
| ボディパネルは3Dスキャン後に職人が製作したワンオフ品 |
参考までに、以前に販売されていたメルセデス・ベンツSLKベースのレプリカの価格は2500万円
5年の歳月をかけて製作されたというメルセデス300SLのレプリカが中古市場に登場。
これはおよそ1400万円にて南アフリカのクローズリー&ウェッブ社が販売しているもので、ベースとなるのは2001年式のメルセデス・ベンツSLK32 AMG。
同社によれば、オリジナルの300SLを3Dスキャンした上で職人がハンドメイドにて作り上げたアルミ製ボディパネルを持つといい、しかしもともとのドナーカーであるSLK32 AMGのボディ形状にあわせて細部の調整が行われているようですね(ちょっと車体が分厚いように見える)。

ドライブトレーンはメルセデスSLK 32 AMG同様
なお、ボディパネルは一新されているもののドライブトレーンそのものには手が入っておらず、搭載されるエンジンは3.2リッターV6スーパーチャージド(349馬力)。

トランスミッションもベース車のメルセデスSLK32 AMGのままだそうですが、車体は「アルミボディ化」によっておおよそ400kgの軽量化が図られているといい、実際に運転した印象はライトウエイトスポーツに近いのかもしれません。

メルセデス300SLとは?
メルセデス・ベンツ300SLは1954−1963年の間に製造され(ガルウイングは1957年まで)、「世界初のスーパーカー」、そして世界ではじめてガルウィングと直噴エンジンを採用したことでも有名。
もともとはレーシングカーとして企画されていますが、北米のメルセデス・ベンツディーラーが「これは売れる」と踏んでメルセデス・ベンツ本社とかけあい、ロードカーとして市販されたという珍しい経緯を持っています。

メルセデス・ベンツ300SLはもともとがレーシングカーであっただけに非常に性能が高く、3リッター直6エンジンからは215馬力を発生。
なお最高速度は260km/hだという記録が残り、1950−1960年代のクルマとしては規格外であったと思われます。

そのために当時、この車を運転中に事故を起こして死亡するケースが相次ぎ、「ウィドウメーカー(未亡人製造機)と呼ばれることになりますが、この不名誉極まりないニックネームを頂戴するのはこの300SLが初めてかもしれません(のちにポルシェ911GT2が襲名)。
300SLクーペが1,400台、300SLロードスターが1,858台という非常に少ない生産台数であり、「もっともコレクターの欲するメルセデス・ベンツ」としても有名ですね。

なお、この有名な「ガルウイングドア」は、レーシングカーとしての車体強度を確保しようとした際にサイドシルが高く厚くなってしまい、となると通常の横開きドアだとドライバー乗り降りが非常に難しく、よって考案されたのがこのガルウイングで、当時の”苦肉の策”がまさか後世に残る、メルセデス・ベンツを代表するアイコンになろうとは当時のエンジニアたちも予想だにしなかったのかもしれません(このレプリカではそのサイドシルも忠実に再現されている)。
そして1950年代にこのクルマ、そしてガルウイングドアを見た人は「宇宙船のようだ」と感じたかもしれませんね。

今回の個体については「1400万円」とかなり高価ではありますが、オリジナルのメルセデス300SLの価格はときに5億円に達しようというところなので、この価格であっても、「オリジナルに憧れる」人にとってはお買い得なのだとも考えられます。