E92世代のBMW M3へM5のV10エンジンを押し込み、さらには液化石油ガス仕様へと改造したワンオフのカスタムカー、「ACシュニッツァー GP3.10」。ピーク時の1/3の価格で販売中

｜　ある意味では相当に希少なクルマであることは間違いないが　｜

そのルックスは1980～1990年代のカスタムカーっぽい

さて、ACシュニッツァーはBMWに特化したチューナーとして知られており、最近では「BMWの新型車が発表されるやいなや」そのモデルに対応したチューニングプログラムをリリースしていて、つまりは「BMWが新型車の発表前から」ACシュニッツァーに車両を提供している可能性も考えられるなど、両者の距離はかなり近いと考えて良さそうです。

そして今回中古市場に登場したのが「AC Schnitzer GP3.10」というワンオフ車両であり（まったく知らなかったな・・・）、これはなんと当時のM5/M6に積まれていた5リッターV10エンジンをM3（E92）に突っ込んだばかりか、なんと液化石油ガスで走行できるように改造された車両。

BMW M3 ACシュニッツァー GP3.10はこんなクルマ

このBMW M3 ACシュニッツァー GP3.10は2007年のフランクフルトモーターショーに出展するために製作されたワンオフ車両だといい、搭載されるV10エンジンは、改造前のガソリンエンジンに比較して出力が45PSアップし、しかしCO2排出量は15％も少ないという優れモノ。

ちなみに最高速度は公称値で時速320km/hだそうですが、実際には335km/hに到達した記録もあるといい、相当なパフォーマンスを持つカスタムカーということになりそうです。

なお、このクルマが製造された目的については今となっては知る由もなく、もしかすると環境規制に対する対応を考慮したものかもしれませんが、単に新しい可能性を追求してみたかったということがあるのかもしれません（当時、液化天然ガスに注目が集まり、のちにアウディもガスにて走るクルマ、G-Tronなるシリーズを企画したことがある）。

そしてこのBMW M3 ACシュニッツァー GP3.10について、そのエンジンだけではなく「内外装」にも注目すべきであり、見た目の通りほぼ全域にわたって手が入っています。

フロントバンパー形状は純正に近く、しかし各部の形状が強調されており、フロントフェンダーは大きく張り出してサイトギルが装着され、タイヤ/ホイールも交換されて大きくローダウンされているようですね。

リアフェンダーは片側5センチワイドになり、トランクリッドにはダックテールスポイラーがビルトイン。

なお、ルーフ上のシャークフィンには「小さなウイング」が取り付けられていますが、当時のACシュニッツァーのほかのコンセプトカーにもこのデザインが見られたような気もします（記憶が定かではない）。

リアバンパー下部はディフューザー形状を持っているようで、テールパイプは「センター一本出し」。

パステルっぽいカラーやスムージングを用いた手法、そしてブリスターフェンダーを見るに、（2000年代ではなく）1980～1990年代のカスタムカーやコンプリートカーのようでもありますね。

BMW M3 ACシュニッツァー GP3.10のインテリアはこうなっている

そしてここからはBMW M3 ACシュニッツァー GP3.10のインテリアを見てみたいと思いますが、ブラウン、ベージュ、ペールグリーンという明るい色調にて仕上げられており、一見するとチューンドカーというよりはラグジュアリーカーのような仕上がりです。

見たところカーペット、ルーフライナー、ステアリングコラムなど「総張替え」の様相を呈していて、相当なコストがかかっていることがわかりますね。

後部座席もラグジュアリー。

トランク内張りやフォランクフード内張りまでもが貼り替えられ、トランク床面には牽引フックなど工具類がビルトインされています。

このBMW M3 ACシュニッツァー GP3.10については現在69980ユーロ（約900万円）にて販売中。

ピーク時の1/3程度の価格となっているそうですが、それでもけっこうな価値を誇っており、歴史的な一台であることを考慮すると、今後の値上がりを期待して購入してみてもいいのかもしれません。

BMW M3 ACシュニッツァー GP3.10を紹介する動画はこちら

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参照：MAHILfilms, CARSCOOPS, ebay