| プレミアムカーにとってのオプションは自動車メーカーにとっての「儲けネタ」である |
そう考えると、いかに「儲かる」オプションを考えるかも重要な業務となってくる
さて、メルセデス・ベンツは「高収益モデルに特化する」と公言しており、具体的には「台数を追求するための販売や、そのためのエントリーモデルを縮小させ」上位モデルやAMG、マイバッハブランドを強化すると発表済み。
その理由としては「エントリーモデルは今後中国のEVに食われてしまって利益が出なくなる」と踏んでいるからだと言われますが、逆にプレミアムセグメント、AMG、マイバッハブランドだと(欧州やアメリカにライバルはいるものの)中国車との競争を避けることができ、一定の利益を確保することが可能なのだと思われます。
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さらにメルセデス・ベンツはオプションの拡充によって利益を拡大
そして今回メルセデス・ベンツが発表したのがSクラス向けの新オプション。
今のところ対応するのはAMGバージョンのS63 E-パフォーマンスのみだそうですが、同社のパーソナリゼーション部門「マヌファクトゥーア」を活用すれば、ボディカラーにオリーブメタリック、ルベライトレッド、グラファイト、ミスティックブルー(いずれもメタリック)、ヴィンテージブルー、シリコングレー(これらはソリッド)を追加できるようになるといい、その価格は1,428ユーロ(約225,000円)から7,021ユーロ(約1,040,000円)まで。
これに満足できなければカラハリゴールド・マグノとナイトブラック・マグノといったマット仕上げも選択できる(メルセデス・ベンツではマット仕上げをマグノと呼んでいる)とアナウンスされています。
そのほかインテリアにおいても多くのオプションが追加されており、ダイヤモンドキルティングとヘッドレスト上にAMGロゴがエンボスされたナッパレザー内装の提供も開始しており、このナッパレザーはステアリングホイールやアームレストはもちろん、センターコンソールやドアインナーパネルにまで使用範囲が及びます。
ちなみにメルセデス・ベンツは以前「(環境に配慮して)レザー内装をやめる」という旨のコメントを行ったことがあるものの、ロールス・ロイスが言うとおり、富裕層には「レザー以外の内装が受け入れられにくく」、結局レザーを使用することにしたのかもしれません(ベントレーもレザー廃止から一転し、レザーの使用を継続している)。
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ちなみに現時点で(オプションによって)用意されるカラーは「ヨットブルー/ブラック、トリュフブラウン/ブラック、ナットブラウン/ブラック、パステルイエロー/ブラック、ディープホワイト/ブラック」という組み合わせだそうですが、今後はそのコンビネーションやカラーそのものが増えるものと予想しています。
さらにメルセデス・ベンツはこんなオプションも用意
加えてメルセデス・ベンツは、AMGロゴの刺繍が施された厚手のフロアマット、AMGレタリングが施されたイルミネーションドアシル、ダッシュボード上のクロームストリップといったアイテムも追加しており、内容を見ると「AMGモデルをマイバッハ的に」カスタムすることができるという印象。
実際のところ、Sクラスのバイヤーは「AMGとマイバッハとで迷う」ことも少なくはないと思われ(ぼくがこれらを購入することはないが、もし購入するとなると絶対に迷う)、「AMGの(足回り含む)動力性能とスポーティなエクステリアに、マイバッハの豪華な内装とを組み合わせることができたらなあ」という要望を今回のオプションによってある程度解決できることになるのかも(それでもまだマイバッハのほうが遥かに高級ではあるが)。
参考までに、前CEOであるディーター・ツェッツェ氏は「マイバッハブランドは独立させるべき」という主張を行っていたものの、役員会が「マイバッハはメルセデス・ベンツのサブブランドとすべき」という決定を下したため、現在は「メルセデス・マイバッハ」という(本家メルセデス・ベンツの)派生グレード的扱いとなっているのですが(AMGも同じ)、今回の「乗り入れ」っぽいオプションは「マイバッハ」「AMG」両方がサブブランドとしてのポジションを持っているからこそ可能となったのかもしれません(当時の役員会はそこまで想定していなかったと思われるが)。
そしてこの価格帯のクルマを購入する人が「オプションをケチる」ことは考えにくく、自分の要望を満たすためであれば喜んでお金を払うはずだとも考えられ、それこそがメルセデス・ベンツの狙いであり、今後さらにオプション群が拡充することになるものと思われます(安価なクルマ向けのオプションは価格を高くできないための利益を確保できないが、高級車向けのオプションは大きな利益を生む)。
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