| 本来はすべてサルテ・グレーのはずが「この一台のみ」マクラーレンが特別にイエローにペイントすることを許可 |
今後価値を上げることになりそうな一台が中古市場に登場
さて、生産わずか50台という希少なマクラーレン650Sル・マンが中古市場に登場。
650Sル・マンというのは聞き慣れないモデルですが、これは1995年のル・マン24時間レースで優勝したことを記念して発売された限定車で、製造を担当したのはもちろん同社のパーソナリゼーション部門であるマクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)。
ただ、興味深いのは50台のうち49台が(ル・マン24時間が開催されるサーキットをモチーフにした)サルテ・グレーにペイントされており、今回紹介するただ一台のみがソーラー・イエローにペイントされているということ。
その経緯には特別な背景があった
そしてなぜこの個体のみがソーラー・イエローにペイントされたのかということについて、マクラーレン自身は「50台全て」をサルテ・グレーにペイントしようと考えたものの、一人のオーナーが「自分の友人のマクラーレンF1 GTRと同じソーラー・イエローにペイントして欲しい」とマクラーレンへと頼むことに。
おそらく、そのF1 GTRのオーナーはマクラーレンにとってVIPオーナーであったのだと思われ、その力添えもあって「マクラーレンが特別に許可をした」と紹介されています。
マクラーレンのロードカー、とくにハードコアバージョンというと「シュノーケル」「フロントフェンダー上のルーバー」「ロングテール」といったレシピを持ちますが、この650Sル・マンにもその面影を感じることができ、まずこちらはシュノーケル。
ただし現在のマクラーレンに用いられるシュノーケルに比較するとかなり小ぶりでおとなしいようですね。
こちらは600LTにオプション設定されるシュノーケル。
そしてこちらのフェンダーのルーバーも同じく、「ちょっと控えめ」。
600LTだとこんな感じです。
リアウイングも今見ると「けっこう小ぶり(650LTだともうちょっと大きい)」。
この650Sル・マン発売からそれほど時間は経過していないものの、その間にマクラーレンはずいぶんと各部を進化させ、そしてその原点とも言える存在がこの650Sル・マンなのかもしれません。
そのほかの特別装備だと大型カーボンファイバー製リアディフューザー、各種ル・マンバッジ、カーボンファイバー製スプリッター、カーボンファイバー製サイドスカート、専用5スポーク軽量アルミホイール、そしてブレーキキャリパーはソーラーイエロー。
エンジンについては650Sの他のバージョンと同様に、最高出力641ps、最大トルク500lb-ft(678Nm)を発生する3.8リッターV8ツインターボを搭載しています。
マクラーレン650Sル・マンのインテリアはこうなっている
そしてこちらはマクラーレン650Sル・マンの内装。
基本的にはブラックレザーとアルカンターラとの組み合わせで、コンフォートシート、メリディアン製オーディオシステムが装着されていますが、やはりこちらも今見ると「ここからマクラーレンは始まったんだな」という印象(正確にはMP4-12Cからですが)を受け、好ましいシンプルさを持っている、とも感じます。
こちらは限定モデルであることを表すバッジ。
この「ソーラー・イエロー」のモチーフはハロッズカー
なお、このソーラー・イエローは個人の所有するマクラーレンF1 GTRにインスピレーションを受けたことは上で述べたとおりですが、そのマクラーレンF1 GTRとはル・マン24時間レースで3位に入賞した51号車、通称「ハロッズカー」。
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マクラーレンはこの1995年のル・マン24時間に出場し、そして入賞した車両を非常に重要視しており、もしこのうちの51号車のオーナー、そしてその友人の頼みであれば「絶対に断ることはできない」ということもわかります。
ちなみにこのハロッズカーは優勝まであと一歩だったそうですが、トランスミッションのトラブルによって3位に甘んじてしまい、それでも昨年にはその功績をたたえたオマージュモデルが作られています。
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参照:Piston Heads