性能のために全てを犠牲にしたマクラーレン・セナが800キロ、F1直系とされるハイパーカー、メルセデスAMG プロジェクト・ワンが800キロ、サーキット走行専用に開発されたブラバムBT62が1200キロ。
この数字を見るに、いかに「1800キロ」が異常なものであるかがわかります。
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ヴァリキリーはもともとV6ターボエンジン搭載予定だった
なお、今回はじめてエイドリアン・ニューウェイ氏が語ったのは「ヴァリキリーはもともとV6エンジン搭載予定だった」とのこと。
当初様々なエンジンの可能性を模索しており、最終的に絞られたのはV6(シングルターボもしくはツインターボ)とV12自然吸気。
両者を検討したところ、V6エンジンを搭載したとしても、ターボを装着するとタービンはもちろんインタークーラーが必要となり、結果的に「V12自然吸気エンジンと同じ重量になってしまう」ことが判明した、と語っています。
さらに「構造的にV12エンジンを搭載可能」、「V12エンジンの方がNVH(ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス)のバランスに優れる」ということから「V12エンジンを使うほうが理にかなっている」と判断したようですね。
なお、たしかにターボエンジンは出力アップが望める反面、重量がかさむのも事実。
ポルシェ・ボクスター/ケイマンは981から「718(982)」へと移行するにあたって自然吸気6気筒から4気筒ターボへと移行していますが、「2気筒ぶん減った」にもかかわらず重量は50キロほど増えており、これはターボ化にかかわる重量増加だと考えて良さそうです(エンジンを除くと、車体の構造や構成パーツはほとんど変わっていない)。