| メルセデス・ベンツは利益率を重視し「1台あたりの販売単価の引き上げ」を目論んでいる |
そしておそらく、今回の「カスタム対応範囲の拡大」は多くのユーザーが待っていた内容に違いない
さて、メルセデス・ベンツがフェイスリフト版となる新型Sクラスを発表。
ここ最近同社がリリースしたフェイスリフトバージョン(GLSなど)と同様に変更箇所は極めて小さく、エクステリア、インテリア、採用されるテクノロジーに微妙なアップデートを加える程度にとどまっており、パワートレインの変更は発表されていないため「変わりなし」なのだと思われます。
新型メルセデス・ベンツSクラスはこう変わった
そこでこの新しいメルセデス・ベンツSクラスを見てみると、いくつかのボディカラー(ベルデ シルバー メタリックやベルベット ブラウン メタリック)が追加されたほか、前席に快適なヘッドレストが装備され(ぼくは常々これに違和感を持っているが、中国市場では”高級車に必須”だとされる)、さらにはMBUX インターフェイスがアップグレードされることでソニー・ピクチャーズ・エンタテイメントによる「RIDEVU」サービスが組み込まれることで乗員は革張りのキャビンからビデオ エンターテイメント (映画のライブラリを含む) をストリーミングできるように(もちろんYouTube 経由でビデオ コンテンツをストリーミングすることも可能)。
そのほか、MBUXインターフェイスも以前よりも直感的になったとされ、加えてパーキングエイドのスイッチがより使いやすい位置へと移動し、メルセデスミーによる「デジタル車両キーのプレインストール」サービスが一部地域で利用できるようになるなど利便性が大きく向上。
さらにはMBUXエンターテイメント・プラスとOLEDセンターディスプレイが標準化された、とアナウンスされています。
新型メルセデス・ベンツSクラスでは「カスタム」の幅がより広く
そしておそらく、今回のフェイスリフト最大の目玉が(メルセデス・ベンツのパーソナリゼーションプログラムである)マヌファクトゥーアの提供範囲拡大であり、12色の専用色追加(ヴィンテージ ブルーやシリコン グレーなどのソリッド ペイント、ルベライト レッドやカラハリ ゴールドなどのメタリック、オパリット ホワイト マグノやグラファイト グレーのような「マグノ=つや消し」など)にはじまり、インテリアだとアルミニウムのラインを備えたウォルナットブラウンのオープンポアウッドや、流れるようなラインを備えたブラックのピアノラッカーなど。
そのほか、ダイヤモンドキルティングを施したナッパレザーの室内装飾や、メルセデス・ベンツのスリーポインテッドスターが刺繍されたクッションも用意され、ダッシュボード、センターコンソール、アームレスト、ドア内張り用としてはプラッシュナッパハイドレザー、そのほかナッパレザーのパイピングを施したディープパイルのフロアマット( ヨット ブルー/ブラック、ウォルナット ブラウン/ブラック、ディープ ホワイト/ブラック、タルトゥーフォ ブラウン/ブラック、パステル イエロー/ブラック)といった選択肢も。
要は「フラッグシップに相応しい」パーソナリゼーションが可能となり、ベントレーやロールス・ロイスのように「1台あたりの利益を最大化」しようということなのだと思われますが、これを可能とするのは250人の専門家チームだといい、これら専門家は約3年にわたるトレーニングを受け、さらには特定部位に特化した6ヶ月の研修を受けることとなるのだそう。
むしろこれまでSクラスのカスタムの範囲が限られていたことにも驚かされますが、現在のメルセデス・ベンツは「台数よりも利益率」を追求すると明言しており、AMG、マイバッハ、そして少量限定ブランドの「ミトス」、さらには今回フェイスリフトを受けたSクラスのような高額モデルに集中するという意向も示されているため、メルセデス・ベンツの各モデルは「より高級に」、そしてより高価格へと移行してゆくのかもしれません。
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参照:Mercedes-Benz