
| まさかの「ムーンスウォッチ」を改造するマニアが存在したとは |
ただし使用するのは「レプリカ」である
さて、相変わらずオメガとスウォッチとのコラボレーションによる「ムーンスウォッチ」は大人気ですが、今回はそんなムーンスウォッチの「レプリカ」をメタルケース仕様にコンバートするというカスタムが登場。
これはそのバイオセラミック(プラスチック)製のケースが「軽すぎる」「安っぽく見える」と感じている人に「うってつけ」の改造なのかもしれません。
始める前に:オリジナル vs. レプリカのムーンスウォッチ
このプロジェクトを始める前に、非常に重要な注意点があり、それはこのカスタムに使用するのが「本物のムーンスウォッチ」ではなく「レプリカ」という点。
その理由は「本物を使用するともったいないから」ではなく「改造の容易さ」にあり、というのも本物だと「プラスチック製のケースに、直接パーツを組み付けて腕時計を製造しているものの(これがスウォッチの大きな特徴でもある)、レプリカだと「ケースにムーブメントがはめ込んでいるだけ」だから。
よって本物の中身を取り出すことは基本的に「不可能」であり(故障すると”修理”ではなく”交換”になるのはここに理由がある)、しかしレプリカだと「裏蓋をパカッと外せば」ムーブメントを簡単に取り出すことができるわけですね。
改造に必要な部品を揃えよう
そしてこのカスタムに際し、必要なのは以下の通りだと説明されています。※これらの部品は全て動画の説明欄にリンクが記載されている
• レプリカ版ムーンスウォッチ
今回の改造のベースとなりますが、動画で使用されているレプリカは、同じクオーツながらも”オリジナルのカチカチと秒を刻む”動きではなく、秒針がスイープ運針する中華ムーブメントを搭載しています。
• メタルケース(VK63クロノグラフムーブメント用)
このケースには、セラミック製ベゼルインサートが付属しており、今回のプロジェクトのテーマカラーであるネイビーブルーにマッチした仕様。また、2つのクロノグラフプッシャーと、裏蓋には「I ON THE STAR」の文字が入った”スヌーピー”ムーンスウォッチ用のプリントが施されています(こんな製品が存在するとは)。
• PE50スペーサー
ムーブメントをケース内にしっかりと固定するための部品です。
• PE50ステム
ムーブメントをメタルケースに収めた後で交換する、新しいステムです。
• 高品質なストラップ
今回のカスタムにおけるカラーテーマであるネイビーブルーに合わせた高品質なストラップで、見た目の統一感を高め、装着感も向上させます(フォールディング式Dバックルが装着されている)。
ステップ・バイ・ステップ:メタルムーンスウォッチ改造ガイド
ここからは具体的な改造手順ですが、以下のようにカスタムを進めてゆくこととなります。
1. ストラップの取り外しと裏蓋の開閉
まず、ストラップ外しツールを使用して、ストラップを固定しているバネ棒を押し込み、ストラップを取り外します。次に、時計ナイフを使って裏蓋を開けますが、裏蓋の隙間を探し、テコの原理で簡単に裏蓋を「パコッ」と開けることができます。
2. ムーブメントの取り出しと調整
裏蓋が開くと、内部にPE50中華ムーブメントが露出し、このムーブメントは非常に安価で広く普及しているタイプなのだそう。ピンセットを使ってスペーサーを取り外し、ムーブメントを取り出す準備をします。
そしてスペーサーを外した後、ステムレバーを押し込みながらリューズを引くとステムを取り外すことができ、ムーブメントを優しく数回タップすると、ケースからポロリとムーブメントが出てきます。
3. メタルケースの準備とムーブメントの挿入
次にメタルケースを準備し、ゴム製のボール(またはオープナー)を使ってメタルケースの裏蓋を開け、内部にあるVK63ムーブメント用のスペーサーを取り出したのち、ガスケットをピンセットで丁寧に拾い上げ、(再利用するので)安全な場所に保管しておきます。
その後ムーブメントをゆっくりとケースに挿入し、3時側の右側から斜めに下ろすようにすると、クロノグラフプッシャーがムーブメントにぴったり収まるのだそう。
4. 新しいステムの取り付けと仮組み確認
購入した新しいステムを取り出し、付属のプラスチック製のリューズを外してメタルケースに付属している実際のメタルリューズへと交換。その後ステムをゆっくりとムーブメントに挿入し、全てが正しい位置にあることを確認します。
5. ムーブメントの固定と最終動作確認
直径33mmのPE50ムーブメントスペーサーを優しくケースに配置し、ムーブメントが中でぐらついたり動いたりしないように固定します。さらにその後、フロントから時計を確認し、インデックスや針が全て適切に揃っていることを確認しますが、最も重要なのは、クロノグラフプッシャーが正常に機能するかどうか。実際に押してみて、動きがスムーズでリセットできることを確認し、秒針が動いているかチェックします。
6. ステムの長さ調整と固定
次に、ステムの長さを調整します。通常通りノギスで長さを測り、動画では8.1mm短くする必要があるそうで、ステムを取り外し、リューズを緩めてカットする部分にマークを付け、ワイヤーカッターでカットした後にリューズを元に戻せばOK。
ステムを再度取り外し、ネジロック剤を塗布してからリューズをステムにしっかりとねじ込み、定位置にロックします。ステムに残留物がないことを確認してから、ムーブメントとケースに再び挿入します。
7. ガスケットと裏蓋の取り付け
取っておいたガスケットをケースに戻し、防水性を高めるために、適切にグリスが塗布されていることを確認し、ガスケットをケースにセットしたのちゴムボールを使って裏蓋を時計にしっかりとねじ込みます。
8. ベゼルインサートの取り付け
その後ベゼルインサートを取り付けますが、ケースにはすでに両面テープが取り付けられているので、ピンセットで保護シートを剥がし、「「ベゼルインサートをできるだけ正確に位置合わせ」、優しく押し付けてしっかりと固定します。
9. ストラップの取り付け
最後にストラップの取り付けて「メタルムーンスウォッチの完成」。
「レプリカを購入する」ことには抵抗があるものの、この完成状態を見ると「ひとつ作ってみようかな」と考えてしまうのもまた事実であり、腕時計の構造を理解するためにチャレンジしてみるのも面白いかもしれませんね。※それにしても、レプリカのムーンスウォッチを改造するキットが存在することには驚かされる
「ムーンスウォッチ」を「メタルムーンスウォッチ」に改造する動画はこちら
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参照:Arthur Loh