| アストンマーティンのクルマは「無駄を楽しむ」人が乗るものであって、そこにMTの介在する余地が存在する |
電気自動車時代になれば「完全に」MTは死滅してしまい、その危機感が現在のMTブームを支えているのだろう
さて、アストンマーティンはつい先日、創業110周年を記念して、V12エンジンとマニュアル・トランスミッションを搭載した限定スーパーカー、ヴァラー(Valour)を発表したところ。
なお、このヴァラーは「V12とMTという組み合わせを持つ最後のクルマ」と見られていたものの、今回「アストンマーティンは、マニュアル・トランスミッションを搭載した特別仕様車をさらに製造する計画を持っている」との報道がなされています。
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「マニュアル・トランスミッションが、そのクルマを記憶に残るものにする」
今回報じられた内容によると、アストンマーティンのオーダーメイド車両の責任者であるマーク・ニュートン氏が「マニュアルトランスミッションを存続させる」という意向を示したとのことで、同氏によれば「マニュアルトランスミッションが提供するユニークな体験により、このトランスミッションがドライバーを常に夢中にさせ、そのクルマのドライビングエクスペリエンスを記憶に残るものにする」。
さらには同社にてCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)を務めるマレク・ライヒマン氏もこれに同意し、「世の中がある方向に流行を押し進めると、必ずその反対方向のものを買いたがる人がいる」とも。
たしかにこれは言い得て妙でもあり、普通に選べるものには興味を示さないものの、それがなくなるとなれば途端に多くの人が買い急ぐといった現象によく似ているかもしれません。
実際のところアストンマーティンは2019年頃、ヴァンテージにマニュアル・トランスミッションを追加したものの、ほとんど売れず、結果的に「MT廃止」へと動いています。
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ただ、この頃はまだガソリン車が近い将来に消滅するということに対して現実感がなく、よってほとんどの人がMTそのものがまさか(アストンマーティンに限らず)消滅するとは考えていなかったのだと思われ、しかしその後ガソリン車の存続が危うくなるにつれ、ガソリン車とともにMTも「未来永劫」消滅してしまうという危機感に駆られたのかもしれません。
マニュアル・トランスミッションが残るにしても「限定車のみ」
しかしながらアストンマーティンがマニュアル・トランスミッションを継続するといっても、それは「限定車のみ」に限るようで、これによってアストンマーティンは自社の限定モデルの価値を高めようとしているのかも。
実際のところ、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンといったライバルたちは通常ラインアップ / 限定ラインアップ問わずマニュアル・トランスミッションを持たず、よって「MTを選べる」アストンマーティンはここで大きなアドバンテージを持つことになりそうです。
もちろんライバルたちがMTを捨てたのは「究極のパフォーマンスを目指したがため」ですが、アストンマーティンのクルマは「サーキットでコンマ何秒を削る」タイプのものではなく、よってMTとのマッチングも(キャラクター的に)優れるのだと思われます。※アストンマーティンの持つクラシカルなイメージもMTと相性がいい
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参照:Top Gear