| それでもフェラーリは「V12エンジンのために戦う |
近年のガソリンエンジンに対する締め付けは厳しくなる一方ですが、とくに大排気量V12エンジンを持つメーカーにとっては頭の痛い問題であるのは間違いなさそう。
現在V12エンジンを持つメーカーはフェラーリ、ランボルギーニ、パガーニ、メルセデス・ベンツ、BMW、アストンマーティンといったところで、今回Top Gearによれば、フェラーリのエンジニア部門におけるチーフ、マイケル・レイタース氏が「正直キツい」と語った模様。
フェラーリはなんとしても自然吸気V12エンジンを存続
これはガソリンエンジンに対する環境性能、そして騒音に対する規制について語ったもので、「我々は、このエンジンのために戦う」と前置きしながら、「フェラーリからV12エンジンはすぐになくならない。近年のマーケットでは、ユーロ6のみならず、アメリカの規制、さらに中国の規制にも対応する必要があり、これが事情をさらにややこしくしている。しかしフェラーリは規制に対応でき、しかもパンチのあるV12エンジンを作るだけのノウハウそして資金を持っている」と語っています。
なお、以前にもフェラーリは「なんとしてもV12エンジンは存続させる」とコメント。
そしてその方法はターボでもなくハイブリッドでもなく「自然吸気エンジン」単体で規制に対応する、と述べています。
フェラーリにとってV12エンジンはそのブランドのアイコンだとも言え、創業者であるエンツォ・フェラーリがとくにV12エンジンにこだわったのは有名な話。
「V12エンジンを積まないフェラーリは、フェラーリとは呼ばない」とし、V6エンジンを積むディーノを当初別ブランドで展開したという歴史もあって、とにかくV12エンジンに対するプライドの持ちようは他ブランドの比ではない、と言えそうです。
なお、フェラーリはV12エンジンに加え、エンジンそのものに対する執着も凄まじく、フェラーリがニューモデル発表に際して発信するプレスリリースについては、ほとんど冒頭から2/3くらいまでがエンジンの話。
つまりフェラーリがもっとも伝えたいのはエンジンの素晴らしさということになりますが、実際にフェラーリのV8、V12エンジンは「ベストエンジン・オブ・ジ・イヤー」を獲得しており、”欠点が見つからない”とも評されています。
騒音規制は2018年に導入される
そして排ガス規制のほか、頭が痛いのが騒音規制。
これは2018年から導入されたもので、騒音レベルのみではなく、計測の方法までもが厳格化されています。
その内容については明確ではないものの(調べてもあまり出てこない)、走行時や回転数に応じて、等様々な条件において計測され、厳しく音量が制限されるのかも(メルセデスAMG A45 Sはすでにこの規制の影響を受けている)。
ちなみに文字どおり規制は「年々」厳しくなっていて、発売があとになればなるほど厳しい規制に対応しなくてはならず、メルセデスAMG製のハイパーカー、「AMG ONE」は開発の遅れから発売も遅れてしまい、それによって「当初考慮していなかった規制に引っかかり」さらに発売が伸びることに。
このままではV12エンジンは確実に絶滅に向かって進んでいるということになり、存続できてもパワーダウンや音量ダウンを余儀なくされ、ハイブリッドと組み合わせる必要も出てきそう。
そう考えると、現在発売されているV12エンジン搭載モデルが「最後の」純粋なV12エンジン搭載車ということになり、後世には相当な価値をつけることになるのかもしれません。
VIA: Top Gear