| マクラーレンW1はもはやこれまでの「自動車」という概念では作られていない |
全くの白紙から、制約を受けない自由な発想によって設計されたハイパーカーだと考えていいだろう
さて、マクラーレンはついに「P1の真の後継」とも言えるハイパーカー、「W1」を発表していますが、これはパワートレーンやサスペンション、モノコックまで含め「完全に新設計された」クルマであり、セナやエルバ、スピードテールとも全く別のラインに存在します。
そしてマクラーレンの意気込みは「F1」「P1」に続き「1」を採用したことからも推し量ることができますが、フェラーリがラフェラーリの後継モデル「F80」で”シリンダー数を半分に、駆動輪を倍に”したのとは異なり、W1では(上述のように全て新設計ではあるものの)P1同様に「V8ハイブリッド、後輪駆動」を貫いているのは注目に値するところ。
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マクラーレンW1の真価とは何なのか
つまりフェラーリは最適なパッケージングとパワー密度、軽量化を考慮して「V6」を採用し、コーナーからの脱出速度含めトラクションを確保するために4WDを採用したものの、マクラレーンはそのレシピを10年以上前から変更していないということになるのですが、この「変わらないレシピ」こそが、変革著しい現代におけるマクラーレンの決意そしてライバルたちに対する回答なのかもしれません。
そこでマクラーレンW1の細部を紹介する動画がいくつか公開(解禁)されており、それらを見てみたいと思いますが、W1における大きな進歩は「エアロダイナミクス」にあるように思われます。
リアから見ると車体のかなり前の部分からディフューザーに向けて傾斜がつけられているように見え(これはブガッティ・トゥールビヨン同様)、各部には多数の、そして大きなエアチャンネルが見られます。
そしてこのエアチャンネルの考え方は「ボディ表面を流れるエアをコントロールする」というものから、「クルマの内側を流れるエアを管理する」という方向性へとアップグレードされ・・・。
もうあちこちが「スカスカ」。
つまりボディパネルがクルマを覆うというよりは、「クルマ全体がエアロブレードで構成されている」と考えていいかもしれません。
とくにこのドアミラーの構造にはびっくりですね。
いわば各パーツが「フロート」している状況ですが、そのフロート構造はルーフにまで。
ちなみにリアウイングは「上に伸びる」「角度が変わる」のみではなく後方にも伸びて「ロングテール化」。
ステーはこれまでのぶっとい柱ではなく、繊細なアームを組み合わせたものへ。
その他にもマクラーレンW1は革新で溢れている
そのほかマクラーレンW1には注目すべき要素が多く、内装素材も新しいファブリックへ(マクラーレン・イノニット素材と呼ばれる。レザーはもちろん、アルカンターラよりも軽いのだと思われる)。
ステアリングホイールの上部はフラット、そしてマルチファンクション化する他社のステアリングホイールとは異なり、スポークに装着されるスイッチは「2つのみ」。※瞬間的に加速力をUPさせるE-ブースト用、もう一つはドラッグリダクションシステム=DRS動作用
そしてフロントサスペンションアームに採用されるのはAIによる設計そして3Dプリンティング技術によって成形されたパーツ。
たしかに人間では思いつかないような構造ですね。
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こういった細部を見るに、マクラーレンW1はこれまでのパッケージングを維持しつつ、それらを極限まで研ぎ澄ましたクルマだと考えてよく、何かを足すよりも”何かを引くことで”マクラーレンの考える可能性を妥協なく追求したクルマでもあり、「1」という称号にふさわしいクルマということがわかります。
マクラーレンW1のレビュー動画はこちら
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