| アウディとしては「F1参戦が叶わなかった」同門のポルシェの代わりとしても、何が何でも勝たねばならない |
残るは「ダカールラリー」ではあるが、こちらも2024-2025年には終了する可能性が大
さて、アウディがF1に集中するため、「F1以外の」モータースポーツ活動からすべて撤退するとの報道。
アウディは2020年にDTMから引き揚げ、2021年にフォーミュラEを離脱、2022年にはLMDhプログラムをキャンセルしていますが、2023年にはカスタマースポーツからも手を引くことになり、つまりカスタマーチームに提供していたアウディR8 LMS GT2、GT3、GT4、そしてRS3 LMSによるTCRプログラムも「終了」ということに。
なお、これらはいずれも比較的「成功していた」と言われるだけにかなり意外な決定だと捉えています(R8については、その生産が2023年に終了すると言われているので、どのみちカスタマーチームには供給できなくなっていたのかも)。
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唯一の例外は「ダカールラリー」だが
ただ、現時点で撤退が決まっていないモータースポーツプログラムが一つだけあるといい、それは「ダカールラリー」。
現時点では2024年までの参戦が決まっていますが、ダカールラリーの他、世界ラリーレイド選手権にフル参戦する予定だと報じられており、これは「エレクトリックパワートレインを搭載する」ということからも、今後のアウディのプロモーションに不可欠だという判断なのかもしれません。
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しかしながらフォーミュラEも撤退済みということを考慮すると、そしてこの1-2年で「電気自動車が普通」になってしまえばエレクトリックパワートレインの周知に努める必要もなく、おそらくアウディは2024-2025年あたりを境にダカールラリー/ラリーレイドから引き揚げ、「2026年のF1参戦に向け」調整を図ってゆくことになるのかも。
アウディはザウバーの完全買収を目論んでいる
なお、アウディがほかのモータースポーツプログラムを終了させてまでF1に資金を投じるのは「パートナーであるザウバーの完全買収を考えているから」だとされており、2026年までに毎年出資比率を上げ、参戦時には完全に「自前の」チームにしたいからだと報じられています(F1チームの運営そのものについては予算制限=バジェットキャップがある)。
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ちなみにですが、多くの自動車メーカーが2026年からF1に参戦したいと考える理由は(F1人気の盛り上がりのほか)「2026年からレギュレーションが変わるから」。
この新しいレギュレーションによって、いわば全チームの条件が「ほぼリセット」されてしまい、古参チームと新参チームとの差が小さくなると言われているわけですね。
まずパワーユニット(PU)に関してだと、2026年に導入されるのは「エレクトリックパワーが350kWに拡大」「MGU-H(熱回生)廃止」「エンジン開発にもコストキャップが導入(エンジンそのものは1.6リッターV6ターボを継続)」という変更。
総合的な出力低下を鑑みて車体(シャシー)にも大幅な変更が導入される可能性が高く、国際自動車連盟(FIA)は2026年以降の車体に関するレギュレーションの方向性として「効率性の向上とPUの出力特性変更を考慮しドラッグを削減」「車体サイズのコンパクト化」「車体重量削減もしくは増加抑制」「コスト削減と持続性を目的にコンポーネントの簡素化やリサイクル性向上を検討」「F1マシンの安全性向上を目的にアクティブ・コネクティッド・セーフティ・システムへ移行」を定め、(これは2023年以降ですが)ドライバーにヘルメットカメラの着用を義務付けること等を決定しています。
加えて「使用される燃料はカーボンニュートラルな合成燃料のみとする」ことになり、そのために(合成燃料=E-フューエルを推し進める)ポルシェはどうしてもF1に参戦したく、しかし現時点では「F1参入を諦めた」とも言われており、よってここは同じフォルクスワーゲングループに属するアウディが「なんとしても頑張らねば」ということになりそうですね。
ただ、アウディが実際に勝てるのかどうかは「蓋を開けるまで」全くわからず、しかしすべてを捨て去ってまでF1に臨むアウディとしては「なんとしても失敗に終わらせることはできず」、2026年シーズン開幕がますます待ち遠しい、といったところです。
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