
| マクラーレン、EV投入を当面見送り |
マクラーレンは今年「経営体制」が変わったところである
さて、つい最近(この4月)マクラーレンの親会社がアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の政府系投資機関であるCYVNホールディングスへと変わっており、これに伴ってマクラーレンCEOも(マイケル・ライターズ氏から)ニック・コリンズ氏へ。
そして今回、マクラーレン新CEO、ニック・コリンズ氏がカーメディアのインタビューを通じて「EV投入を急ぐつもりはない」と明言することに。
同社は完全EVの開発を視野に入れてはいるものの、短期的には内燃エンジンとハイブリッドを中心に据える方針を示しており、しかしこのインタビューで注目に値するのが「EVの開発も並行して進められている」という事実です。
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既存ラインナップと今後の展開
マクラーレンはすでにV6ツインターボ+電動モーターの「アルトゥーラ」を市販化しており、次期ハイパーカー「W1」にはハイブリッドV8を搭載予定。
ただしフルEVモデルの発表そして発売については未定であり、開発プログラムが進行中であるものの「まだやるべきことが多い」と述べており、つまり課題を発見できるレベルにまで開発が進んでいる、ということを見て取れます。
「内燃エンジンは、長い期間にわたってマクラーレンのブランドの中心的役割を果たし続けるだろう」
マクラーレンCEO ニック・コリンズ
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自動車業界全体の潮流とEV開発の停滞
マクラーレンだけでなく、他メーカーもEV戦略の修正を進めており、さらに米国ではEV購入補助金(税制優遇)の縮小が進んでいることもあって消費者の購買意欲にも影響を与えていることが報じられ、トランプ関税の成り行き次第では「さらに各社とも新型EVの投入を先送りにする」可能性も。
- ランボルギーニ:初のEVを2029年に延期
- アウディ:2032年までに内燃車を廃止予定だったが方針転換し、少なくとも10年以上ガソリンエンジンを継続生産
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- リマックCEO メイト・リマック氏:高級EVに対する富裕層の需要減少を指摘し、規制による強制的なEV化を批判
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Image:Lamborghini
まとめ
マクラーレンは完全EV化の計画を見直し、内燃エンジン+ハイブリッド戦略を優先する姿勢を鮮明にしており、高性能EV市場への需要が鈍化する中、ガソリンエンジンが想定以上に長く存続する可能性が高まっており、マクラーレンはその流れを最大限活用する構えを見せているわけですね。
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今後、「内燃機関搭載車が完全に禁止されるかどうか」は全くわからず、もしかすると条件付きで生き残る可能性も。
そうなればカーコレクターや富裕層がハイパフォーマンスEVに目を向けるとは考えにくく、ハイパフォーマンスEVというセグメント自体が絶滅してしまうのかもしれません(ただ、そうなれば、その分野に投入された数少ないハイパフォーマンスEVの価値が数十年後に上昇するかもしれない)。

Image:Rimac
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参照:The Drive