| FCAはちょうどいい時にちょうどいい会社を売却できた? |
フィアット・クライスラー・オートモビルズ(FCA)がなんと保有していたマニエッティ・マレリを約8000億円にて売却。
FCAは現在台所事情が相当に厳しく、保有している会社を「切り売り」したということになりますね。
FCAはかつてフェラーリを所有しており、フェラーリを上場させることで保有していた株式の値上がり→売却益を得ていますが、それでは不十分なようで、今までも様々な噂が出ています。
現在FCAが保有するのはイタリアのブランドだと「フィアット」「アルファロメオ」「アバルト」「ランチア」「マセラティ」そしてアメリカのブランドでは「クライスラー」「ジープ」「ダッジ」「ラム」。
自動車ブランド以外にも今回のマニエッティ・マレリやダッジ、ジープ等のパーツ販売を行う「モパー」を保有することで知られます。
マニエッティ・マレリはこんな会社
マニエッティ・マレリというと聞いたことがあるようなないようなという印象かもしれませんが、これは自動車業界になくてはならない会社。
こういったロゴを持っていますが、フェラーリF1マシンにも表示されているので知名度は高く、かつプラモデルを作るような人であれば、必ず目にしたことがあるロゴかもしれません。
主に電装系パーツを手がけることで知られ、ホームページを見るとフェラーリ(F1トランスミッションもマニエッティ・マレリ製)だけではなく、ポルシェやアウディのパーツも製造しているようで、欧州の自動車業界に相当に深く関わっている会社だといえそうです。
なおマニエッティマレリを買収するのはカルソニックカンセイ。
マニエッティマレリの類似企業もしくはライバルとも言える会社で、今回の買収によって両社の事業規模は業界トップ10あたりとなる見通しだそう。
マニエッティマレリはトランスミッションのほかランプ類、ショックアブソーバーなど物理パーツが得意なほか、自動運転技術関連などソフトウエアについても強みを発揮。
カルソニックカンセイもこの自動運転技術分野に魅力を感じたようで、「電動車や自動運転車の普及を見据えた部品の開発や供給で統合先との相乗効果を発揮したい」とコメントしています。
現代の自動車はもはやパーツ単体では語ることができなくなり、全てのパーツを「統合して制御」する必要が出ていますが、そうなると負担がかかるのが自動車メーカーにパーツを納めるサプライヤー。
今までは「ランプだけ」といった単品サプライヤーでも競争力があったものの、最近フォルクスワーゲンが発表した「インタラクティブLEDランプ」のようなデバイスだと単体のサプライヤーではもはや対応できなくなり、そこで優位に立つのがボッシュのような資金のある「総合サプライヤー」。
カルソニック、マニエッティマレリ共にこういった「大手独占状況」に対抗すべく手を組んだのが今回の合併だと言えそうですが、以前からFCAはマニエッティマレリ売却の可能性を示唆しており、いい時期に高く売れた、ということなのかもしれません。
なお、マニエッティマレリを購入したのが中国の会社ではなく日本の会社(現在は米国ファンドが所有)で本当に良かった、と思います。