| クルマの家電化によって、異業種からの参入が容易になった |
さて、京セラがコンセプトカー「Moeye(モアイ)」を発表。
ソニー「Vision-S」に続き異業種からの自動車業界参入ということになりそうですが、実はこのモアイ、京セラにとってはコンセプトカー第二弾とのこと。
現代の自動車では「家電化」が進み、エレクトリックカー時代に移行してしまえばさらにその傾向が強くなるものと考えられ、そうなると「自動車メーカーがこれまで培ったノウハウ」の重要性が相対的に低くなり、かわりに「家電や電子系メーカーの持つノウハウ」の重要性が高くなるのかも。
そういった意味では、「異業種からの参入」障壁がこれまでに無いほど低くなっているのが昨今の自動車業界なのだとも考えられます(自社でクルマを作らなくとも、今までクルマと無縁だと思われていた技術がクルマに用いられるようになる)。
京セラ「モアイ」はこんなクルマ
まず、この「モアイ」について、京セラによると下記の通り紹介されています。
手っ取り早くいうと、走行性能うんぬんではなく、内装における「未来のインターフェース」を提案したコンセプトカーということになりそうですね。
自動運転化やMaaS(Mobility as a Service「マース」)の普及が進む中で、車室内空間の重要性に着目し、驚きと快適をもたらす未来のコクピットを完全オリジナルデザインの車両で開発しました。
京セラ
今回の象徴的な機能として、東京大学 先端科学技術研究センター 稲見 昌彦教授と協働し、独自の光学迷彩技術を用いてコクピットの一部を透明化しドライバーの視野を広げることを可能にしました。
さらに人間の視覚・触覚・聴覚・嗅覚を楽しませる京セラ独自の各種デバイスを数多く搭載し、車として重要な安全性とエンターテインメント性の両方を兼ね備えた車に仕上げました。京セラが考える未来の車の世界観を世に問う作品となっています。
京セラ「モアイ」にはどんな技術が採用されているのか
そこでこの「モアイ」に採用される技術ですが、まずは「空中アニメーション」。
ホログラムのようなものといってよく、下の画像でロボットのようなふくろうのようなキャラクター「モビすけ」がダッシュボード上に浮かび上がってドライバーのナビゲートを行います。
そして次は攻殻機動隊っぽい「光学迷彩」。
通常、ダッシュボードはこんな感じでシンプルなテクスチャ貼りのように見えますが・・・。
ここに前方の様子を投影することができ、前方を死角なく確認できる、というもの。
レンジローバーの「透明ボンネット」の適用範囲をさらに広くしたようなイメージです。
そのほか、ルーフやドアには自然光に近いLED照明、セラフィック(CERAFIC)を搭載。
センターコンソールには「京セラ製京都オパール」も。
これらのほか、パネルをタッチした際、振動を発生させてクリックしたことを知らせる触覚伝達技術「ハプティビティ(HAPTIVITY)」を採用し、「操作できたかできていないのかわからない」という不安も解消。
これはアウディが採用している技術に類するものだと思われます。
加えて、ピエゾ素子を用いた振動スピーカーを搭載して聴覚を、アロマ芳香器にて嗅覚を満たすなど、人の「あらゆる感覚」に訴えかけるコンセプトカーである、ということになりそうですね。
参照:京セラ