
| 1,800馬力の怪物「ブガッティ・トゥールビヨン」 |
約6億円という金額にもかかわらず注文が殺到していることには驚かされる
自動車業界の大半は、ディーラーやオンライン販売で在庫車を並べ、足を運んでもらい、顧客に”買ってもらう”ことで会社が成り立っていますが、しかしその“もうひとつの世界”に属するのがブガッティ。
最新モデルのトゥールビヨンは、自然吸気V16+3基の電気モーター、システム総出力1,800馬力を誇り、0-100km/h加速は2秒、最高速度は特別なスピードキー使用時に444km/hに到達。
価格は400万ドル超(約6億円)とも言われていますが、たとえ資金があってもすぐに注文できるわけではなく、簡単に「買うことができない」クルマです。
すでにトゥールビヨンは2029年まで完売
この事実はモントレー・カーウィーク2025にて、ブガッティ デザインディレクターのフランク・ハイル氏が次のように語った内容によって担保されており、つまり、今注文しても納車は最短で4年後ということになりますね(しかもブガッティによる”厳しい審査をクリア”したと仮定して)。
「250台のトゥールビヨン、最終段階のボリードのデリバリー…これらで我々の生産キャパシティは2029年まで埋まっています。」
新アトリエ建設なるも、生産能力拡大は限定的
ブガッティは現在、フランス本社の敷地内に新しい生産施設(アトリエ)を建設中ではありますが、しかしその規模は一般的な自動車メーカーの基準としてはかなり小さく、敷地面積はわずか1エーカー程度。※参考までに、フォルクスワーゲン・ヴォルフスブルク工場は約400エーカーを誇る
したがって、新工場が完成しても大幅な増産は見込めず、「希少性」を保ち続ける戦略が明確です。
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2029年まで待つということ
「2029年」と聞くと遠い未来に思われ、実際に自動車業界ではその間に大きな変化を迎える可能性があり、たとえば「自動運転」や「全固体電池(ソリッドステートバッテリー)」の普及、ランボルギーニやフェラーリにおいては「初の」ピュアエレクトリックカーが発表(あるいは発売)されている可能性も。
こういったひとつの時代を超えてブガッティの顧客は「納車を待ち続ける」必要があるわけですが、こういった現実があるからこそ「中古市場でのブガッティ」の価格が上がり続け、「手に入れることができない存在」を象徴するクルマであり続けるのかもしれません。
さらにブガッティでは、「ブガッティの品位を落とすような顧客に販売しないよう」厳しい審査基準を設けており、これもまた「お金がいくらあったとしても、新車でブガッティを購入できるわけではない」という事実を形成しており、やはり中古価格を押し上げる一つの要因としても機能しています(新車を購入できなかった一部の人々が、お金にモノを言わせることがある)。
「59人がキャンセルしても完売状況は変わらず」
さらに驚かされることに、ブルームバーグによれば、現在の受注状況は驚異的で、仮に59人がキャンセルしても完売状態は変わらないとのことで、つまり現時点で「59人」のキャンセル待ちが存在するということに。
超高額でありながら、顧客が途切れるどころか“行列”を作っている現状そのものが「ブガッティというブランドの健在ぶり」を物語っているかのようですね。
「私はブガッティを世界で最も成功し、最も利益率の高い自動車メーカーにしたい。」
ブガッティCEO メイト・リマック
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参照:Grey Market, Bloomberg