| 日産のように「新型車の開発凍結」ではなく前に進むのはいいことだ |
つい先日、「パジェロ生産工場を閉鎖し、国内向けに加えて海外向けパジェロの生産を終了させる」と発表した三菱自動車。
しかし今回、「Small but Beautiful(小さいが美しい)」と題された計画を発表し、現状の生産体制や商品展開を見直して”選択と集中”を行うと述べています。
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なお、三菱は日産、ルノーとともに発表した再建プランの中において、「車体だとPHEVと4WD、地域だとアジア・オセアニアに集中する」と発表。
この再建プランの骨子としては、「各メーカーともそれぞれの得意分野と地域に特化し、残る2社がその恩恵を受ける」というものです。
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ルノー=日産=三菱間では競争しない
たとえば日産の場合は「EV」に強いのでEVばかりを開発し、ルノーと三菱は自社でEVを開発せず、日産の開発した「バッジ違いを売る」というイメージ(あくまでもイメージ)。
展開する地域においても、ルノーが強みを発揮する地域では、わざわざ日産や三菱がルノーと競合するような車種を販売せず、それぞれが強い(日産だとアメリカ、三菱だとASEAN)地域へと特化し、3社で競合せず、しかし世界でのシェアと競争力を共同にて高めてゆこうというものですね。
生産においても、自社の工場では自社ブランドのみのクルマを製造するのではなく、アライアンス関係にある他社ブランドの製造を行うなど、全世界でシナジー効果を出してゆくことが「Small but Beautiful」計画の大枠であり、先日共同で発表された再建計画の三菱版が「Small but Beautiful」ということになりそう。
そして今回三菱は「PHEVとASEANに特化」という戦略をあらためて打ち出し、今後発売することになるモデルについてもそのスケジュールを発表。
これを見ると「新型エクリプスクロスPHEV」「新型アウトランダー」「新型アウトランダーPHEV」「新型EV(中国向け)」「軽EV」「新型トライトン」「エキスパンダーHEV」「新型エキスパンダー「新型パジェロスポーツ(やはりパジェロの名は引き継がれるようだ)」「新型車2車種」の11車種となっていて、かなりアグレッシブな計画だと言えます。
カルロス・ゴーンが日産を立て直そうとした際には「コストを削って削って削りまくって」、そして車種ラインアップも極限まで減らし、さらにニューモデルの投入も控えるといったものでしたが、そうなると一時的に財政は回復するものの「ブランド」としての成長は望めず、よって今回の三菱の戦略は歓迎すべきものだと捉えています。
なお、新規投入される車種を見るに、日本向けの軽を除くと「すべてがトラックかSUV」であり、文字通り三菱は「強いところだけに集中」するということになりそうです(コンパクトカーやセダンは一切今後の計画に含まれていない)。
展開地域はこんなイメージ。まずはASEANに集中することになりますが、ここに含まれるのはタイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシア、ブルネイ・ダルサラーム国、カンボジア、ミャンマー、ベトナム、ラオスの10カ国。
その後に(ASEAN向けの車種をもって)オセアニア、南アフリカ、中東へと勢力を拡大する意向を持っているようですね。
ほか、中国だと現地パートナーとの協業強化、日本では製品と販売網の再整備、北米では固定費の削減、欧州ではいったん新製品展開の停止といった戦略が紹介されています。
日本国内における「販売網の再整備」がどういった内容となるのか明かされていないものの、現在は日産と三菱のディーラーとが隣り合わせであったりするケースもあり、いっそのこと「一緒にしてもいんじゃないか」と考えたりします(反射の統廃合が必要になるので、かなり大掛かりにはなりますが)。