| ただしSUVの次に世界で売れているのは「セダン」であり、ここでセダンをないがしろにすることはちょっと危険 |
マツダはとにかく財政状況が苦しく、その考えも十分理解できる
さて、マツダは「FR+直6」というレイアウトを採用するラージ商品群の展開をはじめており、先日はその第一弾として「CX-60」が発表されたばかり。
なお、このラージ商品群はマツダがプレミアムブランドへと移行するための足がかりであり、マツダにとっては大きなチャレンジということになりますが、この「FR」プラットフォームはCX-60/CX-70/CX-80/CX-90に採用されるほか、マツダ6のようなサルーン、そしてトヨタやレクサスの高級セダンにも採用されると言われています。
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フルモデルチェンジ版マツダ6はしばらく登場しない?
ちなみにFRプラットフォームをきっかけに「プレミアム化」を図るのは、なんだかんだ言いながら「FFでは高級車だと認知されたない」からだといいますが、マツダはCXシリーズに続き、マツダ6もFR化すると見られていたものの、ここへきて「フルモデルチェンジ版の新型マツダ6がしばらく登場しないのでは」というニュース。
報道によると、マツダヨーロッパにて、車両のエンジニアリングと開発部門を率いるヨアヒム・クンツ氏が「6気筒エンジンを搭載したマツダ6後継車や大型スポーツクーペがあればいいのですが」とコメントしたとのことで、裏を返せば「マツダ6後継車や大型スポーツクーペは(直近で)ない」とも考えられます。
そして同氏は「今の時点ではSUVを売ることが最も重要で、SUVのトレンドは続いており、マツダにとってはなおさら優先すべき事項です。一番売れているのがSUVであることは否定できません」。
マツダはどこまでSUVを追求?
このコメントによれば「SUVをまだまだ追いかける」ということが理解でき、「クーペはもちろん、セダンも二の次」。
実際にマツダのみではなく他の自動車メーカーにとっても「SUVがもっとも売れていて、SUVにトッププライオリティを置いている」という現実があるのは否定できず、マツダを責めるのは酷というものかもしれません(フォードに至っては、マスタングを除き、SUVとトラック以外を切り捨てている)。
そしてマツダは北米にてCX-50を、欧州と日本市場向けにCX-60を発表し、さらにはCX-70/CX-80/CX-90がこれらに続くことに。
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ただ、CX-70/CX-80/CX-90についてはCX-60含め「ひとめとめ」として開発がなされているものと思われ、ひとつの目処がたっているプロジェクトだとも考えられます。
よって、マツダ6後継を押しやってまで進める段階にあるとは思えず、となるとマツダはまだまだほかのSUVの開発そして投入を行うつもりだと考えられ、それが何なのかはわかりませんが、マツダがしばらくSUVを追いかけるというのは間違いないのかもしれません。
なお、今回のコメントはあくまでも「欧州のマツダ法人」からのコメントであり、自動車市場のナンバー1とナンバー2である中国とアメリカで「SUVの次に売れている」のは(意外なことに)セダンなので、中国や米国向けとしてはセダンが先行して投入される可能性もありそうです。
ぼくが思うに、「今」SUVが売れているからとSUVのみに注力するのは厳しい競争の中に自ら身を投じるのと同様で、仮にSUVブームが沈静化し、「次はセダン」となったときに”売る駒がない”ということにもなりかねず、マツダに重要なのは流行を追いかけることではなく、「自ら生き残るための市場(スペース)を作り出す」というスバル的フロンティア精神なのかもしれません。
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参照:CARSCOOPS