| 新型マツダEZ-6は「マツダらしさ」を維持しつつ新しい要素が盛り込まれた魅力的なセダンである |
日本で発売してもけっこう売れそうな気もするが
さて、マツダは今年4月に中国専売モデルとして「EZ-6」を発表していますが、これは現地でのパートナー、長安汽車との共同開発によるクルマ。
長安汽車が所有するEPAプラットフォームをベースとしたミッドサイズのリフトバック形状を持つセダンであり、BEVとレンジエクステンダーつきEV(EREV)の2モデルが投入されることがアナウンスされていますが、そのマツダEZ-6がなんと7月17日からデリバリーされるとの報道。
これはちょっと「びっくり」な事実であり、というのも日米欧の常識だと、新型車とくにEVは発表されてから1年以上経たないと納車が開始されない例が大半であるためで、しかしこの異常なスピードは現在の中国の自動車メーカーの現状を表しているのかもしれません。
実際のところ、中国製EVが世界中の市場を席巻しているのはその価格や性能というよりも「展開の速さ」だとも考えられ、市場の要望にマッチしたデザインや仕様を持つEVを素早く市場投入することでライバルを「時代遅れ」にするというのがそのビジネススタイルであるとも考えられます。
そしてアウディやフォルクスワーゲンは中国の新興EVメーカーとの提携を行い、それによってこの手法を学び取ろうとしているのが今の状況でもありますが、つまりはそれだけ「中国の自動車メーカーは侮れないポジションにまで成長した」ということになりそうですね。
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マツダEZ-6はこんなクルマ
そこでこのマツダEZ-6を見てみると、長安汽車から発売されるディーパルSL03との類似性も見られ、しかし随所にはマツダ独自のディティールが盛り込まれ、しかしこれまでのマツダとは異なる雰囲気を持つのが興味深いところ。
というのもマツダはデザインについて市場ごとに変化をつけることを好まず、「これ」と決めたデザインで通す傾向があるからで、それは「ボディカラーもデザインの一部」だとしてカラーバリエーションを安易に拡大しないことからもわかります。
それはともかくとして、このルーフからテールにかけてのライン、テールエンドは非常に新しく、さらにはフラッシュマウントドアハンドルといった新要素も用いられており、なかなかに美しいセダンだと思います。
全長4,921ミリ、全幅1,890ミリ、全高1,485ミリというけっこう大きなクルマであり、ホイールベースは2,985ミリに設定されていますが、このボディサイズとホイールベースは中国市場で求められる「ゆとりある後席スペース」を実現するためのものということになりそうですね。
ちなみにドアは「サッシュレス」で、全体的に洗練された印象が強く感じられます。
マツダ EZ-6はこんなインテリアを持っている
そしてマツダEZ-6のインテリアを見てみると、エクステリア同様に先進性が感じられるスマートなデザインを持っており、かつレザーやアルカンターラなどのプレミアム素材がふんだんに用いられているもよう。
メーターはフルデジタル、そしてダッシュボードのセンターには(マツダらしからぬ)14.6インチサイズの巨大なインフォテイメントスクリーン。
ルーフは中国市場で好まれる「グラストップ」。
現時点では、EV版EZ-6のバッテリー容量や航続距離に関する情報は公開されておらず、ただしEREVバージョンではディーパルSL03と同じ長安製JL473QJ エンジン(70kW)が使用されること(これは発電用としてのみ機能する)、そして後輪を駆動するのは160kWhの出力を誇るエレクトリックモーターであることがわかっています。
価格についてもアナウンスがなく、しかし7月17日に最初の個体がロールアウトするのであれば、数日内になんらかの発表が行われることになるのかもしれませんね。
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参照:汽車之家