| 今回は特殊な事情が「折悪しく」積み重なる |
さて、シビック・タイプRを生産する英国スウィンドン工場が生産を停止した、とのニュース。
この工場は来年に稼働が停止することが決まっており、稼働停止が早められたのかと思えばそうではなく、「(主に)パーツ不足による生産停止」なのだそう。
ただ、シビック・タイプRを生産しているのはこの工場だけであり、もちろん日本向けのシビック・タイプRもスウィンドン工場にて製造されているので、納車時期に遅れが出るのは必至だと思われます。
いったいなぜこんなことに?
この「生産停止」について、主な理由は上述の通りパーツ不足ということになりますが、遠因としてはコロナウイルスそしてブリグジット(英国のEU離脱)が関係している、とのこと。
どういうことかというと、例年イギリスでは12月中旬くらいから「クリスマス休暇」に入ってゆきますが、クリスマス商戦を見越して多くの企業が海外から商品を輸入します。
さらに今年は、ブリグジットに備えての商品備蓄、製造業に関しては当面使用するパーツや部材の輸入を通常よりも多く行うことになり、そしておそらくはコロナウイルスの影響にて一時生産が遅れていたり、需要低下によって輸入を見合わせていた製品やパーツが一気に出荷されたのだと思われ、よってホンダのスウィンドン工場向けのパーツが入荷するフェリックストウ港は完全にキャパオーバーに陥っている模様。
そのため到着済みの荷物であっても通関が遅れたり、入港そのものができないためにフェリックストウでの荷降ろしを後回しにして次の目的地へと向かう船が出たりという状況となっていて、ホンダとしては(アジアからの)パーツが入ってこずに車両の生産ができない状況にある、とのこと。
なお、ホンダは「ジャストインタイム」生産方式を導入しており、これは「必要なときに、必要な分だけ、必要な量を」生産する方法。
この意図としては「余分なストックを持たず、経営を効率化する」ということになりますが、逆に今回のような「必要なときに、必要な分だけ、必要な量の」パーツが入ってこなければ、(在庫がないので)生産ができなくなるわけですね。
どうするホンダ?
そしてホンダは「一刻も早く生産を再開したい」とコメントしていますが、とにかくパーツを入れるより方法はなく、そのために「必要なパーツを空輸する」ことも検討中だと報じられています。
ただしジャストインタイム方式を導入している以上、(アジアのパーツ生産拠点も)余剰パーツを保有しているわけではなく、今から追加でパーツを製造し、それを送ることになるので時間を要し、そして同様の対応を取る企業も多いと思われるために空港もキャパオーバーとなる可能性も。
現時点では状況を改善できる有効な対策が見つからず、続報を待ちたいところですね。
次期シビック・タイプRの生産はアメリカに
なお、現行シビックは英国、アメリカ、日本で生産されていますが、このうち英国スウィンドン工場が(業績不振にて)生産を終了。
英国スウィンドン工場は1992年に操業を開始しており、1998年には第一次ピークの(生産台数)228,000台を記録しています。
販売ベースだと2007年の313,000台がピークとなるも、その後2000年にはヒュンダイに欧州での販売台数を抜かれ、2018年の欧州での販売台数は15万台程度まで落ち込むことに。
この販売台数を補う程度の生産台数だと「稼働さればさせるだけ赤字になる」のだと報じられており、ブリグジットを機に工場を閉鎖するという苦渋の決断に至ったようですね。
これによりシビック・タイプRは生産と開発の(英国)拠点を失うことになりますが、今後の開発と生産は北米に移管される、と報じられています。
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参照: Automotive News