| カウンタックははじめてV12を縦置きミッドマウントし、LM002はV12エンジンを積んだ「世界初の超高級オフローダー」だった |
そしてカンタックのプロトタイプ、LP500はランボルギーニではなくベルトーネのシャシーナンバーを持っていた
さて、ランボルギーニは「V12の終焉」を迎えるにあたり過去のV12モデルを振り返るコンテンツをいくつか公開していますが、今回は「カウンタックとLM002」という、一見すると真逆の位置にあるように思える二台に焦点を当てています。
カウンタックはランボルギーニにとって初めてのエンジン縦置きミドシップV12モデルであり(このレイアウトがアヴェンタドールの最終モデル、LP780-4ウルティメに至るまで継続されることになった)、1973年から1999年にかけて「1,999台と1台」が生産されています。
一方のLM002はオフローダーにはじめて「ラグジュアリー」という概念を持ち込んだ超高性能SUVで(約300台が生産されている)、両者ともジャンルこそ異なれど自動車業界に大きな衝撃をもたらしたエポックメイキングなクルマであるのは疑う余地がないところ。
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ランボルギーニ・カウンタックはこんな歴史を持っている
ランボルギーニ・カウンタックLP500は1971年3月11日の午前10時に世界に向けて公開されていますが、その「カウンタック」という名称は(ランボルギーニ伝統の闘牛由来ではなく)ピエモンテ地方の方言で「驚いた」という意味を持つもので、発表のわずか数日前にランボルギーニの開発に携わったエンジニアが思わず放った言葉から命名されたと言われています。
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ランボルギーニ・カウンタックは今年で50歳!1971年3月11日、午前10時に公開されたようだ。なお、ついに公式にて「カウンタック」の名の由来が語られる
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ジュネーブ・モーターショーにて展示された当初こそは「アイデアを示すためのショーモデル」にとどまっていたものの、このカウンタックLP500は大きな反響とともに迎えられ(当時このスタイルで発表されたことを考えると、それはそれは大きな衝撃であったと思う)、そのポジティブな反応をもって、ショーの会期が終わるまでにはランボルギーニ創業者、フェルッチオ・ランボルギーニが生産を決定していたという逸話も。
そこからカウンタックLP500は市販化に向けて改良がなされますが、最初に作られたプロトタイプは1974年3月21日のホモロゲーションに必要な衝突試験で破壊されることになり、残念なことにすでに存在しないようですね(ただ、当時の資料を元に復刻されたカウンタックLP500が1台のみ存在する)。
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最終的にはエンジンを5リッターから4リッターへと(扱いやすさを理由に)縮小した「カウンタックLP400」が1973年末に市販モデルとして登場し、これはルーフに切り欠きを設けてルームミラーによる視認性を高めたことから、「ペリスコープ(ペリスコピオ)」の愛称で親しまれることに。
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55番目に製造された、ごく初期のランボルギーニ・カウンタックLP400「ペリスコピオ」が競売に!LP500プロトのビジョンを反映した希少シリーズ、予想落札価格は1.2億
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1978年になるとカウンタックLP400(生産152台)はLP400Sにモデルチェンジし、このLP400” S "は、当時の技術的新機軸である超ロープロファイル(扁平)ピレリP7タイヤをより効果的に機能させるためにフレームとシャシーに変更が加えられ、さらに美観の観点からも改良が加えられています。
さらには大型化したブレーキとワイドなタイヤに対応するため、ホイールアーチエクステンダー(オーバーフェンダー)が必要となり、性能向上のため空力特性に優れたフロントスポイラーが採用され、オプションにて巨大なリアウイングが設定されたのもこの世代。
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「世界で最もコンディションに優れる」ランボルギーニ・カウンタックLP400Sが1億円オーバーで落札!カウンタックとしては最高レベルの記録らしい
| このカウンタックのレストアにかけた費用は4500万円以上、新車でアメリカに輸入された後はずっとアメリカに | 鑑定士も「これ以上のカウンタックLP400Sを探すのは難しいだろう」とコメント さて、 ...
