Image:AUDI
| ここからはアウディが中国にて「どう戦うのか」に注目が集まる |
やはり重要なのは「値付け」であろう
さて、つい先日アウディは中国向けの新ブランドとして「AUDI(すべて大文字で、フォーリングスを用いない)」の立ち上げを発表し、その市販第一号を示唆するコンセプトカーを発表していますが、なんと今月17日にはすでにその生産を開始していた、との報道。
中国車は一般に開発期間が短く、企画から発売までの時間が欧州車に比較すると1/3~2/3くらいであるとも言われていますが、今回の速度感を見るに、まさにアウディが「(合弁相手の)中国企業に求めたとおりの」結果が得られたのだとも考えることが可能です。
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工場建設も含め「わずか2年で市販化」
実際のところ、アウディはこの「開発期間の長さ」がビジネスチャンスの喪失やコスト高につながっていると考え、2022年から中国の自動車メーカーとの協業体制を強め、これまでの姿勢から一転して「中国から学ぶ」方針へとシフトしており、このパートナーシップは中国第一汽車集団との合弁企業「奥迪一汽新能源汽車」によって強化され、2022年央には吉林省長春市へと新しい工場を建設することに。
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これと並行して進められたのが(今回生産が開始された)新しいEVですが、このEVはポルシェとの共同開発によるEV専用プラットフォーム、PPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)を採用していて、つまりアウディは「今あるものを用いて、なるべく早く」EVを開発したかったのだと思われます。
参考までに、日米欧の自動車メーカーが(市販を前提とした)コンセプトカーをお披露目したとしても、実際に市販されるのはその2~3年後といったイメージ。
なぜ欧州の自動車メーカーが中国の自動車メーカーと手を組むのか
一方で中国の自動車メーカーだと、コンセプトカー発表から2~3ヶ月後には受注開始、その数カ月後には発売(生産)開始というスピード感を持っていて、なおかつ欧米で一般的な「モデルイヤー」という認識もなく、発売後には短いサイクルで改良を続けているというのが現状です。
そうなれば日米欧の自動車メーカーは「価格」面だけではなく機能面においても中国車の後塵を拝することとなり、アウディとしてはこういった状況を(今回の新しい合弁にて)なんとかしたかったのだと思われ、今後の動向にも期待がかかろうというものですね(同じグループ内のフォルクスワーゲン、ポルシェも中国での開発を加速させるという報道がなされている)。
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