
Image:Lamborghini
| ランボルギーニの最新限定モデル「フェノメノ」がモントレー・カー・ウィークにて一般デビュー |
なぜフェノメノは「通常ラインナップとは異なる」デザインを持つのか
ランボルギーニがモントレー・カー・ウィーク「ザ・クエイル、ア・モータースポーツ・ギャザリング」において、同社の象徴的なデザインを讃える「Fenomeno(フェノメノ)」を発表。
フェノメノはランボルギーニを最も象徴するデザイン要素を極限まで高め、2007年の「レヴェントン」から始まった限定生産モデルの伝統に敬意を表した「最新の限定モデル」であり、そのネーミングもまたランボルギーニの伝統に従って「闘牛」から頂戴したもの。
この「フェノメノ(Fenomeno)」という名は、2002年にメキシコのモレリアで戦ったという勇敢で有名な雄牛に与えられたもので、イタリア語とスペイン語の両方で「驚異的」を意味しており、このクルマのユニークで卓越した精神を完璧に表現する名称として選択されています。
歴代限定モデルの頂点に君臨
フェノメノはランボルギーニの限定生産モデルの系譜において「その頂点に位置する傑作」との呼び声が高く、その限定車の伝統はセスト・エレメント(2010年)、ヴェネーノ(2013年)、チェンテナリオ(2016年)、シアン(2019年)、そしてカウンタックLPI 800-4(2021年)といったモデルによって築かれてきたもの。※これらの限定モデルのうち、「チェンテナリオ・ロードスター」と「カウンタックLPI 800-4」は、過去にこの「ザ・クエイル」でデビューを飾っている
「フェノメノは、私たちの歴史の中で最も先進的な技術ソリューションを導入し、パフォーマンスとデザインの限界を押し広げると同時に、私たちのDNAの根幹をなす価値観と功績を称えています」
ランボルギーニ 会長兼CEO ステファン・ヴィンケルマン
V12ハイブリッドシステムが生み出す圧倒的パフォーマンス
フェノメノのパワーユニットは、自然吸気V12エンジンから835馬力、そして3つのエレクトリックモーターから245馬力を発生させ、合計1,080馬力の最高出力を実現しますが、ランボルギーニの象徴であるV12エンジンとハイブリッドシステムの組み合わせはドライビングダイナミクスとパフォーマンスをさらに高めることとなり、その結果、0-100km/h加速はわずか2.4秒、最高速度はじつに350km/h以上。
さらに、シングルナット(センターロック)の鍛造ホイールや、ブリヂストン社が開発したサーキット志向の専用タイヤがその俊敏な走りを支えると紹介されており、しかしこのセンターロックはレヴエルトには(現時点で)導入されておらず、もしかすると今後レヴエルトにも採用が拡大されるのかもしれません(あるいは限定モデルの象徴としてのみ機能するか)。
そして特筆すべきはそのスタイリングで、これまでのランボルギーニに多く見られた「直線と平面との組み合わせ」から、やや「曲線と曲面とを組み合わせたデザイン」に(とくにリヤセクションにおいて顕著)。
こういった傾向はテメラリオから見られるようになったのだとも解釈していますが、テメラリオは前任者の制約から解き放たれた現ランボルギーニのチーフデザイナー、ミッチャ・ボルカート氏が「ゼロベースで」デザインしたクルマです。
もちろんレヴエルトも同様ではあるものの、レヴエルトでは「V12」「フラッグシップ」という不文律的成約があったものと思われ、しかしフェノメノは「レギュラーモデル」ではないために別の世界観を持ってデザインすることができ、ミッチャ・ボルカート氏は「自分が本当にやりたかったこと」をテメラリオの延長線上としてフェノメノにも反映させたのだとも考えられます。
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実際のところ、同氏が「テルツォ・ミッレニオ」にてはじめて取り入れた「Y」字モチーフはさらに強化される形でフェノメノに反映されており・・・。
フロントフードもよく見ると(フード上のダクトとのコントラストにて)「Y」。
こういった背景を鑑みるに、今後ランボルギーニの限定モデルは「量産モデルとは別の路線にて」デザイナーの主張をより強めたスタンドアローン的な展開がなされるのかもしれません。
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