| メルセデス・ベンツは今後中国との関係性を強め、さらに中国偏重となりそうだ |
メルセデス・ベンツは現在中国にて北京汽車(BAIC)、比亜迪汽車(BYD)との合弁にてビジネスを展開していますが、そのうち規模の大きなほうの北京汽車がメルセデス・ベンツ(ダイムラー)の株を買い進めている、との報道。
なお、北京汽車はすでにメルセデス・ベンツの株式5%を取得していて、今のところ「3番めに大きな」株主です。
ちなみに1番は中国・吉利(Geely)汽車CEOの李書福氏であり、保有しているのは9.7%。
よってメルセデス・ベンツは中国において3つの自動車メーカーと関係があるということになりますね。
メルセデス・ベンツの中国での立場は「かなり微妙」
ただ、中国において外国の自動車メーカーと設立できる合弁は法規によって2社まで。
よってメルセデス・ベンツは吉李汽車と合弁企業を設立することはできず、別の形で経営に関わることになりそうです(すでにスマートの株式50%を譲渡している)。
そして北京汽車がメルセデス・ベンツの株式を買い進める理由としては、李書福氏にメルセデス・ベンツをコントロールされてはかなわないということだと思われ、合弁相手としての発言力を高めるためかもしれません(中国内だと吉利汽車と北京汽車は当然ながらライバル関係)。
Autonews Europeによると、北京汽車の重役が「北京汽車とメルセデス・ベンツの将来のため、両者とも、北京汽車がもっと多くの株式を持つことが理想的だという結論に至った」とコメントを発したとのことで、これが事実であれば、メルセデス・ベンツ側も吉利汽車には脅威を感じており、北京汽車と共同してその脅威に対抗したい、ということなのかもしれません。
メルセデス・ベンツの中国側での発言力は弱い
なお、北京汽車はメルセデス・ベンツのほかヒュンダイとも提携しているものの、2018年にはメルセデス・ベンツGクラスの内装をコピーしたクルマを発売したことも(外観はジープ・ラングラー)。
ただ、メルセデス・ベンツはこの際にも相手に抗議した様子はなく、このクルマは今も販売され続けているので、「文句を言えない」立場なのかも(メルセデス・ベンツが事前にこれを許可したとは考えにくい)。
加えてメルセデス・ベンツは「GLSマイバッハ」を欧州でも北米でもなく「中国」で発表するなど中国偏重の姿勢を強めており、このまま北京汽車が株式を買い進め、中国勢が株主上位を占めるようになると、今後色々と変化が出てくるのかもしれませんね。