
| もはや「パワー」「加速」同様に、ニュルブルクリンクでのタイムもクルマの魅力を直接示すものではなくなってきている |
今後、ニュルブルクリンクの上位は「中国メーカー」で占められる可能性も
モントレー・カー・ウィークで華々しくワールドプレミアを果たしたランボルギーニの最新フラッグシップ、「レヴエルト SV(Super Veloce)」。
最高出力1065馬力、0-100km/h加速2.4秒という次元の違うパフォーマンスを誇るこのV12ハイブリッド・スーパーカーではありますが、ファンが最も期待していた「ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)でのタイムアタック」を行わない方針であることが明らかになり、大きな波紋を呼んでいます。
アヴェンタドール SVそしてSVJ、ウラカン ペルフォルマンテで(ニュルブルクリンクにおける)世界記録を打ち立ててきたランボルギーニがなぜ今回のフラッグシップで「ニュルのタイムアタック」を回避するのか、その真意について考えてみましょう。
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この記事の要約
- モントレー・カー・ウィークで初公開されたランボルギーニの新たな旗艦「レヴエルト SV(Super Veloce)」
- 自然吸気6.5L V12エンジンと3基の電動モーターにより、圧巻の1065馬力を発揮
- 「緑の地獄(グリーンヘル)」ニュルブルクリンクでのアタックを行わず、ホッケンハイムリンク(1分41秒6)を指針に設定
- ブランド側は「再現性と扱いやすさ」を主張するも、過熱するタイム競争やライバルの存在も背景か
- GT3レース直系の手動調整式サスペンションやエアロ導入により、ダウンフォースはアヴェンタドール SVJ比で80%向上

ニュルではなく「ホッケンハイム」を選んだランボルギーニの主張
過去、アヴェンタドール SVJ(6分44秒97)やウラカン ペルフォルマンテ(6分52秒01)でニュルブルクリンク最速の称号を手にしてきたランボルギーニ。
実際、2026年に入ってからも「Attenzione. Macchina Veloce(注意:速いクルマです)」という大胆なカモフラージュを纏わせたレヴエルト SVの開発車両がニュルで目撃されており、記録更新への期待が高まっていたわけですが、しかし、レヴエルトのプロダクトライン・ディレクターであるアレッサンドロ・ファルメスキ(ssandro Farmeschi)氏は、海外メディアの取材に対して以下のように語っています。
「私たちはニュルブルクリンクをテストの場として活用しています。今回ホッケンハイムリンクを選んだのは、お客様ご自身が再現できるベンチマーク(指標)を提供したかったからです。ニュルブルクリンクはあまりにも特殊なサーキットなのです」
コース長が約20.8kmと長く難易度が高いニュルよりも、約4.5kmと短く安全に攻め込めるホッケンハイムの方が、オーナーが自身の愛車でサーキット走行を楽しむ際のリアルな参考基準になるという主張であり、事実、レヴエルト SVはホッケンハイムで1分41秒6という驚異的なラップタイムを記録したことを発表しています。
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実際には「マーケティング上」の理由も指摘
ニュルブルクリンクでのアタックの見送りには「マーケティング上の理由」も示唆されていて、限定1,963台の生産枠は発表と同時に富裕層の間で完売に近い(あるいは完売)状態となっており、すでに売切れのモデルでリスクを冒してタイムアタックを行う商業的メリットが薄い点、そしてフォード・マスタング GTD(6分40秒835)やメルセデスAMG Oneといったモンスター級の競合が打ち立てたタイムとの比較を避けたかったのでは、という見方も存在します(現在、ニュルブルクリンクでトップを奪取することは非常に困難であり、結果を差でなければ逆効果になる場合も)。
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しかし、レヴエルト SVのプロダクトとしての完成度とパフォーマンスが異次元であることに疑いの余地はなく・・・。
レヴエルト SV 主要スペック一覧
| 項目 | 詳細スペック |
| パワートレイン | 6.5L V12 自然吸気エンジン + 前後3基の電動モーター(PHEV) |
| エンジン最高回転数 | 9,500 rpm |
| システム総合出力 | 1,065 hp (標準レヴエルトより+50hp) |
| システム総合トルク | 1,425 Nm |
| 0-100 km/h 加速 | 2.4秒 |
| 0-200 km/h 加速 | 6.7秒 |
| 最高速度 | 344 km/h以上 |
| サスペンション | GT3レースカー直系 手動調整式ダンパー(Pilotaモード搭載) |
| ブレーキ | 前16.53インチ CCM-R-Plus カーボンセラミックブレーキ |
| ダウンフォース | アヴェンタドール SVJ比で 80% 向上 |
| 生産台数 | 世界限定 1,963 台 |

レースカー直系のエアロとトラック特化制御
標準のレヴエルトからさらに軽量化とシャシーの強化が図られており、新設計のカーボン製フロントバンパー、大型リアウイング、サイドディフューザーの採用により、超高速域での安定性が飛躍的に高められています。
インテリアも豪華さより軽量化を優先し、薄型カーボンフレームのバケットシートやアルカンターラ内装を惜しみなく投入。
GT3マシンの知見をフィードバックした5段階調整のトラクションコントロールにより、タイヤの摩耗状態や路面コンディションに応じてリアルタイムに制御が最適化されます。

過熱する「聖地ニュル」のラップタイム戦争
自動車メーカーがなぜここまでニュルブルクリンクのタイムにこだわるのか、そしてなぜ撤退するブランドが出てくるのかを知ると、現在のスーパーカー市場のトレンドが見えてきて・・・。
- ニュルアタックがもたらす「ブランディング」:かつては「世界最速の市販車」という称号が、そのままブランドの技術力の証明となり、世界中での販売を後押しすることに
- リスクとコストの増大:現在のトップタイムは6分40秒を切る領域(公道走行可能なシーパーカーの限界域)に達しており、極限状態でのアタックはドライバーへの危険や車両全損リスクが伴うことに。また、タイムアタック専用のセッティングや気象条件待ち、貸し切りに膨大な費用がかかる
- 「市販状態」の定義の曖昧さ:市販車記録と謳いつつも、アタック時のみ特殊なタイヤやキャンバー角セッティングを行うメーカーが増えたことで、「タイム争いの信頼性」自体を疑問視する声も一部で上がっている
こうした背景から、ランボルギーニのように「タイムという数値の競争」から一歩引き、「顧客が実際にサーキットで体感できる楽しさや再現性」に価値をシフトするプレミアムブランドの動きは、今後のスーパーカー開発における新しいトレンドということになりそうです。

結論
「ニュルブルクリンク最速」の称号を追うのをやめたからといって、ランボルギーニ「レヴエルト SV」の魅力が陰るわけではありません。
自然吸気V12の官能的な9,500rpmのエキゾーストノート、3基のエレクトリックモーターがもたらす即座のトルクレスポンス、そしてレーシングカー直系のエアロダイナミクス。
これらを完璧に融合させた1065馬力のスーパーカーは、タイムシートの数値以上にステアリングを握る幸運なオーナーへ最高の「走る歓び」を提供してくれることになるものと思われます(そしてなにより、数値では表現できないアグレッシブなルックスに排他性と価値がある)。
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参照:Motor Trend











