| このポルシェ・アメリカ・ロードスターで国家歴史車両に登録されるのは34台目 |
ポルシェはアメリカ市場とともに成長してきた
さて、1952年型ポルシェ・アメリカ・ロードスターが米国ナショナル・ヒストリック・ビークル・レジスター(国家歴史車両登録簿)に34台めの車両として登録された、とのこと。
この国家歴史車両登録簿には、昨年「キャノンボールに登場したランボルギーニ・カウンタックが登録された」とも報じられていますが、この登録は「車種」ではなく「個体」にてなされるようで、今回のポルシェ・アメリカ・ロードスターだと「シャーシ番号12336、ポルシェがアメリカ人レーサーのために特別に製造した16台のアルミ製ボディのうちの1台」だと紹介されています。
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ポルシェ・アメリカ・ロードスターとは?
なお、この「ポルシェ・アメリカ・ロードスター」という名はこれまでに聞いたことなく、解説によればアメリカへとポルシェの輸入を行っていた業者、マックス・ホフマン、そして有名なレーシングカードライバーでありディーラーでもあったジョン・フォン・ノイマンの働きかけによって(ポルシェを動かし)作られた、とのこと。
ちなみにこのマックス・ホフマンは「ポルシェのように素晴らしいクルマにエンブレムがないのはもったいなく、よってエンブレムをつけるべきである」とポルシェ本社に進言した業者でもあり、それによってあの「ポルシェクレスト」が誕生しています(つまり、それまでのポルシェにはエンブレムがなかった)。
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ポルシェは1948年に1号車の生産を開始したのち3年間はエンブレムを持たなかった!現在のエンブレムの原型ができたのは1952年、これまでに5回の変更を受けている
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参考までに、ポルシェはドイツの自動車メーカーではあるものの、その成功はアメリカ市場と密接に結びついており、アメリカでの人気化がポルシェの業績を伸ばしたといっても過言ではないかと思います。
そしてもう一つ参考までに、ジャニス・ジョプリンは1970年に「ベンツが欲しい」と歌っていますが、この意図は「みんなポルシェに乗ってるから、ポルシェではなくベンツが欲しい(ちなみに本人はすでにポルシェを所有していた)」というもので、つまりはそれだけポルシェが溢れていたということになりそうです(さらに、ワンダーウーマン1984でもポルシェがその時代の流行として描写されているので、1970−1980年代のアメリカはポルシェが大人気だったのだと思う)。
このシャシーナンバー12336に話を戻すと、当時ジョシー・フォン・ノイマンがこのポルシェ・アメリカ・ロードスターのステアリングを握って数々の勝利を収め、これがポルシェに対して「より競争力のあるスポーツモデルを作ろう」という原動力になったとも言われています。
そしておそらく、こういった「ポルシェを動かした」きっかけとなったことがナショナル・ヒストリック・ビークル・レジスターにも評価されたのだと思われ、同機関によれば、今回の登録について「ポルシェのストーリーを議会図書館に記録・保存し、未来の世代に知ってもらうための素晴らしい例となるでしょう」。
このクルマが登録対象となったことを祝して開かれるイベントでは、2009年にこの車を購入した(故人である)ロバート・イングラムを偲ぶ談話が発表されており、現在のこの状態は同氏の息子であるカム・イングラム率いるロードスカラーズがフルレストアを行ったことで実現したもの(2018年に完成し、ペブルビーチ・コンクールでクラス3位を獲得している)。
そしてもうひとりの息子、ローリー・イングラムは「”アメリカ・ロードスター "がポルシェの記念すべき日に、国家歴史的車両登録に加えられ、永久に記録されるようになったことは、非常に名誉なことです。数ある重要なポルシェの中でも、このアメリカ・ロードスターは登録にふさわしいと感じています。今年は父を亡くした大変な年であり、この重要な車を祝うことで父の遺産を称え、父の名誉のために米国におけるポルシェの遺産を記録することは、素晴らしい栄誉でもあります」。
なお、9月には(昨年のランボルギーニ・カウンタック同様に)透明の陳列ケースに入れられて展示されることになる、ともアナウンスされています。
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参照:CARSCOOPS