>メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz/AMG) ■自動車各社業績/ランキング/記録等

EVへの転換を強力に進めていたメルセデス・ベンツ。EQB/EQSの販売がほぼ半減、一方でPHEVの販売は+524%。それでも全体の販売は8%減少し、早急な対応が求められる

メルセデス・ベンツ

| さらにメルセデス・ベンツはハイパフォーマンスモデルにおいてもV8を廃止し6気筒と4気筒に置き換えている |

メルセデス・ベンツが採用した戦略が「世間から受け入れられなかった」と考えていいだろう

さて、現在各自動車メーカーとも2024年上半期の業績を発表していますが、ポルシェは-7%、BMWは+2.3%、アウディは-8%、そしてメルセデス・ベンツは-8%という数字を計上しており、全般的にはかなり苦しそうな状況が伺えます。

そして今回はメルセデス・ベンツがその主要市場である北米での販売状況を公開していて、2024年上半期の販売台数は(ワールドワイドの-8%よりも大きく落ち込んだ)-12%という数字です。

なお、北米には中国車がほとんど入っていないので、同じく同社の主力市場である中国のように「現地の自動車メーカーにシェアを食われる」ということは無いはずですが、ここでその詳細を見てみましょう。

メルセデス・ベンツの2024年上半期はこういった状況だった

そこでざっと概況から見てみると、「EVの販売が落ち込んでPHEVの販売が伸びた」。

これはほか多くの自動車メーカーと同様の傾向ではあるものの、電動化(EVへの切り替え)を強力に推し進めるメルセデス・ベンツにとってはかなりツライ現実だと考えてよく、ここからも先般「もうEVの押し付け販売を行わない(押し付けたとしても売れない)」と発言した背景を伺うことが可能です。

メルセデス・ベンツ
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実際のところ、今回の販売実績の発表に際してメルセデス・ベンツUSAは電気自動車の普及について厳しい見通しを示し、(2024年第2四半期の販売だと)EQEおよびEQE SUVの販売台数は前年同期比で47%減少し、EQSとEQS SUVでは57%減少して2,555台となって状況がさらに悪化しています。※2024年上半期だとEQSとEQS SUVは52%減少

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メルセデス・ベンツのEVにおける唯一の明るい点はEQBで、第2四半期に売上が88%増加し、しかし第 四半期の売上が極めて低調だったため、今年累計販売台数(上半期)では4%増の3,844 台にとどまることに。

なお、同社のEVでもっとも「期待外れ」だったのは商用車のEスプリンターで、これはなんと2024年上半期でわずか642台しか売れておらず、同じく電動商用バンであるフォード Eトランジットの6,301台の「ほぼ1/10」という結果です。

一方、プラグインハイブリッドの販売が大きく伸びる

EVが苦戦する一方、プラグイン ハイブリッドの販売台数は第2四半期に524%急増し、メルセデス・ベンツ USAのCEO、ディミトリス・プシラキス氏によれば「第3四半期に米国で発売が待望されていたGLC 350e、魅力的なAMG SL63e Sにより、プラグインハイブリッドポートフォリオを拡大することとなり、この勢いは今後も続くだろう」。

実際のところ、多くの自動車メーカーでもハイブリッドとPHEVの販売が拡大していると報じられているので、今後のメルセデス・ベンツの浮沈については、いかにEV重視戦略から、ハイブリッド / PHEV重視戦略へと素早く切り替えるかにかかっているのかもしれません。

車種別の好不調を見てみると、販売が伸びたのはCクラス(+1%)、Eクラス(+15%)、GLB(+17%)、GLC(+28%)、GLS(+22%)、AMG GT(+14%)、EQB(+4%)のみで、このほかは軒並み「前年割れ」となっており、とくに落ち込みが大きいのはAMG SL(-60%)、EQS(-52%)、CLA(-37%)GLA(-33%)、SVクラス(-33%)といったところです。

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参照:Mercedes-Benz USA

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