| これまたメルセデス・ベンツの利益を圧縮しそう |
メルセデス・ベンツは急激にコンパクトクラスを拡大していますが、今回は新型「Aクラス・セダン」を発表。
中国市場向けにはすでに「Aクラス・セダン・ロング(梅赛德斯・奔驰AL)」が発表済みとなるものの、今回は欧米向けのモデルが公開されています。
生産地は「販売地域」によって異なり、アメリカで販売されるAクラス・セダンはメキシコの”COMPAS”工場(ルノーとの共同出資)、欧州向けはドイツにて生産、中国向けは既報のとおりBAICとの協業にて中国は北京での生産。
| 日本への導入は未定 |
欧米版は中国と異なって「ロングホイールベース」ではなく、全長4549ミリで、中国版より60ミリ長い仕様。
先般発表されたAクラス同様にメルセデス・ベンツ独自のAIを搭載するインフォテイメントシステム「MBUX」を搭載ししていることも特徴です。
ラインアップは188馬力4気筒2リッターターボエンジンを積むA220と163馬力のA200、そして116馬力のA180d。
トランスミッションは7速デュアルクラッチ、駆動方式はFFで、A220のみ4WDを選べる、とのこと。
ここでぼくが考えるのは、「大丈夫かメルセデス・ベンツ」ということ。
というのもメルセデス・ベンツは急激にエントリークラスのラインアップを拡大していますが、それは「顧客の若返りのため」。
若年層を取り込み、そこから上のクラスへとステップアップしてもらおうという意図があるようですが、このセグメントはもともとルノーやフォルクスワーゲンなどが強いところで、そして競争が激しい分野。
メルセデス・ベンツは優れたクルマづくりを行うことで知られ、実際にエントリークラスでも競争力の高いクルマを作って販売を伸ばしていますが、その影には「自社モデルの侵食」もあるようです。
つまり「Aクラスの出来がいいのでCクラスを買う必要がない」「Cクラスの出来が良いのでEクラスを買う必要がない」という状況に陥ってしまい、利益の厚い上のクラスが売れなくなってしまった、ということですね。
これはヒット商品がオデッセイ→ステップワゴン→フィット→N-BOX、とそんどん価格帯の低い、そして利益の薄いカテゴリに移ってしまっているホンダとよく似た現象ですが、メルセデス・ベンツの場合は「デザインが金太郎飴的」なので、下のクラスを購入しても傍から見て「エントリーモデルに乗っているとわからない」、つまり何を買っても「ベンツ」というひとくくりにされてしまうということが状況を加速させているのかもしれません。
なお、ブルームバーグ報じるところではダイムラー(メルセデス・ベンツ)の2018年第二四半期の利益は前年同期比に比較して30%減。
しかも売上は1%とのことなので、「売上はあんまり変わってないのに、利益は大きく下がった」ということを意味します。
台数がまだ公表されていないのでナントモですが、台数ベースだと多分増えているんじゃないかと考えていて、しかしその内容は「コンパクトクラス中心」となっている可能性も。
もし実際にメルセデス・ベンツの中で「下位モデルへのシフト」が起きているのであれば、これはかなり「危ない」と言えそうですね(ぼくら消費者からすると、上位モデルと同じデザインや装備のクルマをより安く買えるのはありがたい)。
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