
Image:Honda
| 北米のEV市場は鈍化、ホンダの“0シリーズ”計画に変更 |
当初予定されていた3台のうち1台が正式にキャンセル
ホンダが(発表したばかりの)新たな電動化計画を大幅に見直すとの報道。
ホンダは2024年初頭に発表された「0シリーズ」構想に基づき、3つの新型EV(大型SUV、中型SUV、セダン)を2026年から2028年にかけて投入する予定であったものの、日経アジアの報道によれば、そのうちの大型SUVの開発が中止された、とのこと。
これは、米国でのEV需要の減退と、EV購入に適用される連邦税控除の終了(2025年9月30日までで打ち切り)を受けた現実的な判断と見られ、ホンダとしては「痛手を被る前に」手をひこうということなのかもしれません。※勇気ある撤退として評価できる
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なぜ中止?EV販売の減速とコスト問題が背景に
ホンダは当初、10年間で10兆円(約690億ドル)のEV関連投資を予定していましたが、すでに7兆円(約480億ドル)までこれを縮小する方針へと変更を行っています。
とくに今回中止となった大型EV SUVは、米国市場に特化した戦略車種であり、ホンダの販売のうち約60%を占めるSUVカテゴリの強化策と見なされていたわけですね。
しかし、開発コストが高騰する昨今においては「販売台数の見通しが立たず商業的にリスクが大きい」と判断されたのだというのが報道の骨子。
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“残る2車種”は予定通り開発が進行中
一方で残された2モデルは現在も計画通り進行中だとされ、今年4月にはF1 日本GPで中型SUVのプロトタイプが展示されています。
- CLAのようなローフォルムのセダン型EV(2026年投入予定)
- 中型SUV(市販モデルの展示も開始済、2027年〜2028年予定)
ホンダは「ハイブリッド重視」に戦略転換へ
しかしながら、ホンダは「ただ0シリーズの一部中止」を決めただけではなく、ほか多くの自動車メーカーと同様に、今後の主軸をハイブリッドモデルの拡充へとシフトするもよう。
すでに10年計画で全ラインナップに電動化技術を導入する方針を掲げており、具体的には以下の車種へのハイブリッド追加が予測されています。
- Pilot(フルサイズSUV)
- Passport(2列SUV)
- Odyssey(ミニバン)
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これらは北米市場で安定した販売を続ける主力モデルであり、ハイブリッド化により燃費と税制上の優位性を確保しながら販売台数を維持する狙いがあるようですね。
EVを諦めたのはホンダだけではない
なお、「EVへの注力を縮小しハイブリッドへとシフトする」のはホンダのみではなく、トヨタも同様の判断をしており、米国でのEV生産計画を遅らせ、代わりに人気の高いグランドハイランダーの生産枠を優先。
フォードに至っては、日産にバッテリー工場の一部ラインを貸し出すという苦肉の策も発表しています。
そのほかグローバルではベントレー、ポルシェ、アウディ、ロータスなども「ハイブリッドへシフト」すると発表しているほか、フェラーリやランボルギーニは「EVの発表を後ろ倒しにする」ことに言及していますね。
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結論:EV一辺倒の時代は終わった? 現実路線へと回帰する大手メーカーたち
ホンダの大型EV SUV中止は、北米EV市場の不透明さと投資回収リスクの高まりを象徴する出来事で、今後数年間はEVだけでなくハイブリッドやPHEVとの“複合展開”が自動車メーカーにとって戦略の主流となりそうです。
特にトヨタ、ホンダのような量販ブランドにとって、採算性と需要バランスの取れたハイブリッドモデルこそが、短〜中期的な“正解”と言えるのかもしれませんね。
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