| 内燃機関と関連パワートレインについては「ほとんど無視」された異例のモデルチェンジ |
反面、「EQ」へと大きく近づき、「走るスマホ化」が進められる
さて、メルセデス・ベンツが第6世代となる新型Eクラス(W214)を発表。
おそらくはガソリンエンジンを搭載する最後のEクラスになるかと思われますが、次世代モデルににて”ピュアエレクトリック”へと移行することをイメージしたのか「EQフェイス」を採用しており、加えて新しい意匠として「メルセデス・ベンツのスリーポインテッドスター」をあしらったテールランプを持つことがぼく的な最大トピックです。
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そのほか、簡単にいえば「進化したエクステリアデザインとキャリーオーバーされたエンジンを持ち、インテリアだと多彩なスクリーンとカメラ(選択したオプションによっては最大5つ)を持っている」のがこの新型Eクラスで、ハードとしては「ガソリンエンジン搭載のこれまでのクルマ」ながら、考え方やソフト面では「最新世代のEV」といったイメージ。
外観としては「いい具合にダイナミックに、いい具合に未来的に」、そして高級感やスポーティーさとのバランスにも優れており、CクラスでもSクラスでもなく、Eクラスを積極的に選びたくなるようなデザインを持っている、と捉えています。
新型メルセデス・ベンツEクラスはこんなクルマ
そこでこの新型メルセデス・ベンツEクラスを見てゆくと、全長だと2.5センチ、ホイールベースが1.25センチほど伸びており、これによってヘッドルームと後席レッグルームに余裕が生じ、エルボースペースはSクラスと同等レベルに。
仕様地によって投入されるグレードは異なるものの、たとえば北米だとE350とE450がまず投入され、いずれのグレードにも4WD(4マチック)が選択可能であり、組み合わせられるトランスミッションはいずれも9速オートマチックです。
新型Eクラスのプロポーションは先代と大きく変わることのないキャブ・リアワード・シェイプではあるものの、上述の通り細部については「新しく」なっており、とくにこのヘッドライトはCクラスやSクラスとの大きな識別点となりそうですね。
フロントグリルはちょっと大きく、しかし流行の「フレームレス」ではなく、高級感を優先したのかフレーム付き(ただしボディとはツライチ)。
デイタイムランニングランプは「上下」に分かれるというユニークな構造を持ち、グリル内のメッシュにもスリーポインテッドスター。
そしてこのスリーポインテッドスターはテールランプやフロントバンパー内のエアインテークにも再現されており、マイバッハ同様、そのブランディングを徹底してゆくことになりそうです。
オプションではプロジェクション機能付きデジラルライトも用意され・・・。
フロントフード上には「立体」エンブレムが装着されている公式フォトも(グレードによってこれが装着されるのか、それともオプションなのかは不明)。
ホイールサイズが18インチから21インチまでが用意され・・・。
オプションでは最大で4.5度まで角度をつけることができるリアホイールステアリングも。
高速走行時には後輪の切れ角が2.5度に制限されるものの、これによって車線変更時の安定性、操縦性を向上させることができ、オプションのテクノロジーパッケージを選択すると、減衰力を継続的に調整できるエアサスペンションシステム「エアマティック」も追加され、これによって車体を水平に保つほか、高速走行時には車高を下げて低重心化を実現し、同時にエアロダイナミクスの効率化を図ることが可能になるとアナウンスされています。
新型メルセデス・ベンツEクラスのインテリアはこうなっている
そしてこちらは新型メルセデス・ベンツEクラスのインテリア。
EQEのレイアウトに近く、独立したドライバーディスプレイとセンターディスプレイに溶け込むブロードスクリーンを持っており、ディスプレイのスタイル(テーマ)は2種類あって、レッド照明や大型タコメーター表示がなされる「 スポーティ」に・・・。
落ち着きの感じられる「クラシック」。
オプションのMBUXプレミアム・プラス・パッケージを選択した場合、助手席用スクリーンが付属しますが、これは助手席に内蔵されるセンサーにて感知され「助手席に人が座っているときだけに」作動するもの。
このスクリーンは(フィルタによって)ドライバーからは見えないように設計されているようですね。
Eクラスのインテリアには、最大5つのカメラが搭載されていますが、標準装備のモノラルカメラ(1つ)はドライバーを監視して視線を道路に集中させ、ステレオカメラは運転支援システムをサポートするためにメーターディスプレイに装着されており、オーバーヘッドコントロールパネルに取り付けられるジェスチャーカメラはMBUXインテリアアシスタント機能の一部として機能します。
これに加え、新型メルセデス・ベンツEクラスには2つのRGBカメラも用意されており、1つはダッシュカム、もう1つはセルフィー(自撮り)カム。
こういった自撮り用カメラは比較的若年層向けのコンセプトカーや市販車(シトロエンなど)に装着されるものですが、メルセデス・ベンツEクラスのような高級車に装備される例はかなり珍しいかもしれません。
これはZoomなどを使用したWEB会議や、撮影したものをTikTokにアップするなどの用途に使用されるもの(どちらもアプリがプリインストールされている)。
メルセデス・ベンツによれば「新型Eクラスでは、ハードウェアよりもソフトウェアに注力した」とのことで、そのために新しく設計されたシングルコンピューターシステムにて車両をコントロールしており、とりわけサードパーティアプリとの互換性に注力したのだそう。
プリインストールされるアプリとしては上述のZoomやTikTok、そして「アングリーバード」のようなエンターテインメントアプリ、「Webex(ビデオ会議アプリ)」や「Vivaldi(検索アプリ)」が紹介されていますが、今後はどんどん自社そしてサードパーティ製アプリが追加され、無料ときには有料で利用が可能になるのだと思われます。
新型メルセデス・ベンツEクラスについて、外観についてはまさに「次世代ピュアエレクトリックモデルへの橋渡し的」なデザインを持っているもの、インテリアについてはさらにそれが顕著であり、そして「ガソリン時代の終焉」を示すかのように、内燃機関含むパワートレインについてはほぼ手が入っていない(ように思われる。実際、プレスリリースでもほとんど触れられていない)モデルチェンジでもあり、メルセデス・ベンツのひとつの考え方を示すかのようですね。