| ポルシェは現在フォルクスワーゲングループに組み込まれ、主要ブランドとなっているために「容易に身動きが取れない」状態である |
おそらく、いまポルシェが行っていることは「本当にやりたいこと」ではないのだろう
さて、ポルシェが2024年上半期(1-6月)における販売実績を公開。
これによると前年同期比で-7%、数字で言えば167,354台から155,945台に落ち込んでいますが、ポルシェはこの落ち込みについて「いくつかの主要モデルのフェイスリフトを行ったことによるもの」と説明しています。※第1四半期は-4%だったので、マイナス成長トレンドにあると捉えていいのかも
実際のところ、マカンは欧州のサイバーセキュリティ法によって販売を段階的に縮小しており、パナメーラとタイカンはフェイスリフトを行ったばかり、そして911シリーズにおいても911カレラ/911カレラGTSが後期型(992.2)に置き換わっており、全体的に供給がなされなかったり、あるいは「買い控え」が生じた可能性もありそうですね。
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ポルシェの2024年上半期(1-6月)販売実績はこうなっている
そこで今回ポルシェが発表した2024年上半期(1-6月)の販売実績につき、モデルごとの状況は以下の通り。
これを見るとタイカンが大幅に落ち込んでいて、しかしフェイスリフトばかりが原因ではないかもしれません(受注が低迷し減産を行うとも報じられている)。
興味を惹かれるのは718(ケイマンとボクスター)の販売増加ですが、これは販売終了が囁かれているため、そして後継モデルはピュアエレクトリックへと移行することが確定しているために、”駆け込み”での購入が増えている可能性もありそうですね。
モデル | 2023年上半期 | 2024年場半期 | 前年比 |
カイエン | 54,587 | 46,884 | 16% |
マカン | 39,167 | 47,755 | -18% |
パナメーラ | 13,255 | 17,565 | -25% |
タイカン | 8,838 | 17,991 | -51% |
911 | 28,212 | 26,124 | 8% |
718 | 11,886 | 11,035 | 8% |
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ポルシェが「タイカンの受注が低迷し減産を行う」との報道。たしかに現在「普通に注文でき、予定通り納車される」のはタイカンのみである
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ポルシェの2024年上半期(1-6月)地域別販売はこうなっている
そして次は地域別の販売を見てみたいと思いますが、見ての通り中国市場が大きく落ち込んでいて、長らくポルシェにとって「1位」であった中国市場の衰退が感じられ、ここが中国市場の恐ろしいところだと思います(中国では一瞬で販売が大きく下がることが往々にしてあり、これは多くのプレミアムカーメーカーを悩ませるとことである。一方で日本市場は”販売数こそ多くないものの”安定して成長していると言われる)。
なお、いかにお膝元といえどもドイツの販売(と伸び)がかなり大きく、ドイツの人口は8440万人なので、ポルシェ密度では世界一なのかもしれません(参考までに北米は3億4000万人、日本は1億2400万人でポルシェの1-6月の販売は4,676台、そして前年同期比で+9%)。
地域 | 2023年上半期 | 2024年場半期 | 前年比 |
全世界 | 155,945 | 167,354 | -7% |
ドイツ | 20,811 | 17,118 | 22% |
北米 | 39,558 | 41,937 | -6% |
中国 | 29,551 | 43,832 | -33% |
欧州全域(ドイツ除く) | 38,611 | 36,574 | 6% |
その他の地域 | 27,414 | 27,893 | -2% |
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参照:Porsche