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メルセデス・ベンツ、過去最大の新型車攻勢を発表。2026年までに32車種を投入予定

メルセデス・ベンツ

| メルセデス・ベンツ、史上最大規模の新型車投入計画を発表 |

一気にラインアップを拡大、チャンスがあれば「ニッチ」にも

メルセデス・ベンツが、2026年までに計32台の新型車を投入するという「ブランド史上最大となるプロダクトローンチを計画している」とアナウンス。

2026年には18台、2027年にはさらに14台のモデルが登場予定で、その多くは(現行モデルの)次世代型もしくは既存モデルのフェイスリフトではあるものの、一部には完全新設計となる車種も含まれるといいます。

CEOのオラ・ケレニウス氏によれば、同社はすでに約40種類のボディバリエーションを展開しており、これにさらなるモデルが加わる可能性もあるとのこと。

「さらなるニッチ市場があるかもしれない。需要があると判断すれば、我々はそれに応える。私たちはクルマを食べ、寝て、そして飲んでいる」

とはいえ、過去のように採算度外視の実験的モデルを出す時代ではなく、「ビジネスとして成立する」ことが前提条件となるとも補足しています。

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一方で一部モデルは整理へ

驚くべきことに、こうした拡大計画が進行する一方、メルセデスは既存ラインナップのスリム化も世界規模にて進めていることについても言及済み。

すでにSLC、CLS、AMG GTコンバーチブルは販売終了しており、Tクラスやシタンも段階的に廃止予定(Tクラスはピックアップトラック同様、一瞬の命であった)だとされ、また、CクラスおよびEクラスのクーペ/カブリオレはCLEシリーズへとすでに統合され、BクラスのMPV(ミニバン)も2026年に廃止される見込みです。

Aクラスは継続販売へ、CLAには新型ワゴンも

一方、以前には2026年での販売終了が噂されていたAクラスにつき、欧州を中心に高い人気を維持していることから、現行モデルの販売継続が決定されたことにも言及しており、さらには5ドア・ハッチバックも販売が続行され、新型CLAセダンおよびワゴンと併売される予定なのだそう。

これら新型CLAは、ガソリンおよびEVの両パワートレインが用意されるというので、メルセデス・ベンツは「より幅広い」顧客に対する訴求力を強めたいのかもしれません。

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なお、以前に「2030年までにすべて廃止される」と報じられたワゴンににつき、最新の戦略だと「全廃する可能性は低い」と見られていて、実際、エントリーモデルであるCLAにおいても3代目となるシューティングブレーク(ワゴン)が追加されたばかりということからも「メルセデス・ベンツはワゴンを捨てない」ということがわかります。

EQシリーズはICE車と統合、EQSは1世代限りで終了

さらにメルセデス・ベンツは今後、EV専用モデル「EQシリーズ」と、従来の内燃機関(ICE)車を統合する方針を示しており、その一環として、EQSは1世代限りで廃止される予定だとされ、今後はSクラスにICEおよびEVの両方が設定されることとなるもよう。

これはBMWと同様の戦略を採用することを意味しますが、デザイン責任者のゴードン・ワグナー氏はEQSについて「10年早すぎたクルマだった」と語っており、次世代の戦略転換が鮮明になっています。※BMW i3、i8も「10年早かった」可能性があり、BMWはEVラインアップを独立させる戦略が現実にそぐわないことを(i3、i8での経験から)10年早く察知していたのかもしれない

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EVシフトの中でもエンジン継続を明言

EVの普及が想定より遅れている現状を踏まえ、メルセデスは内燃機関モデルの寿命を延ばす“進路修正”も行っているとのことですが、これは「EVのみが未来」と信じていた同社にとって大きな路線変更であり、それほど「かつてメルセデス・ベンツが思い描いていた未来への道は険しかった」ということなのかもしれません。

「電動化された高性能エンジンは、当初想定していたよりも長く生き残るだろう。今の状況では、ICEとEVの両立こそが最も合理的な選択だと考えている」

メルセデス・ベンツCEO オラ・ケレニウス

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参考までにですが、およそ15年ほど前、メルセデス・ベンツは「マスマーケット」を狙い低価格モデルを拡充した時期があり、それによって発生したのが「低価格モデルが上位モデルノ販売を食ってしまった」という状況。

この状況はメルセデス・ベンツ全体の利益を圧迫することとなり、そこでメルセデス・ベンツは低価格モデルを整理し「高単価・高利益」戦略に転じています。

そして今回発表された新しい戦略は今までの路線をさらに「拡張」しつつ、ニッチ、そして低価格モデルにおいても利益が取れる構造へと再編しての新たなる展開ということになりそうですね。

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