| 世の中には意外と多くの防弾仕様車が存在することに驚かされる |
BMWはかねてよりいくつかの車種に防弾グレード「プロテクション」を設定している
さて、日本ではあまり需要がないものの、欧米、そしてアフリカの富裕層に求められるのが「防弾使用車」。
メルセデス・ベンツ、BMW、アウディは標準ラインアップとして防弾仕様車を用意しており、かつその仕様については「拳銃」「ライフル」「マシンガン」、さらには弾の種類、地雷やRPGなど様々な火器に対応できるよう細かく(カタログから)選べるようになっています。
そして今回BMWが発表したのが新型7シリーズの防弾使用車で、ガソリン版と電動版、つまり「i7 プロテクション」と「7シリーズ プロテクション」とがアナウンスされることに。※プロテクションとはBMWの防弾車シリーズの名称である
BMW「i7 プロテクション」「7シリーズ プロテクション」はこんなクルマ
今回発表されたBMW「i7 プロテクション」「7シリーズ プロテクション」につき、同社のフラッグシップ・セダンに期待される乗り心地、先進機能、ダイナミックな性能に対して「強化された装甲構造が組み合わされた」シリーズです。
もっとも高い保護性能を選択すると、ドイツのVPAM規格に基づく保護等級VR9を実現できるそうですが、VPAM BRVおよびVPAM ERVのガイドラインを満たしていると紹介されており、7.62x54口径 R弾の射撃に対する保護性能を持つ、とのこと(資料を見てもその内容が難解過ぎて把握が難しいが、要するに最高レベル、もしくはそれに近い保護性能を持っていると解釈すればいいのだと思う)。
そしてもちろん、高い保護性能に加え、パンクしても時速800キロまでの速度で走行可能なミシュラン製ランフラットタイヤ、銃撃され燃料タンクが損傷したとしても燃料漏れを防ぐことが可能な「セルフ・シーリング燃料タンク」が標準装備となっています。
なお、この「フラッグポール」はオプション扱い。
政治家だとこういったフラッグを立てることがあるかと思われるものの、個人でこれをやると「お金持ちが乗っている」と周囲に宣伝するようなものなので、標準仕様であればi7 / 7シリーズ・プロテクションの外観はいたって普通です。
ちなみにホイールはこのグレード専用のデザインを持つように見えますが、おそらくランフラットタイヤも「通常の」ランフラットではなく専用品だと思われ(防弾・防爆仕様化によって車体重量が大幅に増加している)、よってホイールも強度を増した特別仕様なのかも。
i7プロテクションはデュアルモーターを搭載して544馬力を発生し、0-100km/h加速は9秒、最高速は160km/hだとアナウンスされており、車体重量の増加によって運動性能がかなり削がれているもよう。
エレクトリックモーターは瞬間的なトルクに勝るので機敏な動きが可能かもしれませんが、BEVの大敵である「重量」にはいかんとも対抗し難く、バッテリーの持続性を考慮して意図的に運動性能を押さえている可能性もありそうです。※個別カスタムを行って販売する車両であるためか、重量についてはアナウンスされていない
一方の7シリーズ プロテクションも全輪駆動(xDrive)を持ち、4.4リッターV8ツインターボ+48Vハイブリッドシステムの出力は530馬力、0-100km/h加速は6.6秒、最高速度は210km/h。
「持久戦」の可能性、また走行して逃げることを考慮すると、バッテリーEVよりもガソリンエンジン搭載モデルのほうが「安心」なのかもしれませんね、
保護性能としては車体そのものの強化、防弾ガラス(防弾・防爆性能は細かく選択可能)に加え、毒ガス等に対応した「(車内への)フレッシュエア供給装置」、各種ライティング(一部オプション)、外部とのコミュニケーションが可能なインターホンシステム(つまりは拡声器。ドアやウインドウを開けずにこちらからのメッセージを伝えることができる)といったものも。
ほとんどの人はこういったクルマには無縁だとは思いますが、世の中にはこういった需要が少なからず存在することにも驚かされます。
実際に狙撃されるとこんな感じに
そしてBMWはこのi7 / 7シリーズ プロテクションの保護性能をアピールするため、「銃撃された」状態の画像も公開。
こういった画像を見ると、「いくらお金がかかったとしても、安全を買えるのであれば安いものである」と実感させられますね。
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参照:BMW