| 現代では「空力」のコントロールは非常に大きな意味を持つ |
かつて「エアロダイナミクス」が軽視されていた時代がウソのようだ
さて、ハイパフォーマンスカーのほとんどがアクティブエアロを備えており、その内容は年々進化しつつある、というのが今の状況。
現時点でニュルブルクリンク最速王者として君臨するメルセデスAMG Oneもその例外ではなく、ウイングだけではなくフロア下のパネルやフロントフェンダー上のルーバーなども稼働するという仕組みを持っています。
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メルセデス・ベンツは前代未聞の「変形サイドスカート」の特許を出願
そして今回メルセデス・ベンツが出願したのが「変形するサイドスカート」という、今までにあまり見たことも聞いたこともない内容の特許。※ただしヒョンデ、ホンダは2023年と2022年に同様の考え方を持つパテントを出願している
メルセデス・ベンツがこの特許を出願した意図は「グラウンドエフェクトを利用するため」で、これを可能にするのが「柔軟な素材で構成され、上下左右に展開可能なサイドステップ」。
自動車におけるグラウンドエフェクトを考える上で外せないのがロータスのF1マシン「78」であり、これはフロア底面に「逆翼構造を採用し、クルマの下に低圧ゾーンを作り出してクルマの上を流れる空気をその下を流れる空気よりも速く動かし、車体を地面に押し付ける」というもの。
これによってダウンフォースが増加することになるわけですが、スポイラーやウイングと異なるのは空気抵抗を最小限に抑えられるということで、つまり損失を小さくしたままダウンフォースを最大化できるということ。
これはもちろんスポーツカーにとっても、航続距離の伸長が最大の命題であるEVであっても同じことであり、メルセデス・ベンツは様々な車種にてこの特許を活用する計画を持っているのかもしれません。
そしてこの特許は、ロータス78が「クルマの底面を流れる空気をそれ以外からシャットアウトすることで」よりその効果を高めたのと同様に、フロア下からエアが逃げないよう、そして外からフロア下へとエアが流入しないように「サイドステップを横と下方向へと伸ばして」気密性を確保するためのものだと考えられ、レーシングカーのようにサイドステップが張り出すことになるのだと思われます。
なお、メルセデス・ベンツは損失の低減という観点から「車体が前後に伸びる」コンセプトカーを発表したことがあり、エアロダイナミクス向上のために様々な手法を検討しているということがわかりますが、「全長の可変」についてはアウディやポルシェも同様のコンセプトを考案しており、数年後にはこういった「走行中に変形する車両」が一般化する可能性もありそうですね。
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参照:CARBUZZ