| 意外と個人的に購入して楽しむ人も多そうだ |
ホンダが「シビック・タイプR TC」を発表。
これは純然たるレーシングカーで、SROツーリングカー・アメリカTCクラス、SCCA T2クラス、NASA ST5/E2クラスに参戦するカスタマーカーとして販売するもの。
もちろんこれらクラスの規定に従ってホンダ・パフォーマンス・デペロップメント(HPD)が製作した車両となりますが、エアロパッケージおよび足回り、冷却系などに手が入っています。
ホンダ・シビック・タイプR TCはこんなクルマ
シビック・タイプR TSは一見して「レーシングカー」だとわかる外観を持っていて、ざっと見るとフロントフードとリアウイングがが変更され、 車高が大きくダウンしていることがわかります。
トーイングストラップはけっこうワイルドな取り付け方。
フロントグリル形状も変更され、ラジエター、そしてオイルクーラーも強化されることによって冷却性能が高められているようですね。
ブレーキは(レース用の)ブレンボ製。
ローターも2ピースへと変更されていて、フロントバンパーから直接冷却用のパイプを引き回し、このローターのクーリングを行います。
リアウイングはシンプルですがハイトのあるものへと置き換えられ、もちろんウイングの角度を調整可能。
相当なダウンフォースを発生させると見え、ボディへの取付部はかなり面積が広く取られています。
エンジンへ手を入れることは制限されていると思われますが、ダウンパイプやエキゾーストシステムが交換され、LSDもレース専用へ。
バッテリーも小型化(ドライバッテリー)されているようです。
ちなみにエンジン出力は270-330馬力で、これは参加するレースのレギュレーションに左右される、とのこと。
ホンダ・シビック・タイプR TCの内装はこうなっている
内装はこんな感じで完全ストリップ。
メーター類はレース専用へと置き換えられています。
ステアリングホイールやシートはイタリアのレーシングエクイップメントメーカー、OMP製(つい最近、アメリカのBELLを買収するのではという報道がなされた)。
シートベルトはもちろん6点式です。
トランスミッションは純正と同じく6速マニュアル。
ただし、常用するであろう3速と4速のギアは強化されることに。
ロールケージはボディに直接溶接され、安全性とボディ剛性を強化。
燃料タンクはFIA認証を受けた、レーススペックの16ガロン型が装着されているようですね。
このホンダ・シビック・タイプR TCの価格は89,900ドル、つまり1000万円くらい。
かなり高価ということになりますが、サーキット(もしくはその近隣)にクルマを保管できる人、もしくは自宅からサーキットまでの輸送手段を持つ人であれば、1000万円のスポーツカーを買うよりはよほど「楽しめる」と思われます(なんといってもMTですし)。※ただし購入できるのはレーシングライセンスを持つ人のみに制限され、しかし購入後はホンダから技術的なサポート、パーツの供給が約束される
ときどきYoutube上にて公開される富豪のガレージにはこういったレーシングカーが収まっていることが多く、レースに参加するチーム以外にも、「個人」での需要がけっこう高いのかもしれませんね。
ちなみにこういった「カスタマーカー」はビジネス規模としてはかなり大きいと言われ、アウディがそれによって「潤っている」のは既報の通り。
ホンダは現行シビック世代にてはじめてアメリカ市場へと「タイプR」を投入していますが、その目的のひとつには、こういった「カスタマーカー販売」による利益獲得があったのだろう、とも考えています(ロードカーとしてのタイプRを投入し、地盤としての評判を確立しておく必要がある)。