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そして「カウンタック」の名を世界に知らしめたのは1981年の映画「キャノンボール(1979年モデルのカウンタックLP400Sが登場)」であるというのは誰にとっても異論のないところだと思われ、アメリカにて「国家歴史車両」として保存されることになったという報道もなされています。
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映画「キャノンボール」に登場したランボルギーニ・カウンタックが米国「国家歴史車両」に登録!歴史的に重要なクルマ30台のうち1台に認定
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カウンタックLP400Sは235台が生産された後にLP5000Sへとスイッチし、エンジンは4.8リッター(4754cc)に排気量がアップして出力は375ps/7000rpmへ、
カウンタックLP400Sは1984年までに323台が生産されたのち、美観、性能、信頼性、快適性において最高の組み合わせを持つカウンタックであると多くの人が考える「クワトロバルボーレ」に置き換わり、このV12エンジンは1気筒あたり4バルブを備え(これがクワトロバルボーレの名称の由来)、さらに排気量を5.1リッター(5167cc)に拡大し、最高出力は455ps/7000rpmに達しています。
このクワトロバルボーレは、キャブレター仕様から電子制御燃料噴射装置へと変更され、初めて米国のホモロゲーションを取得し正規輸入されたことでも知られますが、米国市場の強い需要によって1988年までに631台が生産されることに。
さらにその後、ランボルギーニ創立25周年を記念したカウンタック25thアニバーサリーが登場し、これはクワトロバルボーレのメカニズムを継承しつつエアロダイナミクスの改善が行われたほか、ランボルギーニとしては初めてボディパネルの一部に複合材を採用し、さらには豪華なインテリアを採用したモデルです(開発を担当したのはのちのパガーニ創業者、オラチオ・パガーニ)。
そしてこのカウンタック 25thアニバーサリーは658台が生産され、もっとも多く売れたカウンタックとなっています。
なお、生産が終了したのは1990年7月4日で、「最後の」カウンタック25thアニバーサリーは現在でもランボルギーニ博物館(MUDETC)に展示されています。※ボディカラーはグリジオ・メタリザート(メタリックグレー)、インテリアはグレー
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ランボルギーニ・カウンタックはなぜ17年も継続生産され、なぜ1989年に生産を終了せねばならなかったのか?
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参考までに、カウンタックの総生産台数が「1999台+1台」と表現されているのには理由があり、最初のカウンタック・プロトタイプ、つまりLP500はランボルギーニの斜視ナンバーではなくベルトーネのシャシーナンバーを持っていたからなのだそう(最初に生産された量産バージョンのカウンタックのシャシーナンバーは1120001。開発コードのL112が最初の数値に用いられている)。
ランボルギーニLM002はこんなクルマ
そして次はLM002について。
当時、ランボルギーニの経営陣は、豪華な高性能オフロードカーの市場が存在すると信じていて、カウンタックの5.2リッターV12エンジンをフロントに180度回転させて搭載し、精製度の低いガソリンでも問題なく使用できるように出力を20ps下げ(オフローダーを好む地域ではオクタン価の高いガソリンが手に入らないことが多かった)、さらにはセンターデフとローギヤを備えた4輪駆動用トランスミッションが組み合わせられています。
使用されるシャシーはカウンタックと同様の、しかしオフロードカーでは初めてとなるチューブラーフレームで、これは通常レーシングカーや最高級のスポーツカーにのみ使用される構造です。
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ランボルギーニがウルスのルーツ「LM002」を振り返る。カウンタックのエンジン搭載、モンスターSUV
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こういった背景もあり、高速道路をスポーツセダンのような速度で走り、過酷なオフロードでも走破できる驚異的なクルマが誕生したわけですが、このLM002はスーパーSUVの魁でもあり、現在のランボルギーニ・ウラウスの原型というか祖先にあたるクルマということに。
キャブレター式と燃料噴射式がほぼ同数生産されていますが、キャブレター式ではボンネットの "モッコリ "がより顕著なので、両者は非常にかんたんに見分けることが可能です。
ちなみにこのLM002には、オフショアボートで使用される7.2リッター700psのV12エンジンを搭載したものや、元世界ラリーチャンピオンであるサンドロ・ムナーリ氏の技術指導のもと、砂漠での耐久レースに出場するために製作された個体など「珍品」がいくつか存在し、レオパルド戦車を引っ張ったり、牽引フックを装着してコレクターのミウラを乗せたトレーラーを引っ張ったりと、LM002にまつわる逸話も数多く語り継がれています。
さらにはその筋肉質な外見に加え、当時シルベスター・スタローンが所有していたことから通称「ランボ・ランボ(RAMBO LAMBO)」と呼ばれています(今でもアメリカではこの呼び方のほうがポピュラーでもある)。
ただ、ランボルギーニによると、LM002を最もよく表現しているのは実際に(当時)試乗したイタリアのジャーナリストが書いた記事の一節で、それは「時速200kmで、LM002は空気を切り裂くのではない。誇らしげに叩きつけるのだ」というものなのだそう。
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参照:Lamborghini